さて、週末も中国共産党の創立100周年のことを取り上げる番組がいくつかありました。

 

 中国語のネット記事を見ますと成立100周年と書かれていますが、さてさて、日本で報道されている内容を聞いていますと、どうもこれは習近平政権の終わりの始まりなのではないかと思いながら番組を見ていました。

 

 14億人を超える人口を抱える国を治めていくのは並大抵の話ではありません。様々な面で先進諸国から袋叩きになっているような感じのする中国ですが、私から言わせればどっちもどっち。(笑)。

 

 今回の天安門での習近平総書記の発言で、毛沢東や鄧小平の話が出ましたが、確かに中華人民共和国の発展を考えたときに避けて通れない偉大なる指導者だと思います。

 

 私が中国駐在中の現地中国人との様々な触れ合いから、間違いなくターニングポイントの指導者として二人の名前を避けて通るわけにはいかないと思います。

 

 しかし、今回、その二人をさておき、習近平主席を前(全)面に出すことが目立っていたようです。

 

 経済で世界をリードし始め、軍事費も潤沢に使い、あたかも世界で有数の国に短時間短期間でのしあがったかの如くの話も14億の民を統治していくためには、致し方ない表現の方法かもしれません。

 

 しかし、特に現代中国の経済的発展の基礎をそして将来のための導きをした鄧小平氏傍においてしまって、自分だとする習近平政権全体の動きはそれで良いのでしょうか?

 

 「白猫であれ黒猫であれ、鼠を捕るのが良い猫である」と言った言葉の中には深い深い意味もあり、そして、何よりも経済発展を優先し、「政治」特に旧来の建国の時の中国共産党の「政治」はとりあえずおいておいてという「政治」が行われたからこそ今の中国があります。しかし、その「いま」はまだ上部だけの社会主義市場経済の成功であり、見えている部分は「作る数字」による経済発展にすぎません。

 

 そこを過信しているのではないかと思う今回の演説でした。

 

 NHKオンラインより(左をクリックしてください。)

 

 国際社会の批判受け入れない姿勢 強調

 「われわれは人類の文明が生んだ有益な成果を積極的に学ぶし、善意の批判も歓迎するが、ごう慢な態度の説教は絶対に受け入れない」と述べました。

そして「いかなる外部勢力も私たちをいじめたり抑圧したりすることは絶対に許さない」と述べ、人権問題などを巡る国際社会の批判を受け入れないという姿勢を強調しました。

 

 原文は、

 中华民族拥有在5000多年历史演进中形成的灿烂文明,中国共产党拥有百年奋斗实践和70多年执政兴国经验,我们积极学习借鉴人类文明的一切有益成果,欢迎一切有益的建议和善意的批评,但我们绝不接受“教师爷”般颐指气使的说教!中国共产党和中国人民将在自己选择的道路上昂首阔步走下去,把中国发展进步的命运牢牢掌握在自己手中!

 

 とあります。私の知っている中国人は「謙虚さ」を身につけていました。あるいは、謙虚さではなくても、「現在、我々はまだ傲慢に振る舞う時ではない」と言える人々でした。それがまさに「韜光養晦」でした。鄧小平氏の言葉だったわけですが、私が駐在中一緒に働く中国人が、軍のトップである鄧小平氏を絶賛し、彼の教えをしっかりと「話し合える」土壌があったようです。

 

 現在、経済力、軍事力を手に入れたと思っているとしたら大きな間違いではないでしょうか?と感じる今回の報道でした。

 

 繰り返しになりますが、14億の民を相手に話すときには、強い国家主席をみせなければならないでしょうし、実際にそう思っているのかもしれませんし、数字の上では絶対的にそうかもしれません。

 

 しかし、長年の一人っ子政策で育った人々とその生育環境は、「愛国心に溢れ、心身ともに強い軍人」を育て上げているのだろうか?と疑問符をつけざるを得ません。

 

 もっというと、「教育」は歪んでいないのだろうか?

 

 経済発展は、「金に物を言わせて手に入れるだけ」ではないだろうか?

 

 システムやノウハウの「根本」「根源」まで手に入れられているのだろうか?

 

 私は中華人民共和国における「ヒト」「モノ」「カネ」も含めてあるものすべてがまだまだ「ハリボテ」であり「表面だけのもの」であり「似て非なるもの」ではないだろうか?

 

 と感じる昨今です。もちろん一定数の中国人は心身ともに「豊か」になり、「西側先進諸国」と全く同じ価値観で、自由と民主主義をのぞみ、心豊かな生活をしたいという至極当たり前の意識でいる方もいると思います。

 

 長年にわたって、中国人との付き合いをし、共感しあえて話をし続けてきた仲間たちは、そのそれぞれの生活において「中華民族の誇り」は保ち、「中華人民共和国」ならびに「中国共産党」との距離感は一定のものをとっているようです。