さて前回は議会の実力について、入口部分を書かせていただきました。

 

 平成11年が地方議会の転機の年なのですが、読者の皆様も「地方分権」とか「地方創生」とか「地方~~」という言葉をよく聞くと思います。

 

 平成11年以前は、地方公共団体は国のそれぞれの省庁から上意下達で、国の言うことさえ聞いていれば良い時代でした。

 

 日本全国全て横並び。北海道、沖縄は特別に開発庁がありましたが、それ以外はとにかく「全国一律」であり「全国統一」されていたものです。

 

 しかし、平成11年からは地方は地方で考える。地方と国は対等の関係となりましたから、何事も上からの指示ではなく自分たちで、自分たちの街にあった行政運営を行うのが大前提であり、基本原則であるのです。

 

 そうなると、このブログでも何度も書かせていただきましたが、議会はその行政の・地方公共団体の最高意思決定機関であり、最終意思決定機関なのです。

 

 繰り返しになりますが、平成11年以前は、上から来ることを「追認するしかない」わけですから、執行機関の職員のいうことを聞き、それに「従って」いれば良かったのです。上から来ていることに文句を言おうが、意見を言おうが、要望をしようが、「答えは決まっている」のですから、議員などは悪態などつかないで、「そうだよねえ~」となんでも相槌を打ち、迎合していればよく、それが物分かりの良い、「良い議員さん」だったのです。

 

 しかし、現在は、全く違い、それぞれの街の特色に合わせ、行政運営を行いますから、執行機関の話を聞き取り、それを理解したのちに、今度はそのことを多角的に、検討をします。その検討は当然ですが、関連する法律から他地方公共団体の先進事例の調査や、利用者側や関係者側の現状、現況を調査し、どうあるべきかを自身の政治的信条や考え方に照らし合わせます。さらには、過去の事例(議会における協議・審議等の事項)などを調査し、現状・現況との違いを把握します。

 

 そして現代社会においてどうあるべきかなどの考察を加えていきます。

 

 そして、政治家として「政治的な決断」をするのです。そこには、情や個人的な利害関係などを排除して、すべての考え方を地方自治法第一条の二「地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に 実施する役割を広く担うものとする。」との条文を最大限に尊重してこの条文に沿っていると言う判断をするべきであるのです。

 

 参考までに、法律の逐条解説本を少し引用させていただきましょう。

 

 

 

 

 [解釈及び運用] 

 一 本条は、地方公共団体の存立目的と役割並びにその趣旨を達成するための国と地方公共団体の役割分担のあり方の基本及び国が地方公共団体に関する制度の策定及び施策の実施に当たって、地方公共団体の自主性及び自立性の発揮に関し、国として遵守しなければならない事項について規定しているものである。本条は、平成11年の地方分権一括法による改正によって新たに設けられたものである。平成11年の地方分権一括法の制定に至る一連の経緯、すなわち、平成5年6月の国会における衆議院、参議院の両院における「地方分権の推進に関する決議」、地方分権推進法(平7法96)の制定、地方分権推進委員会の審議及び同委員会の勧告、「地方分権推進計画(閣議決定)の策定などを通じて、

 

① 国と地方公共団体との間で役割分担が適切かつ明確になされるべきこと

② 地方公共団体の自主性及び自立性が確保され、十分に発揮されるべきこと

 

 が常にその基本となる考え方と位置付けられてきた。

 

 これらのことは、機関委任事務制度の廃止、事務の再構成、関与の新たなルールの創設、権限の配分など既存の制度を改革するに当たっての指針として示されたものではあるが、国と地方公共団体との基本的関係を規律するものとして、将来にかとっても重要な指針である。そこで、平成11年の地方分権一括法の制定など地方分権改革に当たり、その趣旨を本法において明確に示すことが適当と考えられたものである。その際、憲法第92条の規定により「地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。」とされている地方公共団体の組織及び運営に関する根幹的事項として、本条において、地方公共団体の担うべき役割を規定するとともに、国は、国と地方公共団体との役割がそのように適切かつ明確に分担されるようにするとともに地方公共団体の自主性及び自立性が確保され、十分に発揮されるようにしなければならないことを規定することとされたものである。

