さて、やってはいけないこと。

 

 なに?人件費の安易な制度変更と制度変更に起因する不利益の発生。

 

 今回の定例会に、船橋市の人事制度で下記のような給与表(一例です)があるのですが、これを変えるという議案が出ているそうです。それはたいしたことではありません。

 

 

 横に1級から9級まであるものを8級までとして、給与に手をつけるということです。これは、私はかねてから申し上げておりましたが、あまり意味のない役職者がでてしまう職務の級を一段階減らすのは道理であると思っておりまして、そこは良いし、今回の改正で直接的に影響を受ける職員は少ないのですが、それはそれで現給保障を綿密に組み立てなければならないのに、議案提出時には抜け落ちていたらしいのです。少々情報不足です。いずれにしても、不完全な議案をだされて議会はどう対応したのかわかりませんが、私の視点は別のところにあります。

 

 遡ること1年前くらいだそうですが、管理職手当のカットをしたそうです。私が申し上げたいのはこれ。

 

 この取り扱いが絶対にやってはいけないこと。だと思うのです。

 

 一般職の職員の給与等の人件費部分に手をつけるのは、納得できる理由というか合理的理由が必要です。

 

 私は、私が現役議員として在職中に、給与制度の様々な変遷があり、近年はほぼ完璧に近い、人様に後ろ指をさされるような状況には無い。という評価です。

 

 そして、仮にその制度改正を市独自にしようとしたら、綿密なシミュレーションをし、少なくとも国家公務員の給与関連法令を俯瞰して語れるような知識と、地方公務員法並びに関連法令のみならず、民間事業者向けの労働関係法令をしっかり押さえているような人材を育てて、専門的に中長期的に計画をしなければなりません。

 

 少なくとも以下の表にあるような関連する法令等を把握理解していることが肝要です。しかし、そういう人材が、現在、正副市長はじめ、誰一人船橋市役所にはいないと確信しております。

 

 

 

 それなのに、パフォーマンスに走り、行財政改革の過程において、自らの血を流すことを指摘され、急遽行ったと聞きました。しかも議会対応もめちゃくちゃ。

 

 パフォーマンスで行うからです。これは何もこのことに限った話でもなく、数多くの船橋市の行政運営に共通している事項です。

 

 さて話を戻しますが、どこの地方公共団体もそんな人材を育てられるわけもなく、雑な仕事になってしまいますから、国家公務員の制度に倣うような形を取ります。

 

 国公準拠と言っておりましたが、同時に国には独立した機関として「人事院」(公務員は、憲法で「全体の奉仕者」と定められ、職務の遂行に当たっては中立・公正性が強く求められます。このため、国家公務員法に基づき、人事行政に関する公正の確保及び国家公務員の利益の保護等に関する事務をつかさどる中立・第三者機関として、設けられたのが人事院です。)があり、そこが国家公務員の人事行政について専門的に取り組んでいるわけでありまして、ここの勧告等を参考にするのが地方公共団体にとっては合理的であるということで、人勧準拠とも言っております。(笑)。多分勝手な造語だとは思いますが。

 

 少なくとも人事院の情報は常にウォッチしているべきなのが、地方公共団体の人事担当者でしょうね。

 

 主要な関係法令を拾い上げてみました。あまりにも多いので、文字サイズを小さくして、画像にしました。

 

 

 

 

 こんなにたくさん国家公務員の給与・人事関係で法令があります。一方で、地方公務員の方は給与条例主義です。従って、条例制定、修正を行う議会の役割が重大です。

 

 給与関連条例を取り扱う「議会」が最終責任者として議決という重責を担うのですがその前段で行う委員会審査は、船橋市議会でいう「総務委員会」となりますが、国家公務員の法令に倣っていくとしたら、総務委員はある程度国家公務員の人事・給与関連法規を押さえておかなければなりません。

 

大丈夫でしょうかね(笑)。

 

 さて行財政改革によって市民の痛みを伴うから職員にも痛みをというのは、全く次元の違う話でいただけません。

 

 特別職の場合は「痛みを伴う」給与の問題に手をつけるようなことも勝手にできません。報酬等審議会がありますし、船橋市の場合は、独立した感じの報酬審議会では無いような感じですから、あまり期待もできません。さらに言えば、特別職は一度行財政改革で手をつけていない退職金をたくさん受領済みですから、痛くも痒くも無いのです。若干減らしたって、一番大変な時期の管理職者よりも余裕があるわけですから、全く無意味なわけです。

 

 そんな中、論理的思考無き杜撰な人事施策と言わざるを得ないのでは無いでしょうかね。今回の議案は。むしろ、常勤特別職が無報酬で1年間がんばりますとかいうんだったらまだわかりますが、そこまでのパフォーマンスはできない人たちですしね。

 

 そして、職員組合の存在を無視するような振る舞いをする市長なんてお辞めになった方がよろしいんじゃないですかね。パフォーマンスばかり先行させて、話すべきところに話さずでは、本末転倒どころか、どっか狂っちゃってるんじゃ無いのって感じです。

 

 何故こういうかというと、前述したように、船橋市の職員給与体系はほぼ完成形であって、むしろ、いじりようが無いものだと思います。

 

 こんなことを許してしまうと、どんなものでも手を突っ込んできてしまう懸念があります。なんせ、人事・給与に無理解の正副市長ですから、無理筋な思いつきでの人件費切りを「指示」し、指導力を発揮したかのようなつもりになるのでしょう。最低です。

 

 本気で人件費に手をつけるのであれば、まずは全職員(全職種)の勤務実態の透明化を先にはかるべきでしょう。表現の仕方が難しいのですが、私が気になっているのは、学校の教員、これは県費負担教職員ということで、人件費負担は市ではないのですが、勤務実態が決して良いものではありません。お金の負担が県であっても、過重労働にならない対策を取るのは市の仕事です。

 

 次に保育園保育士や病院職員です。これらも地方公営企業法適用事業所だとか交代勤務制の変形だからとか適当な理由をつけて「透明性の確保」ができない理由を並べる職員が数多くいましたが、それは許されないことです。

 

 消防職員もそうです。消防の場合は、以前から制度を整えておりますから、脱法行為などは無いでしょうが、過重労働にならない十分な配慮が必要です。

 

 また、季節変動のある職場の職員の勤務をどう取り扱っていくかを全く手をつけていなかった反省は、本来は市長がしなければなりません。副市長の時に人事を所管していたはずです。

 

 業務の棚卸しをしない限り、職員の公正公平そして健全かつ労働安全衛生に配慮した勤務の環境を整えられません。

 

 業務のノルマなき、あるいは職務のノルマなき、時間的制約を勤務時間優先の業務打ち切り圧力によって、どんどん仕事が先延ばしになるということを平気で認めてしまう、「昔ながらの役場仕事」をしている勤務体制を市民が知った時に許されるとでも思っているのでしょうか?

 

 ちょっと意味が分かりにくいかもしれませんので、この部分は次回にします。

 

 ちょっと長くなりましたので、この辺で。