シリーズ前回に引き続きです。

 

 都政新報より(左をクリックしてください。)

 

 「対話力」を鍛えよう!

 皆さん、普段職場で同僚とどのぐらい話をしていますか?「話をするのは事務的な仕事に関する内容だけ」「毎日の業務が忙しくて、雑談する時間もない」。そんな声が聞こえてきそうです。

 

 私はちょっとした雑談程度でもお互いの声を聞き合う姿勢が、組織にとっても地域にとっても大切なことだと考えています。自分たちの地域を自分たちで作るための「対話力」を鍛えてくれるからです。

 

 長谷川

 御意!!って感じです。

コミュニケーションを取る力。意思を通じ合わせる力。似たような話ですが、頭の中で描いていることを、的確に100%と言わないまでも伝えるための「表現力」言葉だけではなく表情や身振り手振りも交えて、強調したいところを表現し、わかりやすい「置き換え」やわかりやすい「例示」を多用して伝えるという作業が必要です。

 

 これを職場内でうまくできるようになると、窓口業務でも住民対応の仕方がものすごくうまくできてくると思います。

 

 それは結局ルーティーンの業務もスムースに進められる工夫や余裕、あるいは改善ができ事故が減り、最終的には住民サービスの向上になるのですが、なかなか、なかなか。

 

 「チェックイン」から始めよう!

 

 「じゃあ、まずはチェックインから始めましょうか!」。これがミーティングを始めるときの私の大好きなやり方です。「それってホテルのフロントでやることでしょ?」と言われてしまいそうですが、この場での「チェックイン」とは、ミーティングを始める前に参加者一人ひとりが今の気持ちや参加の目的、参加にあたって気がかりなことなどを簡単に一言話すというファシリテーションやダイヤローグのやり方のーつです。ミーティングに入るための心の準備をする、心の中で気になっている「重たい荷物」をちょっと下ろして気持ちをミーティングに集中させるといった効果があります。

 

 長谷川

 もし、こういうことが可能ならば理想的だと思いますね。進行役と参加者の「会議を成功裡に終わらせよう」という気持ちが一体にならないとなかなかですが、良いことだと思いますね。

 

 何よりも、課内や部内の会議であればものすごく日常業務も風通しの良い環境になるのではないかと思います。

 

 なぜこのチェックインが好きかというと、その人が仕事以外に今、どんな事を気にかけているかが分かるからです。職場での会話の大半は仕事に関係することばかりで、相手がどんな状況にいるのかを気にする隙間はありません。仕事にプライベートは持ち込まない。それが基本かもしれません。しかし、その人の仕事以外の心の思いを、ほんのちょっとだけでも「聞く」。その時間を取ることで、その人の存在を受け入れる感覚が生まれます。私たちは日々の喜びや悩みを抱えて役所に来ています。私はそんな一人ひとりの心の現在地を大切にしながら仕事をしたいと思っています。

 

 とはいえ、普通の会議ではなかなか実践できないので、少人数の打ち合わせや自主研究会のミーティングなどで実施しているのが現状です。

 

 長谷川

 (笑)。やっぱり普通の会議ではなかなか無理かあ~。

 

 自分たちの未来は自分たちの手で作ろう

 

 お互いの声を聞き合う大切さに出会ったのは、東日本大震災の復興の現場でした。私は被災地で新しい地域づくりのための対話の場に参加していたのですが、それが今まで自分が参加していた会議とは全く違っていて、強い衝撃を受けました。

 

 それまでの私は会議大嫌い人間でした。出席する会議は、誰かが牛耳って結論が決まってしまう会議や、誰も何も言わなくてシーンとしてしまう会議、結局何を話しているのか分からなくなるような会議ばかり。「会議なんて、やっても無駄。そこで決まる事なんてつまらないことばかり」と、どうやったら会議から逃げられるかということばかり考えていました。

 

 しかし、被災地で体験したのは、みんなが真剣に心の底から自分の思いを語り合い、未来をどう作っていくか本音をぶつけ合って、対話の中から生まれ出てくるものをつかみ取る。そんな場でした。その中から、私は一人ひとりの思いを聞く大切さと対話の持つパワーを学んだのです。また、パワーを生み出すためには、みんなが安心して話し合いに入っていけるような「対話の場」を作ることが大事だということも学びました。チェックインもその時に学んだーつです。この時から、一人ひとりの思いを聞き合える対話の場づくりをライフワークにしたいと思い、学びと実践を続けています。

 

 対話の「作法」

 

 公務員の仕事の醍醐味は地域社会の様々なステイクホルダーとワイワイガヤガヤ話をしながら、目の前の現実を自分たちの手で変えていけることだと思います。大好きな言葉に、人と組織と地球のための国際研究所の川北秀人代表の「自治とは、自分たちで決めて、自分たちで担うこと」があります。自分たちで決めるためには、お互いの思いを聞き合い話し合う「対話力」を鍛える必要があります。いきなり「さあ!話すぞ!」と意気込んでも、なかなかうまくできません。対話には練習と、お互いの話を傾聴し、みんなが安心して話せるための場を作る「作法」も必要です。対話の作法は、将来上司になって部下を育成していく立場になった時にも大変役立つものです。私も地域住民と共に「自治」を実現できる職員となるために、「最近、調子どう?」という雑談からスタートして、日々対話の練習に励んでいます。皆さんもぜひお試しあれ!

(キャリア・ディベロップメント・アドバイザー遠藤優子)

 

 長谷川

 ですね!