「自衛隊最高幹部が語る令和の国防」を購入しました。ここのところ読みたい本を購入まではしますが、積読状態になって心苦しい限りですが、この本はペラペラした状態から吸い込まれてしまいました。

 

 

 

 

 まだ読み始めですが、お薦めです。というのは、自衛隊の頼もしさがよくわかるのですが、それ以上に国会議員の仕事は「外交」「国防」であって、内政の重箱の隅をチマチマつっつくことでは無いということを嫌というほどわからせてくれそうな本なのです。

 

 野党国会議員がメディアに載っかることを目的に必死になっているくだらない事案に比して、私たち国民が、安全に安心して暮らしていられるその大きなファクターとしてこういう方々のこういう意識があるからなんだなあ~ということを教えてくれる本なのだと思います。

 

 いつもなら、「はじめに」など序章部分の引用をさせていただきますが、今回は第1章の冒頭部分を引用させていただきます。

 

 私はこの兼原氏の話をメディアで聞いてぜひ読んでみたいと思ったのです。

 

 第1章日本の戦略環境

 兼原

 本日は、陸海空の各自衛隊で、私が個人的にその戦略眼を信頼申し上げている「平成の名将」にお集まり頂きました。日本では、一流の軍人が国家安全保障戦略について論議したものが公になることが、諸外国に比べて非常に少ないと思います。しかし、言うまでもなく、近年の日本の置かれた戦略環境は非常に厳しいものがあります。

 そこで、本日は日本の置かれた戦略環境を軍事的視点も踏まえて冷徹に見据えたうえで、国家安全保障戦略のあるべき姿について論議していきたいと思います。皆さん、現役の頃は政治的発言に対して抑制的であることを強いられていたと思いますが、もう退役されていますから、どうぞご自由にご発言ください(笑)。

 まず、この第1章では、令和日本の戦略環境を全体としてスケッチしたいと思います。最初に、私の方で三つほど問題意識を設定します。

第一に、新型コロナウイルスが日本の安全保障や危機管理体制に与える影響です。

 第二に、中国の急激な台頭です。南シナ海における、中国の力による一方的な現状変更は、最早、危険なレベルに入りつつある。本当に危機が勃発した際、日米同盟は機能するのか。また、米国が張り巡らせている日本、韓国、豪州、タイ、フィリピンとの太平洋の同盟網が機能するのか。アメリカの太平洋側の同盟網は、大西洋側のNATO(北大西洋条約機構)に比べて著しく脆弱です。台湾問題は特に重要な論点なので、台湾防衛の問題については章を代えて詳しく論じることにします。

 三つ目が、「自由で開かれたインド太平洋」を見渡した大きな戦略の構図です。日米同盟の重要性は当然として、日本外交の広がりをどう考えていくか。アジア太平洋の友邦であるASEAN(東南アジア諸国連合)や豪州、これから超大国となる可能性を秘めたインド、クリミア半島併合後の制裁に苦しみながら中国との距離を詰めざるを得ないロシア、それから太平洋島嶼を領有し太平洋国家としての側面も持つイギリス、フランスなどとの関係をどう考えるか、です。

 ということで、まずはポストコロナの地政学から考えます。新型コロナウイルスは炭疽菌などに比べて致死性は低いですが、国境を越えた人の移動を止め、サプライチェーンを寸断しました。国内でさえ人々は巣ごもりするようになり、国によっては厳しいロックダウンも敷かれた。

 新型コロナウイルスは地政学のゲームチェンジャーと言えるのか。世界最大の死者を出しているアメリカの指導力は陰るのか。また、比較的早くコロナ禍の封じこめに成功した中国の国際的な影響力はどうなっていくのか。そして、日本の危機管理体制は本当に大丈夫なのか。そういう点について、率直なお話を聞ければと思っております。では、元陸幕長の岩田さんからお願いします。