【正論11月号】香港デモが収束しない理由 産経新聞外信部次長 矢板明夫

 

 

 

 興味深い記事です。最後まで読むとなるほどなあと思いますね。非常に冷静で、現地の様子や取材の豊富さが伺えます。

 

 「私がここで着目していることは、デモに参加した二十代の香港の若者たちは全員が「共産党教育」を受けた世代だということだ。香港が中国に返還されたのは一九九七年七月一日。二十二年前だ。つまりこの時、小学生になった子供(七歳)は今、二十九歳になっている。」

 

 さらに、この記述の前に、

 「これに対して英国時代の教育を受けた年配の人たちが今回のデモで暴れたという話はあまり耳にしない。」

 

 私が業務で香港を行き来していたのは、まさにこの英国時代の教育の時代。

 

 現代の香港の若い人たちとは意識が違うのかもしれませんが、何度もここで書かせていただいているように、今、香港は中華人民共和国そのもののはずです。

 

 返還から50年間で、中華人民共和国と同じ政治の体制にもするし、経済の体制にもするのでしょう。それは今の中華人民共和国からイメージすべきものであって、今の香港の体制から同じものの維持を求めてはならない話だと思うのです。

 

 しかも、ニュースやインターネットで見る動画は、明らかに「暴徒」になっています。

 

 これらをしかめっ面で、若者側の視点で報道することが、あるいは日本の体制を基準にして、何もかもが自分たちと同じ、日本と同じという意識で語るべきなのでしょうか?身近ゆえにニュース性があるということなのでしょうか?

 

 私は、報道の仕方が間違えているような気がします。

 

 香港の若い方々には現実を直視することを大人が教えてあげるべきだと思います。それは、あと20数年で、ここは中華人民共和国そのものになるんだということを。

 

 そして、あの1997年前に多くの香港人が、その将来を憂い、アメリカへ、オーストラリアへ、カナダへと移住を考え、着々と準備をし段階的に、あるいは可及的に移住をしたように、移住の手段を一国二制度の期限内によく考え、実行すべきだと思います。

 

 日本でも優秀な香港人は喜んで受け入れるでしょう。また、言語の問題が気になれば台湾を始め、世界中に中華社会は存在します。多くの国にチャイナタウンはあります。

 

 そして、そこには同胞を無条件に快く受け入れる土壌があります。

 

 もしも、今と同様な「自由」「民主」「資本主義」などを享受しながら、一生を過ごしたいと思うのなら、中華人民共和国の香港から脱出することを真剣に考えるべきであって、暴れている場合ではないと思います。

 

 そのエネルギーを自分のため使うべきでしょう。そして、逮捕されたりして香港出国ができないようなことはするべきではありません。

 

 そして、私の友人たちのように、中華人民共和国以外のパスポートを持てるように頑張って、再び、中華人民共和国に出入国をすれば良いのです。

 

 今の香港の若い人たちの行動は残念に思いますね。