情報化社会という言葉が聞かれるようになって随分と経ちます。そして、多くの民間企業が個人情報を扱う場合には、法律の定めの他、企業のモラルや意識の高さを表す意味でも、神経質なほどの取り扱いをするケースが見られます。

 

 その時代の流れに逆らうかのように、あるいは、あたかもそういう流れが無いかのようにしているのが、地方公共団体の日常風景に見受けられます。

 

 政府機関の庁舎を訪問すると、これはもう最新の民間企業のようにセキュリティゲート等を設置し、監視カメラの設置やしかるべき対策をしております。

 

 ところが、なぜか「市役所」や「町や村の役場」のレベルになると、著しく劣るというか、そういう意識のかけらさえも感じることができない風景が広がっております。

 

 それで良いのでしょうか?

 

 私は、何度か市役所の担当者に話したことがありますが、決まって言われることは、「市民に開かれた役所であるためには、致し方ないことです。」ということでした。担当が替わるたびではありませんが、気になるものですから、思い出すと尋ねるようにしていたのですが、回答はほぼ同じような感じでした。

 

 しかし、私は、どう考えても納得がいきません。例えば、市役所業務の一部を委託したりすることがありますが、その際には「個人情報の取り扱い」に厳しい条件を付したります。

 

 じゃあ、日常業務で個人情報の取り扱いが完璧にできていて、安全が担保されているかというと、全くといって良いほど無防備です。日本古来の伝統による国民性とでもいうのでしょうか?いわゆる「性善説」でものを捉えるのが地方公共団体の基本です。

 

 そこには時代に対応した考えなど微塵もなく存在をするのです。

 

 何を申し上げたいかと言うと、今、日本という国は世界の中でも「優秀」な「先進国」であり、発展途上の国を含め、世界の多くの国から、日本の基礎的な教育を受けていない人々が「入国」をして、観光ならまだしも「長期」の滞在をする外国人が増加の一途をたどっているのです。

 

 外国人イコール犯罪者とは申し上げませんが、育った環境、国情によって、ものの考え方は100%違うと言っても過言ではありません。

 

 日本人でもそうですが、外国人でもどちらでも、「金儲けには手段を選ばず」という意識を持つ人々は一定数存在します。

 

 そういう人たちの存在を「ありえない」こととしているかのようなのが地方公共団体だと思うのです。

 

 ことが起きてからでは、済まない。という意識が皆無なのです。

 

 特に船橋市役所を見ていると、ことが起きたら対策をする。のです。そこには、市民の皆様からお預かりしている「財産」であると意識のかけらもないのです。「税」と「個人情報」、これは1円たりとも、一文字たりとも無駄にしてはいけない、漏らしてはいけない大切なものであるのです。

少し話を戻しましょう。

 

 「市民に開かれた役所」は、個人情報や税金としてお預かりした金を守る方策を講じてはいけないのでしょうか?というよりそれらを守ることに市民の皆様がお怒りになるでしょうか?

 

 庁舎への入庁、退庁を厳しく管理しろとは言いますが、入庁、退庁を厳しくしろということでは全くありません。

 

 船橋市役所の例で申し上げますが、電脳頭とでもいうのでしょうか?IT思考でものを考えたり意識したりすることができない上司が多いが故に進まないのだと思いますが、よくIT関係の仕事をしている方々とお話をすると「切り分ける」という言葉を頻繁に聞きます。これは何もITに限らずさまざな分野でも一般的に使われるようになってきていますが、船橋市役所にはありません。

 

 電脳頭がありませんから、「対症療法」をするだけ。その症状を抑えるだけの話。以前に私のブログで何回か書かせていただいたのですが、「ダブルチェックをします。」という再発防止策がなんと多いことか。ということです。何か不祥事が起きるたびに聞く「ダブルチェク」「トリプルチェック」の話にはうんざりです。

 

 私は行政機関の事務のあり方に関して、民間企業以上の意識と実践を要するものであると強く感じています。

 

 個人情報の流出に関して、驚くべき発言を聞いたことがあります。すでに世間では、2004年に起きたYahoo!BB(ソフトバンクBB)の個人情報流出事件で、500円分のQUOカードを被害者に進呈するということがあったように記憶していますが、ちょうどその頃、船橋市でも個人情報が、流出する事案がありました。その時に、のちの市長となる職員と話をした時に、「金銭補償の意識」もなければ、民間事業者がそういう失態を起こせば金銭補償につながるという認識もなく、「次回から気をつければ良い」程度の意識による話っぷりでした。もちろん反省の弁はありましたが、その反省はかなりアナログ的思考によるものだった記憶があります。

 

 私は、日本全国の行政機関に勤務する地方公務員諸氏には、一流の民間企業という言い方自体が変ですが、民間企業よりも優れたあるいは秀でた「機密保持」の意識を持ちながら、国民の知る権利を犯さない「情報公開の意識」のバランスを保てる職員教育をするべきだと強く思っております。

 

 そのためには、「情報」は、職員個々が事務を執り行うためのツールではなく、「税金」にも匹敵する「住民から預かっている財産」であるという意識の醸成が大事だと思います。

 

 電子であろうが紙であろうが、「機密」の意識が足りていないと思います。

 

 船橋市役所を例にとって考えましょう。部長級以上の個室を除き、ほぼ、執務の状況は廊下を歩くだけで見渡せます。そうです、外からの訪問者に大変良く開かれたオフィス空間が広がっています。明かり取りのように、「ロ」の字のフロアレイアウトで、中側と外側から両方向から明るい光が入ってきています。

 

 特殊なフロアである、コンピューター関係のフロアと議会のフロアいわゆる管理部門の3フロアくらいが仕切りのある部屋の構成ですが、基本は「開かれた空間」です。

 

 馴染みがある方や、普通に事情がわからなければ「明るくていいんじゃない。」となると思います。

 

 しかし、そうでしょうか?IT技術がめざましく進展して、様々な精密機器がより高度になってきた現在、一枚の写真画像が、思わぬ分析ができる状況も生まれてきています。

 

 「ネットの写真から居場所が特定される!? スマホで写真を撮る時は Exif 情報に要注意!」などというインターネット上の記事がたくさんありますし、SNS上の画像で住所を特定されたアイドルがいたりします。

 

 行政庁舎内の写真撮影は、緩やかに自由な状況にあります。ましてや、人の出入りも自由です。