さて、一人興奮し、一気に書き上げましたが、そもそもこういう事項を、市民の皆様にわかりやすく解説するべきだろうと思い、再度書かせていただきます。

 

 市議会と国会を対比しながら、うまく解説できればと思います。

 

 まず、皆様は、国会中継をご覧になったことはございますか?NHKで延々とやっているときがありますが、本会議場で行なっているものはニュース映像でも映ります。大きな広い場所で、野党の議員がわあ~わあ~言いながら、内閣総理大臣が答弁する様子などを映し出していると思います。

 

 市議会にも本会議場があります。まさに、あの国会を模してコンパクトにした設計が船橋市議会の議場です。船橋市議会も映像で皆様に見ていただけるように、インターネットによる中継を行っております。残念ながらテレビでは見ることができません。しかしながら、録画も好きな時に見られるようになっておりますから、ぜひご覧になると良いと思います。

 

 このインターネット中継および録画の放映は国会も船橋市議会も画質は別として同じように行われております。

 

 次に、このシリーズ最初のブログに書きました、総務委員会をはじめとする委員会の中継ですが、これも国会と同じように生中継および録画放映が行われています。

 

 さて、委員会とはなんでしょうか?まず、国会も市議会もほぼ同じですが、常任委員会という、常置の委員会が船橋市議会には5委員会あります。国会はもっともっと多くて、衆議院、参議院両院ともに各所管省庁所管に合わせたものに、議院を運営するための委員会を合わせて、17委員会あります。

 

 これらは、議案という、審議、議決をするための下審査機関の役目があり、本会議ですと国会も市議会もそれぞれに定数の議員の一定数が開会のために必要となりなおかつ、様々な職務を抱えておる議員が、効率的に議案の処理をしていくために、人数を本会議より大きく絞って、徹底的な審査を行いながら最終的な議決の手前までの作業を行います。

 

 委員会においてはほぼ質問が出尽くすまで、徹底的に議案に対して質問をします。そして疑問点が無くなったところで、賛成か反対の結論に導きます。

 

 その下審査機関の結論を尊重しますので、本会議では、委員長の報告をして、下審査に関わらなかった議員も含め最終的な採決を行います。そこで決まれば国会では法律が決定されたり、国全体の予算が決まります。市議会では同じように市の法律である条例や予算が決まります。

 

 さて、まさに下審査機関ですから、簡単にいうと実務者レベルからの聞き取りをしながら、結論を出すという作業になります。従って、国では内閣総理大臣が常任委員会に出席することは余程のことがない限りありえませんし、一つの常任委員会に簡単に出席する例ができてしまいますとあちこちの委員会から呼ばれてしまい、本来の総理としての職務をこなせなくなってしまいます。だからこそ、所管大臣が出席をしたりしながら、実務者レベルの細かい質疑応答があったり、総合的には大臣が答弁したりとするのが国会の委員会の様子です。

 

 船橋市議会でも、本会議には特別職を始め、各執行機関の長が出席します。これは、地方自治法に次のように定められています。

 

 第百二十一条 普通地方公共団体の長、教育委員会の教育長、選挙管理委員会の委員長、人事委員会の委員長又は公平委員会の委員長、公安委員会の委員長、労働委員会の委員、農業委員会の会長及び監査委員その他法律に基づく委員会の代表者又は委員並びにその委任又は嘱託を受けた者は、議会の審議に必要な説明のため議長から出席を求められたときは、議場に出席しなければならない。ただし、出席すべき日時に議場に出席できないことについて正当な理由がある場合において、その旨を議長に届け出たときは、この限りでない。

○2 第百二条の二第一項の議会の議長は、前項本文の規定により議場への出席を求めるに当たつては、普通地方公共団体の執行機関の事務に支障を及ぼすことのないよう配慮しなければならない。

 

 第百二条の二 普通地方公共団体の議会は、前条の規定にかかわらず、条例で定めるところにより、定例会及び臨時会とせず、毎年、条例で定める日から翌年の当該日の前日までを会期とすることができる。