 なお、このことは、かつての地方分権推進法と同様に、平成18年12月に制定された、「地方分権改革推進法」にも規定されていた。

 この規定の趣旨は、さらに第2条第12項から第13項までの規定に敷衍されており、これらと相挨って、今後の立法や法令の解釈・運用の指針として大きな意義を有することになるものと考えられる。例えば、新たな社会事象が発生し何らかの規制が必要とされる場合、国が法律を制定するのか、あるいは地方公共団体の条例によることとするのか、法律により生ずる新たな事務を国と地方公共団体のどちらの事務とするのか、地方公共団体に配分した事務について国がどのように関わるのか、などの判断や決定の際の基本的な基準になる。また、地方分権一括法による改正において実質的に拡大された条例制定権について、関係法律の趣旨・目的をどのように解釈すべきか、というような場面においても一定の機能を果たすことになろう。こうした意味において、「役割分担の原則」の基本規定は、国の法令の制定や法令の解釈運用に関する「配慮原則」となるという見方もできよう。

 

 二 第一項の規定は、地方公共団体の存立目的と役割を定めたものである。地方分権一括法による改正前においては、地方公共団体の存立目的を定めた規定はなかつたが、役割に関しては、改正前の第2条において、地方公共団体の事務を定めた規定に包含されていたといえる。

 地方分権一括法による改正により、地方公共団体の役割は、第一項のように包括的に幅広く明示され、「地域における行政を……実施する役割を広く担うものとする」と規定された。ここでいう「行政」は、その性質から云えば、実質的意義の行政の性質を有するもののほか、実質的意義の立法の性質をもつもの(例えば、条例・規則等の制定等)や、一種の司法的性質を有するもの(例えば、過料処分等)も含むものである。そして、第一項の規定は、地方公共団体が、憲法に定める地域的な統治団体として、地域との関連性のあるこのような意味での行政の処理をその役割として広く担う主体であることを表わしているものである。

 「自主的かつ総合的に実施する」とは、地方公共団体が、行政の企画・立案、選択、調整、管理・執行などを、自らの判断と責任に基づいて、各行政間の調和と調整を確保しつつ一貫して処理することを意味している。つまり、「自主的」とは、自らの判断と責任に基づくこと、すなわち、「自己決定と自己責任」を原則とすることである。また、「総合的」とは、関連する行政の間の調和と調整を確保するという総合性と、特定の行政における企画・立案、選択、調整、管理・執行などを一貫して行うという総合性との面面の総合性を意味するものと解する(平成7年3月24日衆議院地方分権に関する特別委員会における地方分権推進法案に対する審議の際の当時の総務庁長官答弁参照)。なお、地方分権推進委員会の「地方分権推進に当たっての基本的考え方・行政分野別課題審議に当たって留意すべき事項」平成7年10月)において「地方公共団体は、……地域に関する行政を主体的かつ総合的に担い、企画・立案、調整、実施などを一貫して処理していくものとする。」([別紙2]行政分野別課題審議に当たって留意すべき事項1「国と地方の役割分担」)とされており、地方分権改革推進委員会の「地方分権改革推進にあたっての基本的な考え方―地方が主役の国づくりー」(平成19年5月)においても「地方自治体が処理する事務について、企画立案から管理執行に至るまで地方自治体が責任を持つことができるように見直し」としている(3調査審議の方針「(1)国と地方の役割分担の徹底した見直し等」)。また、地方分権改革推進委員会の「中間的な取りまとめ」(平成19年11月)においては「地方自治体を国が決めた政策・制度の単なる執行主体から、地域における政策・制度を自ら企画立案する主体へと転換することが求められる。」としている。

 

 ということで、地方公共団体の役割というものは、ものすごく大切になっているのです。自律的で、自立をして、「企画・立案、選択、調整、管理・執行などを一貫して行う」のが市長以下の執行機関で、その趣旨を十分に理解をして最終かつ最高の意思決定をするのが議会です。その責任は極めて大きいのです。

 

 従って、今回の件も、委託の予算を議決した議会にその責任があり、令和元年5月31日まで契約期間があり、精算が行われた決算に関して議会がどう対応したか?が議会の責任論にもなってきます。決算を認定していたとしたら?なんの問題もなく、追及も何もせず、すんなり決算認定をしていたとしたら?

 

 ということを少し調べてみましょう。