さて、ここ数回何度か書かせていただいた他市議会の方と懇親会を行いました。

 

 また、新たな課題が出てきました。当初予算や決算は特別委員会を設置して審査を行っていますが、補正予算に関しては議案の分割付託をしているらしいのです。

 

 なので、分割付託と言う言葉がありながらなぜそれができないかなどを前々回おさらいをし、前回は「議案不可分の原則」の前段を書きました。

 

 今回は続きです。

 

 

 

 

 前回も書きましたが、Amazonは中古しかなく、本来の価格より高いですね。

 

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 ぎょうせい 第3巻 P79~

 

 4 対応策

 予算の分割付託を回避する方法としては次のようなやり方がある。

  (1) 特定の常任委員会に付託し、関係常任委員会と連合審査会を開く。予算は全ての常任委員会に関係があるので、連合審査会を開くならば議員全員が審査に参加できる。しかし連合審査会の性質上、審査の日数等は付託委員会に左右され、また付託委員会以外の委員には修正動議の提出権、予算に対する表決権が認められていないので十分な満足を得られない欠点がある。

 

  (2) 常任委員会の設置数については、以前、地方自治法で人口に応じて設置数が制限されていたが、平成12年の改正で常任委員会にの設置数についての制限はなくなったこと、平成18年の改正で議員は複数の常任委員に就任することができること、毎年提出される議案は常任委員会で審査するのが原則であることから、議長、副議長を除く議員全員で構成する予算常任委員会を設置して審査する。この予算常任委員会は本会議とほぼ同じ構成なので詳細な審査をすることは困難である。このため常任委員会の所管ごとに分科会を設けて審査すれば詳細かつ能率的な審査ができる。分科会の名称を例えば総務分科会、文教分科会…と常任委員会の名称を利用してもよいし、第一分科会、第二分科会…のように数字で表してもよい。この方式によると議案不可分の原則に反しないし、また議員全員が審査に参加でき満足できる。この反面、①議員のほぼ全員を構成員とするのは本会議の変形である、②予算常任委員会の審査が長引き能率性に欠ける等の批判がある。しかし議員のほぼ全員が参加でき、委員会で修正の動議、討論、表決権を行使できるのは、この種の予算常任委員会方式しかない。批判はあっても議案不可分の原則を確保でき審査も十分できるので、実能面をとらえると、この種の予算常任委員会は評価できる。

 

 まさに、この平成18年の自治法の改正によって、2以上の常任委員会に所属することができるようになりましたのでこのやり方が適法かつ論理的にもかなっていると思います。

 

 (3) 議員のほぼ全員で構成する予算常任委員会は例外的な運用であるので、予算常任委員会を設置するにしても委員定数を議員定数の半数又はそれ以下とする。これは委員定数から適切であるが、これでは審査に参加したい議員の希望を満足させることはできない。このため議員の半数で構成する場合、残りの半数の議員を決算常任委員に選任し、議員は予算、決算のいずれかを審査できるようにする。今年予算を審査した議員は、翌年度決算委員に就任すれば予算、決算を総合的に審査することになり成果をあげることができる。

 

(4) このほか議長、副議長を除く議員全員で予算決算常任委員会を設置し、②のように他の常任委員会を分科会として活用することも考えられる。

 

船橋市議会はこの形式の変形を採用していますね。

 

5 参議院における委嘱審査

 

 (1) 衆議院、参議院には予算常任委員会が設置されているが、参議院では総予算(当初予算)の審査で予算常任委員会の議決により関係委員会に審査を委嘱することができることになっている(参規74の4)。これは昭和57年に参議院規則が改正され昭和57年度総予算の審査から用いている。予算委員会における委嘱審査の議決は関係委員会を拘束しないので、関係委員会が審査を受け入れるかどうかは自由である。予算委員会からの一方的行為であり関係委員会から予算委員会に対し審査の委嘱を要求することはできない。委嘱審査の期間は1~3日間で関係委員会は委嘱審査を終了した時、予算委員長に対し審査の概要を文書で報告する。

 

 (2) 参議院予算委員会の委嘱審査は、議員全員が予算の審査に参加できる点で地方議会の分割付託に似ているが、①予算は予算常任委員会に付託され、その審査の一形態として関係委員会に審査を委嘱(依頼)するので、関係委員会に予算の一部が付託されるものでない、②関係委員会は審査をするが、討論、採決しない点で、分割付託と基本的に異なっている。委嘱審査は議案不可分の原則を堅持しつつ分割付託による審査と同種の審査を行っているものと評価できる。地方議会の標準会議規則には参議院規則第74条の4の委嘱審査の概念がないので、この方式を採用することはできないが、分割付託を回避する方法として検討に値するやり方である。

 

