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 ニュースの視点(48)

 辛口記者の政治批評

 都議選

 不透明な知事のスタンス

 7月4日投開票の都議選で都民ファーストの会の劣勢が伝えられている。

 

 都議選の告示直前になっても小池知事は都民ファへの態度を鮮明にしていない。これまでの定例記者会見で記者から都議選について質問されても、「改革派にはエールを送りたい」などと語るのみである。 

 

 長谷川 

 こういうところが、狡猾そのものだと思いますね。この人の人格がものすごく表れている感じ。

 

 確かに、今の小池知事は都民ファの「代表」ではなく、「最高顧問」にすぎない。それゆえ、2017年の前回選挙とは勝手が違うと言いたいのだろうか。4年前は都民ファの「代表」として応援に奔走し、都議会第1党へ躍り出た。今昔の感があり、もはや過去の出来事として懐かしさすら覚えてしまう。 

 

 長谷川

 最高顧問としても、全力で全員当選に向けて活動するのが本来の姿でしょう。都議会最大会派として様々な議会対策をしてもらいどれだけ助けられたのでしょう。

 

 そうした小池知事の姿勢が数字にも表れている。つい先日、「自民党世論調査」と銘打たれた結果が関係者の間で飛び交った。そこには、今夏の都議選についての政党別の獲得議席数が記されているのだが、自民党が51議席、共産党と立憲民主党とがそれぞれ22議席、公明党が16議席、都民ファが13議席、維新が1議席などという衝撃的な数字だった。

 

 都民ファの現有議席は46議席、自民は25議席、公明は23議席、共産が18、立憲が7、維新が1議席である。

 

 この数字は真偽不明ながら、都民ファは議席を大きく減らし、自民と立憲が躍進するという傾向にある。また、別のメディアの取材班が作成したとみられる当落予想も永田町関係者に出回っているが、数字は違うものの、おおむね似たような傾向を示している。

 

 長谷川

 そりゃそうでしょう。知事と一体で様々な「『できない公約』をぶち上げて」ほぼ何もできないままこの選挙を迎えたのですから。

 

 確かに前回選挙との違いを指摘する声は大きい。小池知事と都民ファの関係もそうだし、前回選挙で参謀だった野田数氏が東京水道の社長に就き、今回は不在。無論、都議が選対の責任者として取り仕切るものの、不安を吐露する都民ファの都議は少なくない。

 

 さらに、公約でインパクトを与えることもできなかった。もし、自民党との違いをアピールするのであれば、「五輪」は格好の材料になるはずだった。しかし、都民ファは五輪について、「国が強行開催を目指すなら最低でも無観客を目指す」としている。あくまで五輪を開催する「国」は悪、それを延期できない場合は無観客で開催すべきというわけである。

 

 この公約に違和感を覚える都民が多いのではないか。

 

 もし、本当に五輪開催を望んでいないのであれば、開催都市の長である小池知事にも同意を得た上でともに訴えればいい。確かに都民ファは小池知事に申し入れをしているものの、知事は「安心な大会を開催する」というばかりでとても五輪の再延期を議論するような雰囲気にはなかった。また、都議選の投開票時に「再延期を」や「無観客開催を」と言われても、五輪の開幕までわずか2週間で何ができるのか。

 

 本当に都民の安全を考え、無観客で開催すべきだと訴えるなら、そこもやはり小池知事と同調して国と対峙していくべきだろう。

 

 当の小池知事はのらりくらりと五輪についての話題をはぐらかし続ける。関東近県で続々と中止を表明したパブリックビューイングについても、都は19日になって遅まきながら中止を決定した。五輪延期や無観客についてはなぜか及び腰の姿勢が目立つのである。

 

 または、都民ファに民意に近い政策を訴えさせ、議席を少しでも上積みしようということなのかもしれない。だが、外野から見ている限りは逆効果に映る。知事と都民ファの「分断」が透けて見えてしまうからである。

 

 私は都民ではありませんからとやかくいう立場にありませんが、全国の地方公務員、地方議員が、この知事を見て、地方政治不信にならないようにお願いしたいものです。