さて本件を私とは別の角度から論じる議員がおりました。「まあまあ、そう目くじらを立てないで、これから市長が述べる市政執行方針には、詳しく書かれているんじゃないの?という論です。だとしても、「議会が後」が揺るぎないのですが、では市政執行方針を読んでみましょう。

 

  次の通りです。

 

 本日ここに、平成31年第1回市議会定例会を招集し、提案いたしました諸案件のご審議をお願いするに当たり、平成31年度の市政執行方針について所信を申し述べます。

 

1.「選ばれる都市」として

 

 多くの自治体において、人口減少の局面を迎えはじめている中で、いまだ船橋市の人口は緩やかに増え続けています。

 本市は、昭和30年代半ばから50年代初頭にかけて、大型の団地や宅地が造成され、全国有数の人口急増期を経験しながら成長してまいりました。

 この間は、質の高い農業に加え、商業や工業などの産業が急速に発展してまちの賑わいが増し、現在の活力ある船橋の基盤が形作られた時期です。

 一方で人口増に対応するために学校建設に追われ、その結果として均衡のとれた都市基盤整備が思うに任せず、このことは現在も本市の課題の一つとして残っています。

 その後も人口の拡大は続き、本市は、今では中核市の中では最も多い、63万人を超える人口を擁する大都市に発展しています。

 これまでを振り返ると、船橋市は、どの時代においても、それぞれの時代ごとの諸課題を解決するために、多くの市民の皆さまが努力されてきたことで、確実な歩みを続けてくることができました。

 こうした先人たちの取り組みがあったからこそ、本市は今、安心して暮らせる住みやすいまちとして、多くの人に選ばれる都市となることができました。

 本市には、都心からのアクセスの良さや、都市と自然が適度に共生している環境とともに、生活の拠点としてのバランスの良さがあります。このため、時代を担う多くの方々が、これまでに、全国から船橋を選んで移り住んできました。

 市民の定住志向は非常に高く、多くの方々が、この船橋に長く住み、この土地を終の棲家として選んでくれています。

 これは、本市の都市としての利便性という地理的優位性だけではなく、充実した医療体制の構築や、市民一人ひとりの健康への積極的な取り組み、子育てしやすいまちづくりなど、これまで本市が培ってきた、安心して暮らせる環境への評価の現れです。

 しかしながら、私は、船橋市が今後も、これまでと同様に賑わいがあり、市民の皆さまに愛され、選ばれる都市であり続けるために、今やるべきことは何なのかということを、改めて考えていかなければならない時を迎えていると強く感じています。

 

2.岐路に立つ船橋市

 

 船橋市は、今、大きな岐路に立っています。

 今後、少子高齢化により確実に到来する超高齢社会、社会保障費の増大、労働力の不足。そして、いまだ十分ではない道路等の都市基盤整備と、老朽化する公共施設。

 こうした多くの課題を確実に見据え、解決に向けて取り組んでいかなければならない中で、今、市の財政は極めて厳しい状況となってきています。

 今ここで、やるべきことをやらず、とるべき道を誤ると、これまで「選ばれる都市」としての根幹にあった市民サービスを保てなくなる可能性があります。                   

 このため私は、これから、船橋市が今後も暮らしやすく魅力あるまちであるために、今しっかりと足元を固め、効果的・効率的な行財政運営の実現や、選択と集中による事業の見直し、徹底した無駄の削減等の行財政改革に、本格的に歩み出していかなければならないと考えます。

 このため、平成31年度の予算編成は、今後の改革に先立ち、財源調整基金の繰入金や市債発行額を抑制し、また、普通建設事業費を前年度並みに抑えるなど、可能な限りの歳出抑制を図りながらも、市民生活に配慮し、また市の将来に備えて今やるべきことをやる、という考えに立ったものといたしました。

 

3.めざすまちの姿に基づく施策の展開

 

 これから、平成31年度に実施する事業について、新たな事業を中心に、後期基本計画でお示ししている「めざすまちの姿」に沿って申し述べます。

 

