前回に引き続き、片山善博先生の論からです。

 

 

 

 

 議題中心の定例日方式に

 定例会方式では大量の議案がまとめてどっと上程される。それをさほど長くない会期中に処理することになるが、果たして議員はそれらの議案の内容を十分理解した上で審議し、結論を出しているのか。特に2月ないし3月の定例会では当初予算も提案されるから、議員の負担は著しく大きい。知り合いの議員に尋ねてみると、とてもではないが議案の全部を理解するのは無理だと述懐していた。

 

 前回の私のコメントに入れさせていただきましたが、議案を丁寧に審査してもらおうという意識が皆無なのが地方公共団体の議案提案者。一方それを受ける議会側も時間を使って、丁寧に審査をする意識も皆無。

 

 なぜなら、まさにこのシリーズで書かれている、定例会という方式を取っているところは、下手すりゃ議決日のお尻が決まっていたりします。何月何日までに議決いただかないと公布手続きが間に合いませんとか施行日がずれ込むわけにはいきませんとか。です。

 

 だったら、もっと早く余裕を持って出せよという感じですが、定例会が年4回とか3回とか決まっていると、それに基づいて、その他の「日程」も組んでいたりします。

 

 本来は、招集は首長の専権ですが、日程を組むのは本当の本当は議会ですから、本来は十分な審査ができたと言うところで初めて議決日が決まるはずなのに、決まった日程に収めようとするのがどこの地方議会でも共通しているようです。

 

 これが毎週定期的に開催される定例日方式だと事情はいささか異なる。少しずつ小出しに出てくるので、議案の内容を把握する余裕が議員にはある。一つ一つの議案をやはり毎週定期的に開く常任委員会で審議し、その上で定例日に開かれる本会議で処理すればいい。

 

 まさにこの通りだと思います。

 

 かくして、定例日方式のもとではおのずと議案中心の議会運営となる。議案と関係のない一般質問を中心にしたこれまでの議会運営は変貌を余儀なくされよう。では、質問はどうなるのか。議員には質問の機会がなくなるのかといえば、そんなことはない。議案に関係する内容であれば、該当の委員会での審議の折に質問すればいい。その際は、本当に尋ねたいことを担当課長に聞くのがよい。実務に通じていない首長を相手にするより、よほど生産的だ。

 

 ここに私は、江藤俊昭先生の政策サイクルの考え方を取り入れるとより効果的ではないかと思っています。

 

 

 政策サイクルの中での討議を通じて、サイクルの中から一般質問が生まれる。と言うイメージです。

 

 一方、これまで質問と称しつつ実は政策提案が多かったと思うが、こうしたことは質問ではなく議員提案の議案として提出し、それをめぐって委員会で議論すればいい。そうすれば、同じ議題をめぐり議員ごとにバラバラに執行部に掛け合う、これまでの非効率なやり方を大幅に改善できる。しかも、その議題に関心のある市民は議案が審議される日時をめざして傍聴に来ればいいから、この面でも実に生産的である。

 

 この部分は、大いに賛同いたしますね。

 

 最後にもう一つ定例日方式の効用を付け加えておくと、議員に対する住民の批判の一つがなくなるはずだ。いまどき年に4回、2ないし3週間ずつ出勤するだけであとは有給休暇などという優雅な職種は議員をおいてほかにない、と多くの住民は苦々しく思っている。毎日あちこちに出かけて、住民の課題を把握するよう務めていると議員は抗弁するものの、ほとんど理解されない。もし、毎週定例日に議会が開かれるようになれば、こんな「長期有給休暇」批判もおのずと解消されるに違いない。

 

 まったくもってそう。私が現職の時には議会全体ができるだけ働いている姿を見せるということに注力してきたのですが、昨日のブログ、

 

 地方議会への違和感 質問中心の議会運営を見直せ(続き

 

 

(上記をクリックしてください。)

 

 の最下段の赤文字の部分のような状況じゃ、批判の対象になってしまうだろうなということです。