都政新報記事より(左をクリックしてください。)

 

 前回のこのブログのシリーズの続きです。今回は、先にお読みいただきたい内容ですので、そのまま転載させていただきます。

 

 本来は、この回と前回の間にもう一つコラムがあるのですが、今回のものは、前回のブログで私が申し上げたかったことが網羅されているので、ぜひ、先に読んでいただきたいなと思いました。

 

 職員の人生にスポットを!

 

 「日本一の職員づくり」を目指し、職員の誰もが輝き、生き生きと活躍する組織づくりに取り組む静岡県藤枝市。若手職員の育み方について、山梨人財育成センター長に伺います。

 

 公務員としてどう生きる?私は何を目指して働いている?日々の業務や課題に追われていると、ついこのことを忘れ、月日に流されてしまいます。

 

 職員が自分の頭で仕事の設計ができ、自らが目指す公務員人生の目標ができると、やりがいと生きがいは数倍増します。でもそれは職員の努力だけでは難しい。組織がシステムとして職員の心に温かく寄り添い、支援することで、着実に実現するのです。

 

 組織でヒトを育てるとは?

 

 「切る・削る」オンリーの経営改革など、もう全く時代遅れです。職員各自が仕事の目的と生涯目標を決め、成果によって自信を深めて士気を上げ、公務員人生を設計する時代です。仕事を常に見直し、自らを改革して具体的に行動を続ける姿勢を、組織がシステムとして支える。これが藤枝市の経営戦略です。

 

 スペシャルな公務員でいこう

 

 本市は幅広い知見と実践力(総合力)とともに、特定分野の専門的な知識と能力(専門力)を備えた職員、「総合力のある専門家」を「スペシャル・ジェネラリスト」と呼び、計画的に丁寧に育んでいます。

 

 まず総合力は、職員が採用後のおおむね10年間に「窓口」「管理」「事業」の三つの業務分野を経験し、市政の基礎的概要をつかむことで身に付いていきます。その中で自分の得意な分野や深堀りしたい分野が見えてくると、どんな公務員になりたいか、そのためにどんなキャリアを積みたいかを、自分でおおよそ書き留めることができるようになります(キャリアデザインシート)。これを職場が共有し、その進捗を支援するのが、本市の職員人生設計のスタイルです。

 

 この進捗管理には、職員が毎年度当初、仕事の目標を明記し(人財育成シート)、その内容と実践状況を見て所属長が評価や助言を行うなど、職場単位で細やかに進めます。

 

 こうした取り組みで、組織と職場が常に自分を育ててくれているという実感と信頼感が湧いてくると、職員は将来の理想と考える公務員像を描き、それを目指しながら安心して仕事に励むことができます。市民サービスのレベルも、おのずと上がるわけです。

 

 要するに、自分の公務員人生を、組織の丁寧な下支えのもと、自ら創り上げるのです。これは本来、職業人として当たり前のことです。キャリアを積み、納得がいく将来の立ち姿を組織と共に自身で築く。自治体経営は総力戦です。職員皆が参画し、各自で取り組む「育ちの段取りと実践」こそ、厳しい時代に残り続け、強靭な組織と熱い志を持つ自治体づくりのカギだと思います。

 

 いま、若い皆さんへ

 

 改めて思い出してみましょう。入庁当時の初々しい理想、職務経験の振り返りから、酒の席での叫びまで、職員としてこれをしてみたい、あれに取り組みたいという思いは、本当は誰にでもあるはずです。素直にそれを実現させてはいかがでしょうか。

 

 組織としては、より多くの職員がそれを全うできるよう、一人ひとりを総力で、丁寧に支えるべきだと思います。今若い皆さんがやがて退職を迎え、自分の経歴や役職だけでなく、その仕事の中身を振り返った時、自分で考えて納得がいき、人々の役に立ったと確信が持てる仕事がいくつできたか。渡ってきた職場で、これがやれた、あれはできたと誇れる自分の「行政作品」がいくつ残せたか。これだと思います。

 

 この自身の内なる静かな問いに、明瞭に答えられる。それが公務員人生だと思いますし、職員としての立ち姿、矜持ある系譜だと思います。皆さん、野望を持って、たくましくいこうではありませんか。

(静岡県藤枝市人財育成センター長山梨秀樹)