(1)非常時への備えのあるまち

 はじめに「非常時への備えのあるまち」です。

 昨年も、日本各地で記録的豪雨や地震などによる多くの自然災害が発生しました。防災や減災への取り組みを進めるため、千葉県が発表した新たな津波の浸水想定区域に基づき、一時避難施設や避難経路を定めた津波避難計画を改定するほか、津波ハザードマップと洪水ハザードマップを作成し、全世帯へ配布します。また、災害時における情報伝達の強化を図るため、計画的に進めている防災行政無線のデジタル化につきましては、平成31年度中の完了を目指します。

 避難所における衛生対策や健康確保のため、海神小学校にマンホールトイレを整備します。また、災害情報や避難誘導を受けにくい視覚・聴覚障害者に災害時支援用バンダナを配布します。さらに、ストマ装具を持ち出しできなかった方のため、避難所となる市立中学校27校にストマ装具を備蓄します。

 消防力の充実や強化に向けて、古和釜町・松が丘地域に整備を進めている「(仮称)東消防署古和釜分署・消防訓練センター」につきましては、今年の4月に開署します。

雨水対策につきましては、自然環境に配慮した準用河川駒込川の改修や、習志野台7丁目で雨水貯留浸透施設の整備を引き続き行います。

 なお、例年実施している総合防災訓練につきましては、平成31年度は、本市を中央会場とする九都県市合同防災訓練として実施します。

 

(2)安心して暮らせるまち

 2番目は「安心して暮らせるまち」です。

 高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らしていけるよう、介護や福祉などの総合相談窓口である地域包括支援センターを、前原、塚田、二和・八木が谷の3か所に増設します。また、買い物をすることが難しい方を支援するため、生鮮品取扱店が近くにない地域で移動販売を行う事業者に対し、事業に係る費用の一部を助成します。

 昨年、千葉大学及び保健医療や介護、福祉の専門家の協力を得て、高齢者の元気度を計る指標となる健康スケールを開発しました。この健康スケールを活用し、筋肉や関節などの運動器の機能低下が認められる方を抽出し、専門職等のチェックを受けることにより、高齢者自身の運動器の状態を知っていただくためのモデル事業を9地区で実施するなど、健康づくりや介護予防の取り組みにつなげていきます。

 特別養護老人ホームの入所待機者対策につきましては、施設を整備する社会福祉法人に対し、整備に係る費用の一部を助成し、200床を整備します。

 妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援を推進するため、保健、医療、福祉、教育などの関係機関との連絡調整を図る子育て世代包括支援センターを設置するとともに、母子保健におけるボランティア養成を目的とする講座を開催します。また、不妊に悩む夫婦に対し、医師などが相談指導や情報提供を行う不妊相談事業を実施します。

 乳がん検診の受診率向上を図るため、受診の申込制を廃止し、検診対象の女性全員に対し受診券を発送します。

 障害福祉につきましては、障害者の相談窓口やサービスを提供する事業所など関係者間の連携を円滑化するコーディネーターを新たに配置し、親亡き後を見据えて、緊急時の相談や受け入れに適切に対応するとともに、その後も住み慣れた地域で安心して暮らしていけるよう、地域全体で支える体制を整備します。

 先天性風しん症候群の予防の観点から、風しん抗体検査や妊婦健康診査において免疫が十分でないと判断された方のうち、妊娠を希望する方等に対し、風しん予防接種に係る費用の一部を助成します。

 社会福祉法の改正により、高齢者や障害者、児童、その他の福祉に関し、共通して取り組むべき事項を盛り込むこととされた地域福祉計画につきましては、平成33年度から始まる計画の策定に着手します。

性的少数者(LGBT)ヘの対応につきましては、今年度末までに作成するガイドラインに基づき、市内窓口において職員が適切に対応できるよう、研修等を強化するほか、当事者の居場所づくりとして交流会を開催し、孤独感や悩みの解消を図ります。