 

 「普通地方公共団体の長」=市長、「教育委員会の教育長」、「選挙管理委員会の委員長」、「人事委員会の委員長」又は「公平委員会の委員長」、「公安委員会の委員長」、「労働委員会の委員」、「農業委員会の会長」及び「監査委員」その他法律に基づく委員会の代表者又は委員は、「審議に必要な説明のため議長から出席を求められたとき」は、「議場に出席しなければならない。」のです。逆に求められなければ、出席しなくて良いのです。

 

 ここにある「議場に出席しなければならない。」と書かれている人たちは「特別職」と呼ばれる方々です。そして、条文にある「並びにその委任又は嘱託を受けた者」というのは、部長であったり、事務局長であったりします。

 

 で、本会議を行うのが議場ですが、委員会はほぼ委員会室で行うのが一般的です。そして、船橋市議会の委員会は議案提出者の市長(首長)は、一般的には下審査機関ですから、局部長に任せて、基本的には直接的にその事務事業に関わる課長が答弁をする形で委員会の審査は進みます。

 

 国は、大臣をほぼ最高位として、副大臣、政務官などから事務方の官僚が出席して答弁を行います。内閣総理大臣は先ほど書いたようにほぼ出席を致しません。

 

 議会を含め、「役所」というところは前例踏襲を基本として日頃の事務事業を進めます。従って、前例にならい会議も進めますし、事務も進めます。ですから初めてのことをやる時には慎重かつ多方面、多角的な検討を加え、より多くのコンセンサスを得て、「例」に加えます。

 

 今回、私が興奮してしまったのは、通常の常任委員会に執行機関の最高位の市長に出席を求めることになったということですから、天地がひっくり返るような話です。

 

 そもそも、人事議案だからという話があるようですが、だからこそ、本来は、その人事の当該人を所管する委員会と、首長による人事を司る委員会とが連合審査会という形をとって、所管をまたがって審査をするという形式で行うことが自然であって、その方式をとらなかったそうです。

 

 ということは、たぶんまず最初に本会議場で行う、議案質疑の際にほぼ質疑は出尽くして、詳細な下審査はいらないだろうという結論になり付託(下審査をするための議案を預ける先)先が、連合審査不要となったものと思われます。

 

ところが、なのです。連合審査不要でありながら、市長の出席を求めるとなると、本会議場における議案質疑以上の質問が出るのだろうか、あるのだろうか?という疑問符をつけざるをえません。

 

 なので、私は、前回のブログに書いたように、色々な方々からお聞きした話を総合的に組み合わせると、元議長と現議長が、現議長会派をうまく使って、常任委員会の新しいあり方を実現したとしか考えられないのです。

 

 これによって、大して質問がなくても、常任委員会に市長はじめ特別職に出席を求める前例ができ、今後は、どんどん市長はじめ、副市長や教育長、公平委員長や農業員会会長など様々な特別職の方々の出席を簡単に求められるようになる前例だと言えるでしょう。素晴らしい限りです。

 

 一方、参考にコピペした地方自治法第121条の第2項で「執行機関の事務に支障を及ぼすことのないよう配慮しなければならない。」とあります。

 

 私は、さらに引用されている「第百二条の二」に関わらず、「執行機関の事務に支障を及ぼすことのないよう配慮しなければならない。」ことを常に意識しておくことが議会の側の気配りであると思っています。従って、私が議会運営委員長や議長を経験して行ってきたことは、「特別」である理由づけを行うということです。そして、場合によっては前例にしないというコンセンサスをとるということです。

 

 しかし、今回はどうも「前例にしない」の手続きもなしだったようです。従って、議会の大物たちが仕組んだ、市長の常任委員会出席がいとも簡単に例となってしまいました。

 

 ちょっと私の書き方では論点が見えにくいかもしれませんね。

 

 私は、私が議会人として育った環境では、5常任委員会には市長の出席は求めるべきではない。という考え方ですし、今も変わりません。