ちょっと時間が空いてしまいました。申し訳ございません。

 

 さて前回の続きの船橋市の財政状況を読み解く話ですが、前回は意図的に、都合よく、議会や市民を欺く目的をもって経常収支比率を公表していないか?というものでした。

 

 前回の補足説明をさせていただきましょう。

 

 経常収支比率を公表されている決算カードから見てみましょう。上から3行目の歳入ところですが、その下一番左に「区分」とあります。そこを右に見ていくと、「区分」を含め、数えて5つ目に「経常一般財源等」とあります。そこからさらに右へ進むと「性質別歳出」の「区分」から数えて5つ目(区分を含めて)に「経常的経費充当一般財源等」とあります。

 

 経常収支比率は、この歳入歳出の割合で計算しますが、歳入が経常的に入ってくる収入です。歳出が、経常的に出ていく支出です。これは決算ですから、実際の数字になるのですが、まず平成30年の数字をご覧ください。

 

 以降は、なじみやすくするため歳入歳出を収入支出と置き換えさせていただきます。

 

 収入が、111,562,805千円、支出が、112,972,373千円ですから、

 111,562,805-112,972,373=-1409568

 となって、一般的な市政運営で、そもそも赤字経営ということになるのです。

 

 この場合の経常収支比率は、101.3になるわけです。

 

 そこで登場してくるのが、臨時財政対策債という「臨時」的に「財政」状況が厳しい場合は、特段の「対策」方法として、収入だったものとして良いですよ。という一時的なカードキャッシングのような制度です。

 

 総務省のホームページを見てみましょう。

 まず、Q&Aに、

 Q5 臨時財政対策債を増発していることにより、各地方公共団体の財政運営に支障が生じているのではないですか?

 

 A.臨時財政対策債は、地方財政収支の不足額を補てんするため、各地方公共団体が特例として発行してきた地方債です。その元利償還金相当額については、全額を後年度地方交付税の基準財政需要額に算入することとされ、各地方公共団体の財政運営に支障が生ずることのないよう措置されています。
 

 とあります。

 

 そしてさらに検索をかけると、

 

 2 臨時財政対策債の概要 

 地方財源の不足に対処するため、令和2年度から令和4年度の間、地方財政法第5条の特例として発行されるもの(平成13年度から令和元年度の間においても同様に発行)。 

  なお、その元利償還金については、翌年度以降の基準財政需要額に全額算入する。

 

 3 臨時財政対策債発行可能額の算出方法 

  財源不足額が生じている地方公共団体を対象とし、当該不足額を基礎として算出。(財政力に応じて逓増) 

 

 と説明がされております。地方公共団体の財政を考える上で、裏付けのないというか、きちんとした理由づけのできない書類上のマジックみたいなもので、正当性に欠ける借金なのです。そもそも経常的にかかる経費の穴埋めを一時的に理由のつかないお金を持ってきて補填するというのは、「健全」な姿の財政ではないものと理解します。

 

 船橋市の財政当局は、その後ろめたさがあるから、臨時財政対策債をあてることをわかりにくくして、健全経営ができているかの如く公表をしているということになります。

 

 では、表を見ながら計算機を叩いてみてください。

 

 上から順に、平成30年度、令和元年度、令和2年度の決算カードになります。

 

 赤文字が歳入の経常一般財源等、ピンク文字が経常的経費充当一般財源等、黄緑文字が臨時財政対策債です。