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 地方議会実務講座 ぎょうせい 野村稔・鵜沼信二 共著

では次の通りです。

 

 さて、一人会派の件ですが、この本には次のように記述されています。これは、平成の時代の前半くらいまではわざわざ明文化をしなくても、下記の内容のようなことは、議員のそれぞれが「若干の温度差」はあるものの、基本線は押さえていた時代でした。

 

会派

 「会派」とは、同一政党に属する者又は志を同じくする者の集合体であって、議会内部において政治的に競合し及び活動を強化し、政治的支配力を得ようとする政策集団をいう。したがって、その中心となる議長の獲得に全力を尽くすことが多い。つまり議員は、自分の所属する党派により又は所属党派には何の関係もなく、志を同じくする者が集まって自然発生的に会派を結成する。したがって、議長の許可やその統制下にあるものではない。会派の結成には会派が議会内における交渉団体の性格があることから、その資格として通常何人以上の所属議員がなければならないとの基準が内部的に定められるが、会派の本質から二人以上の議員がなければならない。例えば三人以上の所属議員を有する会派を交渉団体とする場合は、一人だけの会派はその資格はない。したがって、議会運営委員会において、会派の定義と交渉団体の人的基準を明確にしておく必要がある。なお、事実行為としての会派の結成に当たってはその代表者から会派の名称、代表者、会派所属議員数及び所属議員の氏名等を記載した会派結成届を議長に提出するのが通例である(衆先98、参先109・110)。なお、議会内において、一人又は会派の人的基準に達しない場合の議員は、議会内では無所属として扱われる(衆先99)。

 

 会派の結合力の強さは、同一政党に所属する者で一つの会派を結成している場合が最も強いが、超党派的な結合の深さが更に強力な集団となる。

 

 地方議会の政党化の進展に伴って、今後益々多党化の傾向にあるが、会派の数は議会の運営に重大な影響を及ぼす。一般的に会派の数が少なければ議会の運営は比較的容易であるが、例え会派数が多くてもその中の一つが議員定数の半数以上を擁するなら、議会の運営は容易である。これに反して、数多くある会派のどれもが所属議員が少数のいわゆる少数会派で、二以上の会派が結合しないと議員定数の半数以上にならない場合は、議会の運営は困難を増す。

 

 会派への議員の所属は、その会派の代表者から議長へ提出する(衆先98、参先110)。所属届の様式は何の定めもない。会派の所属議員に異動があれば会派の代表者又は本人から届け出る。入会届又は退会届が議長に提出された時をもって決まる。ただし、この場合、議長は、その届けを保持するだけであり運営については一切関知しない。なお、代表者からと本人からの届出が一致しない時は、本人の届出による。

 

 会派の所属議員が基準以下になった時は、会派は消滅する(参先109)。

 

 会派の活動範囲は広範囲に及んでいるが、議会の運営や議長の諮問事項について、議会運営委員会で協議検討しても協議が進捗しない場合は、そこでの検討事項を会派に持ち帰って検討を仕直して再び議会運営委員会の議題として決定することもある。また、会派で協議しても結論の困難な事柄については、会派代表者会又は会派幹事会を開き慎重協議の上議会運営委員会で議決する例が多い。更に議員選挙後初の議会の組織、構成や会派控室の割当て(衆先97)等についても、議長、副議長もまた議会運営委員の構成もない状態の下での諸般の準備のための協議、検討事項について、各派協議会、会派代表者又は幹事会を開くこともある(衆先142)。

 

 国会や都道府県議会ではまだまだこの考え方で活動が行われています。

 

 一方、地方議会では前回も書いたように、必ずしも「同一政党に属する者又は志を同じくする者の集合体」「同一の理念を共有する議員」ではなくなっております。

 

 逆に、「同一政党に属する者」「同一の理念を共有する議員」であっても違う会派であるのは当たり前みたいな部分があったり、まあ、随分と変化してきています。

 

 私は、当然でありますが、元々はこの野村説の信奉者でありかつそれが当然だというスタンスでおりました。

 

 しかし、議会のあり方が問われるようになり、多くの議会が改革を進め、その立ち位置が大きく変化した中で出した結論は、二元代表制における会派のあり方は大きく変化すべきである。あるいは変化させるべきである。という考え方をするようになりました。

 

 また続きを書きます。