目に見えない上下関係。これがキーワードです。というか、目に見えなくはないのですが、年功序列というか、日本全国の公立学校教諭がそうだと言うわけではありません。念のため。

 

 さて、学校経営の最高責任者は校長です。

 

 前回のブログなどで書いておりますが、政令指定都市を除く一般の市町村立の学校の教諭の給料は都道府県が負担します。従って、学校現場の仕事をしているときに定年退職の時期を迎えます。

 

 そして、都道府県から「退職金」を受け取ります。

 

 さて、一方で、給料の出所が違う「市町村教育委員会」の職員になる学校教諭がいます。

 

 この方々は非常に不便で、一度、県費負担教諭としての身分を離れます。簡単に言うと給料等の身分に関するものの出所、加入どころが違いますから、すべて新たに手続きをとります。

 

 例えばですが、船橋市立○○小学校の先生が、千葉県から給料をもらい、千葉県の教職員関係の共済組合等で、社会保険関係の費用の負担があったものが、船橋市から給料をもらい船橋市の市町村共済組合等で社会保険関係の費用の負担となります。従って、例えばですが住宅ローンなどで共済から借り入れなどをしていたら、一旦「退職」扱いになるが故に、組合間の借り入れの組み替えをすると教員籍職員から聞いたことがあります。(いまは改善、便宜が図られるようになったかどうかはわかりません。)

 

 それらとは別に、先に述べた「退職金」の問題があります。

 

 教育委員会に配置されることになった「教員」としての「本籍」の職員は、概ね58歳になると現場の教員として復帰します。その大きな理由は市町村で「退職金」を払わないためです。そのまま教育委員会の職員として定年退職を迎えると、市町村が退職金を払います。教諭として現場にいれば県費負担教諭として県から退職金が支払われます。その退職時の身分によって、退職金の出所が変わるのです。

 

 ということは、教育委員会という組織には、現場のことをよくわかっている現場経験をしている「教員籍」の職員が数多くいますが、ほぼ全員58歳未満です。

 

 一方、現場の校長先生は?教育委員会職員よりも「先輩」であることが多いのが実態です。

 

 さて、それが何を意味するか?です。

 

 教育委員会と学校経営責任者とは対等とは言いませんが、学校経営に関してはほぼ全責任を校長が負っています。

 

 ですから、よくモンスターペアレンツと言われるような保護者が、「教育委員会に言ってやる~」とか言うようですが、無意味とは言いませんが、あまり効果的ではありません。

 

 前述したように、58歳未満の教育委員会の部長や課長が、定年間近の校長に何かを言っても、先輩であるケースが多々あるのです。ましてや、一緒に勤務して世話になった先輩であったり、教育委員会で勉強する機会を与えてくれる(人事評価、異動願い等)先輩だったりしたら、もう頭があがりません。

 

 仕事は仕事と言ってもそうは行かないのがこの世界です。(笑)。

 

 ましてや、ほぼ学校経営上の大きな権限を持っている校長先生に教育委員会が物申すなどということは、なかなかできないものです。

 

 この「責任」という二文字の所在をどこにするかで、紆余曲折とは言いませんが、様々な議論の末現在の姿があります。

 

 そのような中で起きた、今回の東須磨小教員間暴行・暴言問題は、なんとも驚愕の事件で、制度を再び見直さなければならない事件でもあるような気がします。