 市民の安全などを確保するため、客引き行為等の規制区域であるJR船橋駅周辺等の巡回を専門業者へ委託することにより、規制の強化を図ります。

 歩行者の安全対策につきましては、JR西船橋駅北口広場の整備や「(仮称)塚田第二小学校」前の道路拡幅整備を進めます。また、生活道路での安全を確保するため、市内一円で段差を解消するバリアフリー化や自転車走行空間の整備を進めるとともに、飯山満町などでゾーン30を整備します。

 建て替えを予定している市立医療センターにつきましては、設備などの設計条件の整理や敷地の利用計画の作成など、平成32年度の基本設計に向けた準備を行います。

 

(3)未来へつなぐ恵み豊かな環境のまち

 3番目は「未来へつなぐ恵み豊かな環境のまち」です。

 本市には、南部に広がる三番瀬や北部に多く残されている緑など豊かな自然があります。これらの自然や生活環境などを保全するための環境基本計画につきましては、平成33年度から始まる計画の策定に着手します。

 豪雨や地震などによる災害時に発生する災害廃棄物への対応として、適正かつ迅速な処理ができるよう、「(仮称)災害廃棄物処理計画」を策定します。

 快適でゆとりのある都市づくりに必要となる方針や将来ビジョン、地域のあるべき姿などを定めた都市計画マスタープランにつきましては、平成33年度から始まる計画の策定に向けて、引き続き検討を進めます。また、将来にわたって本市の持つ高い生活利便性を維持するため、立地適正化計画の策定に向けて、検討を進めます。

再生可能エネルギーにつきましては、西浦下水処理場において、消化ガスを燃料とした発電事業を今年の4月から開始します。また、高瀬下水処理場においては、平成33年度の発電事業開始に向けて、消化槽の整備に着手します。

 南部清掃工場につきましては、平成32年4月の新工場稼働に向け、引き続き整備を進めます。

 平成28年度から段階的に整備を進めている大穴近隣公園につきましては、引き続き整備を行います。

 

(4)笑顔があふれる子育てのまち

4番目は「笑顔があふれる子育てのまち」です。

 社会的に大きな問題となっている子供の貧困対策につきましては、子供の生活実態や支援ニーズを把握するために実施した子供の貧困に問するアンケート調査の結果から課題を明らかにし、その対策について検討していきます。また、就学援助における準要保護児童生徒の保護者に対する新入学学用品費の補助を拡充するとともに、新たに卒業アルバム代を支給します。

幼児教育の無償化については、今年の10月 から、幼稚園、保育所、認定こども園等を利用する3歳から5歳までのすべての子供たち、及び住民税非課税世帯の0歳から2歳の子供たちを対象として、保有料等が無償化されますので、制度の円滑な実施に向け、適切に対応してまいります。

 保育所の待機児童対策につきましては、待機児童が特に多い地域を重点化して、認可保育所や小規模保育事業の施設整備を促進します。

 大規模開発が進む塚田地域においては、将来の児童数の増加に対応するため、平成33年4月の開校に向けて、「(仮称)塚田第二小学校」の整備を進めるとともに、併せて「(仮称)塚田第二放課後ルーム」の整備も進めます。

 特別支援学校の生徒数増加に伴う教室不足に対応するため、金堀校舎の増築を進め、平成32年4月の開設を目指します。

 生徒への専門的な指導や教職員の働き方改革を行うため、新たに市立中学校の運動部に部活動指導員を派遣します。

児童相談所につきましては、設置や運営に関する具体的な調査・検討を行うとともに、千葉県への職員派遣を引き続き行います。

 

(5)人が集まる元気なまち

 5番目は「人が集まる元気なまち」です。

 ふなばしメディカルタウン構想をコンセプトとした海老川上流地区のまちづくりにつきましては、土地区画整理事業の予定区域で環境への影響を調査するとともに、予定区域に隣接する区域においても、地権者の意向を確認しながら、まちづくり基本構想の検討を行います。

