解説本の説明です。会議規則委員会条例逐条解説 中島正郎著からです。

 

 委員外議員の発言

府県

(委員外議員の発言)

 第六十七条 委員会は、審査又は調査中の事件について、必要があると認めるときは、委員でない議員に対しその出席を求めて説明又は意見を聞くことができる。委員でない議員から発言の申出があったときも、また同様とする。

 

(委員外議員の発言)

 第百十条 委員会は、審査又は調査中の事件について、必要があると認めるときは、委員でない議員に対し、その出席を求めて説明又は意見を聞くことができる。

 2 委員会は、委員でない議員から発言の申し出があったときは、その許否を決める。

 

町村

(委員外議員の発言)

 第六十五条 委員会は、審査または調査中の事件について、必要があると認めるときは、委員でない議員に対しその出席を求めて説明または意見を聞くことができる。

 2 委員会は、委員でない議員から発言の申し出があったときは、その許否を決める。

 〔参照条文〕 法105、109 2

 

〔説  明〕

 一 委員会は、審査独立の原則があって運営されるので当該委員会の委員のみが出席し、会議を開くことがたてまえである。だから委員以外の者が委員とともにその会議に加わることは許されない。しかし、委員会は審査を十分にすべきであるので、付託された事件に対する審査、調査に関連をもつ場合、(一)委員会が必要があるときに議決によって、所属委員会外の議員に対して出席を求めて説明又は意見を聞く場合と、(二)反対に所属委員会以外の議員から発言の申し出があって、説明又は意見を聞く場合とがある。このように委員外議員の出席を求めるのは、審査又は調査中の事件に対して、その発端経緯並びに専門的な説明あるいは意見を聞き審査又は調査上の参考に資することとするためである。

 

 二 委員以外の一般議員には、関係委員会の委員長、委員その他特に関係ある議員に対して行なわれるが、他の委員会からも発言の申入れを受けたときは、委員会が必要と認めたときに限り出席することができる。この委員外議員の発言は、文字どおり、事件(例 予算・決算・条例・意見書・決議・同意・答申・請願・陳情・検閲・検査・法第百条調査事件等)に対する説明と意見に限られるが、しかし、これらの事件に対する発言のうちには説明、質疑、意見も含まれると考えられ、討論の発言は含まないと考える。

 

 三 委員外の議員の発言は自由に行なえるのではなく、委員会の許可とされ、委員長の許可ではない。その発言も、説明、経緯、質疑及び所見を述べるほか、自己に対する相手方の質疑に答える程度までであって、採決の前提となるような討論に参加することが許されないものと解する。又所管事務の調査の程度については、原則としては、委員外の議員の発言は考えていない。

 

 四 他の委員会の所属に関連する場合、委員長がその委員会に出席し発言することは、委員長個人かそれとも一議員か、これはあくまでも委員長としての資格の今回であると解さなければならない。だからといって、委員会の決定とか、爾後報告ということの義務づけられたものではないと思う。

 

〔運用例〕

 1 条例案、意見書案、決議案及び請願・陳情について関係地区の事情とか、経緯について審査の参考にするために委員会がその事情を委員外の議員から知るためになされるが、だいたいは説明及び所見を述べるか又は要望程度に終わるのが多い。又委員外議員が関心の強い事件に対して、委員会に出席して質疑、意見を述べるために委員会に申し出ることもあるし、あるいは議事混乱をねらいとした場合もある。

 

2 発言時間については別段書面によることなく、適宜本人から当該委員長に申し出、委員長が委員会にはかってからその結果を委員長から、直接委員外議員に対して行なうなり、議会事務局職員を通じて口頭で行なっても一向にさしつかえない。

 

 3 Aの委員会の委員長がBの委員会に対してA委員会の意見を代表して発言を申し出たときは、B委員会の委員長はこれを拒むことができないと解されるが、しかしBの委員会において、これを拒否したときはやむを得ない。

 

 4 行政実例に議長の委員会での発言は、やはり、委員会において委員長から発言の許可を受けて発言するべきであって、許可がなければ発言することはできないとしている。議長の発言内容に対してはなんら制限がないが、議長の議事整理権、秩序保特権等の立場から事件の内容に対して質疑し、意見を陳述することはさしつかえないとしているが、委員会の運営について規則の疑義、先例の解明のために出席する程度にとどめるのが望ましい。もし、内容にまで立ち入ると、議長の発言が委員会の決定に影響する場合もありうるので、慎重を要しよう。

 

 5 請願・陳情について審査又は調査にあたり、紹介議員の出席説明を求める場合は委員会において決定した後でなければならない。が、請願人の出席を求めることはできない。

 

 6 国会では、委員外議員の発言よりも、むしろ委員の入れ替えを行なって、その委員は所管の委員として発言し討論、採決の方法を往々とられている例がある。が、地方議会において、いちいち委員の交替の手続きをとってまで行なうことは避けるべきであろう。

 

 7 委員長が他の委員会で発言する場合は所属委員会の許可を求めなくてもよいと考えるが、付託事件の修正案によって、自分の委員会の事件にも影響を及ぼす場合も考えられるので、発言しようとする場合は事件の性質によって判断し、委員会の承諾を得て出席する場合も考えられるので、ケース・パイ・ケースでよい。

 

〔行政実例〕

 1 委員会における議長の発言は、議事の内容に立ち入って質疑し、意見を陳述することもさしつかえないが、議決に加わることができない。(昭和27・6・21山口市議会事務局長あて行政課長)

 2 副議長が委員会に出席して発言しうる旨を条例に規定することは許されない。(昭和27・2・20熊本市議会事務局長あて行政課長)

 

〔国会先例〕

 1 議長が、議院運営委員会には常時出席して発言するのが例であるが、懲罰委員会に出席し発言したことがある。(衆院・参院)

 2 委員長が委員会を代表して他の委員会に出席し意見を述べるには、委員会の決定に基づいて行なうのが例である。(参院)

 3 委員外議員が、質疑、意見、修正意見を述べた例がある。(参院)