 この参議院の委嘱審査という手法も興味深いですね。

 

(四)使用料条例案の委員会審査

 使用料を引き上げる場合、改正を要する条例は多数にのぼる。個々の条例ごとに改正案を議案として提出するのであれば問題ないが、一つの議案で数個の条例を改正する事例がある。①関係条例ごとに議案とするか、②一つの条例で数個の条例を改正する議案とするかは長の判断である。②による場合、複数の委員会に関係があっても議案不可分の原則が働くので、歳入を所管する総務委員会に付託せざるを得ない。関係委員会に分割付託することはできない。このように数個の条例改正を一つの議案としている場合の採決では、例えば数個の条例のうちA条例改正案を否決、A条例改正案以外を可決とすることもできるように思われるが、議案不可分の原則から個々の条例改正案を採決の対象にすることはなじまない。一つの議案の部分を個別に諮るのでなく、A条例改正案を削除する修正の動議を提出する方法をとるべきである。これについては標準会議規則が採決の対象を「表決に付する問題」とし「表決に付する議題」と規定していない(県会規77、市会規67、町村会規78)ことから、①一つの議案を構成する部分を対象にして数回の採決をすることができる、②「議決の結果生じた条項、字句、数字その他の整理」は議長に委任することにより措置することができる(県会規44、市会規43、町村会規45)、③条例ごとに採決することは議案不可分の原則に抵触しないとの考え方もあるが、修正の動議を提出できるので適当でない。

 参議院では昭和22年10月11日、刑法の一部改正法案を条文ごとに5回採決した事例がある(参先322)が、これは異例な運営であり参考にならない。

 

(五)選任同意議案と委員会審査

 一つの議案でA、B二人の選任同意を求める事例がある。議案不可分の原則からすると一回で採決することが求められるが、実際の採決ではAに同意、Bに不同意との結果が出ることがある。選任同意議案は一人一議案を原則とするが、長が数人を一つの議案で提出するため、同意と不同意が生ずる。基本的にはA同意議案とB同意議案の二つの議案であるので議案不可分の原則は適用されない。行政実例によると一つの議案で数人を選任同意する場合、一部に同意、一部に不同意とすることができると述べている(昭和27年2月1日)。

 

 なお、議会は長に対し一人一議案とする原則的な議案として提出するよう求めることができる。

 

 この(四)(五)は、条例の作り方や議案提案の仕方として担当者レベルで話し合って、議会に対して「気を使う」ことをすれば良いだけのような気がしますね。どちらの例も、議会を軽視していれば、全て一括で、半ば脅迫のように、一括だと簡単でしょう。と言いながらパーツパーツ等の修正をしにくくしていますよね。

 

 まあそれはよくない話だと思いますね。

 

 さて、その18年の法改正にいたる部分ですが、第28次地方制度調査会の「地方の自主性・自律性の拡大及び地方議会のあり方に関する答申」の中で次のように記述されています。

 

 第2 議会のあり方の前文に「1議会に対する期待と評価」が書かれ、「2 議会のあり方の見直しに係る具体的方策の検討」の中で、「(2)具体的方策」として「② 議会の組織」の部分で、議会の組織に係る自主性・自律性の拡大等を図る見地から議員の複数の常任委員会への所属制限を廃止することとし、一定の規律が必要な場合には、委員会条例に必要な規定をおくこと等で対応することとすべきである。

 

 また、委員会の委員については、閉会中など一定の場合に委員会条例で定めるところにより、議長が指名することによって選任等ができるようにすべきである。

 

 と。この答申に基づいて地方自治法改正案が提出され、改正されたのですが、船橋市議会においては、前議長がこの部分を重要視し、この地方制度調査会の答申に基づいた先進的な議会にしようということで議会運営委員長の時に数多く取り組みましたが、所々の瑣末な部分で現議長が難癖をつけ、正常な形を作り上げる邪魔ばかりをしていましたね。

 

 まあ、政治の世界は嘘と妬みで日が暮れるのですが、彼の妬みっていうのはかなりのものでしたね。

 

 さてそれはさておいて、この平成17年12月9日 の地制調の答申が、議会改革のメルクマールというか、急激に、全国的に進み始めた原点といっても過言ではないと思います。この後、地制調で立て続けに議会改革に必要な事項を議論、答申がおこなわれ、法改正も進み、あとは各地方議会さん、頑張ってね。あなた方の腕の見せ所ですよ。って感じでしょうか。

 

 そもそもが、地方創生やまち・ひと・しごとなどの地方向けの「造語というか施策が連続発射されるようになって、それに対応できるかどうかは、議員個々の意識の問題であって、前述したように、議員個々の発言にヤキモチを焼いているようでは議会の発展などあり得ないんですよね。