 JR南船橋駅南口市有地につきましては、臨海部の玄関口及び回遊性創出の拠点として、ふさわしいまちづくりに向けて、開発する事業者を公募・選定し、土地活用に向けて具体的な一歩を踏み出します。

 道路ネットワークの基幹となる都市計画道路につきましては、東海神駅周辺で整備を進めるほか、高根台中学校や習志野駅周辺などで用地買収を進め、事業の推進を図ります。

 馬込霊園周辺の交通渋滞対策につきましては、引き続きアクセス通路の整備を進め、今年9月の供用開始を目指します。

 商業の活性化につきましては、商店街の賑わいを創出するため、イベント等を安定的かつ継続的に実施できるよう、助成期限などを見直した制度により支援します。

農業振興につきましては、学校給食などで地元農産物を積極的に活用するとともに、野菜などを収穫して調理するアグリツアーを開催するなど、農業振興計画に基づく取り組みを推進します。

 今年10月の消費税率の引き上げによる影響を緩和するため、低所得者や子育て世代に対し、プレミアム付商品券を発行します。

 

(6)市民に愛され、育まれるまち

 6番目は「市民に愛され、育まれるまち」です。

 東京2020オリンピック・パラリンピックの開催まで1年半を切り、期待感が高まっています。本市では、昨年に引き続き、アメリカ男子体操チームの事前合宿を受け入れ、市民交流イベントとして一般公開や体操体験会を実施します。また、障害者スポーツの普及・啓発を図るため、小学校におけるパラスポーツ体験授業や特別支援学校と特別支援学級の児童・生徒を対象とするサッカー教室を開催するほか、スポーツ推進委員に対して初級障がい者スポーツ指導員養成講習会の受講料を助成します。

 全国的にも貴重な約1万年前の遺跡である取掛西貝塚につきましては、平成33年度中の国史跡指定を目指し、申請に必要となる報告書の作成に向けて最終の学術調査を行います。

 

4.行財政改革への集中的取り組み

 

 市の財政は、社会保障費や公債費の増加、財源調整基金からの繰り入れ可能額の減少など、今後も厳しい状況が続くこどが予測されています。

 このような状況の下、限られた財源の中でも、将来にわたって持続可能な行財政運営を行い、安全で安心な市民生活を守り続けていくことは、市の責務であると私は考えています。

 このため、今後、市が取り組むべき行財政改革を確実に実行していくために、今年度末までに、改革の具体的な取り組みをお示しする「行財政改革推進プラン」を策定することといたしました。

 この計画では、今後、市が見直すべき課題を、短期・中長期の視点から分類するとともに、これまでの市の運営体制の抜本的な見直し、事業の精査や歳入の積極的な確保など、各種取り組み項目を明確にします。

 この中で、短期的に取り組むものについては、平成31年度と平成32年度の2か年を集中取組期間として、一定の成果を出す覚悟で臨んでまいります。

 この取り組みを進めるに当たっては、サービスの向上を目指しつつも、市民の皆さまに一定のご負担をお願いすることも生じます。

 しかしこの改革は、市民の皆さまのために、船橋市が今後も安心して暮らせるまちであり続けることができるよう、必ずやり遂げなければならないものであると考えています。

 

5.これからの未来に向けて

 

 船橋市はこれから、新たな飛躍に向けた準備に入ります。

 来年度は、今後の市のまちづくりの指針となる、新たな総合計画の基本構想を形作っていく年です。

 新しい時代を迎えるにあたって、私は、現在の市民の皆さま、そしてこれからの市民の皆さまのためにも、活力ある船橋の未来を、市民の皆さまとともに、しっかりと描いていきたいと思います。

 そして今後も、船橋市が安心して暮らせる往みやすいまちとして、多くの人にとって魅力ある「選ばれる都市」であり続けるために、全力を注いでまいります。

 市民の皆さま、並びに議員の皆さまのご理解とご協力を、心よりお願い申し上げます。