シリーズ前回に引き続きです。頭の体操をするために、地方議会実務講座の読み込みをしました。

 

 

 今回は次の件についてです。

 

 4 地方議員が本会議、委員会で政策を展開する方法としては、①質問等で自己の意見を述べる、②長提出議案に対し修正の動議を出す、③長提出議案に対し付帯決議案等を提出する、④独自の条例案を提出するなどが考えられる。現在、活発に行われているのは①であり、②~③は少ない。特に②と④は修正案や条例案を立案する技術を必要とするが、これを議員に期待することは困難である。

 

 さすがに、ここにある法制は、専門的職域、領域かと思いますね。

 

 5 この法制事務は議会事務局職員が担当すべきものであるが、現在の地方議会で法制担当の部課を設けているのは少ない。このため議員が例えば自己の政策を条例案にまとめるより議会事務局に依頼しても、極めて簡単なものしかできないであろう。

 

 条例案を作成するには、①規定すべき内容を法律、政令、条例、通達等と整合性をとる必要があるため、関係行政についての詳細な知識と理解を必要とする、②条例立案の専門的な法制知識を必要とする。①と②は分野を異にするが、議会事務局には現在この職員がいない。これでは議員がどんなに良いアイデア、政策を持っていても議案の形で議長に提出することはできない。

 

 住民のニーズに見合った政策条例案、住民福祉の向上を図るための条例案を提案したくても、補助者がいないのが現在の議員である。議員からの政策条例案が少ないとの批判があるが、多くはこれを議員の資質、勉強・不勉強の次元の問題としてとらえ、その根底にある事務局の法制部門や情報調査部門の未整備まで指摘していない。この事務局の現状を知ったならば議会の政策立案機能の低下を述べる論は少なくなるはずである。

 

 まず、最後の行ですが、「この事務局の現状を知ったならば議会の政策立案機能の低下を述べる論は少なくなるはずである。」とあります。それを言っちゃあ~おしまいよ。ってな感じですが、いやいやだからこそ、あるべき姿を考えていきたいのです。

 

 ひとつは、そこまでの人材育成をするか否か。あるいは、「住民のニーズに見合った政策条例案、住民福祉の向上を図るための条例案を」を考えるべきなのは、議会だろうが、執行機関だろうがどちらであろうと問題はありません。

 

 最終形の議決をすべきものが「住民福祉の向上」を目的としたものとなっていれば良いわけです。

 

 だとしたら、ここは折衷案として、法制担当職員の育成を役所あげてやるべきで、全方位の人材に育て上げていくことなのではないかと思います。

 

 とは言え、議会の事情を説明できる職員が欲しいなという部分はありますから、準専門的位置付けで、調査担当が調査一番法制二番くらいのバランスで日常業務というのはいかがでしょうか。

 

 でもって、法制部門の兼務発令とかを組合わせて運用する。という感じ。

 

 しかしながら、それは船橋市議会規模の事務局になればできますが、10人以下(漠然とした数字です)くらいの事務局になってくると、厳しいでしょうね~。

 

 私が先般視察をさせていただいたような、町や村のレベルになりますと監査委員事務局兼務という話も聞きます。

 

 そうなると、事務量は大都市も町村も同じですから大変ですね。これってある意味かなりの問題点のような気がします。

 

 まあだからこそ、共同設置が地方制度調査会で議論され、地方自治法の改正があったのでしょうね。

 

 でも、全国町村議会議長会は明確にダメ出ししていますね。

 

議会事務局の共同設置についての意見

 平成22年2月22日付けで地方自治法の改正に関し、地方自治法第263条の3第5項により情報提供があったが、改正内容のうち「議会事務局の共同設置」については、下記の理由により反対である。

 1 議会事務局は、二元代表制の一翼である議会と一体をなすものであり、個々に議会を置くということは、事務局もそれぞれの議会の組織の一部として存在し、独立して存在するものではない。

 そもそも、自らの自治体の意思決定を行う議会を支える事務局を外部化し、共同で事務を行うこと自体、地方自治に反する考え方であり、到底受入れられない。

選択肢を増やし、自由度を高めるためといっても、これまで議会事務局の共同設置に対する要望はなく、必要のない選択肢を作る意味は全くない。

 

 2  自治体議会の事務局は、異なる政見を有する議員一人ひとりと相対し、かつ、議会と執行部さらには住民との各種調整等に携わっている。

 そのため、自治体の全体を視野において調整等を行う必要がある。これを、行政部門同様「効率化」の旗の下で共同設置にしようとするならば、外部化されるが故に、個々の自治体の事情、これまでの慣例、個々の議員の政見等を十分把握することができないままに議会運営に関わることとなり、途端に調整機能が低下し、混乱が生ずる可能性が強い。

 また、議会の開催時期も、共同設置した自治体間で重なる場合が想定され、日程の調整が困難となるなど、議会の運営の効率化に効果があるものとは考えられない。

 

 3  地域主権戦略の工程表案(原口プラン)では、地域主権戦略の大きな柱として、「地方政府基本法」の制定が予定されているが、その際、核となる地方議会をどのように位置づけるかは重要な課題である。

 議会事務局のあり方も当然、その際に議論されることになると思われるが、住民の信託に応える議会として、その組織をどうするかは個々の自治体の判断で行うことであり、法律で国が関与すべきものではない。

 「地方政府基本法」は、まさしく自治体の自由と責任を明確にするものでなくてはならず、そうした議論も尽くされていない状況の中で、事務局の共同設置を先行して法制化する必要性・緊急性は全くない。

平成22年2月25日

全国町村議会議長会

 

 なるほどとは思いますが、議会の活性化と地方公共団体の効率運営って、両立するんだろうか?と思います。

 

 活性化させようと思えば、まさにこれまでずっと記述されてきたように、人員が必要で、人員増が必要になれば現行制度のもとでは執行機関との調整がどうしても必要ですし、さてさてどうしたものかって感じです。

 

 抗議の気持ちは十分理解しますが...。

 

 6 議会の政策立案機能を発揮させるためには、事務局の法制部門を新設、強化することが先決である。これなくして政策立案の重要性を主張しても紙に描いた絵にすぎない。行政改革の時代に議会事務局といえども増員させることは容易でない。しかし①行政改革は行政府(執行機関)の改革であって立法府(議決機関)の改革でないこと、②議会と執行機関が対等の機関であるなら、議会の政策能力を強化するのは当然であること、③議会は住民代表機関であるから、そのニーズを先取りして条例化する必要があり、事務局のスタッフ不足を理由として条例化を拒否すると住民の信頼を失うこと等から、法制部門を早急に整備充実する必要がある。

 

 なるほど、「①行政改革は行政府(執行機関)の改革であって立法府(議決機関)の改革でないこと」と書かれています。一理ある。と思います。なるほどねえ~。

 

 確かに。

 

 とすると、議員の意識も大きく変化させなければなりませんね。先ほど私が書きましたように、そもそも、議員自身が現状の議会事務局を基礎に考えてしまっています。いけないことですね。

 

 そもそも現状の議会事務局定員が適正規模か否かなどは全く考えず、現状から増員して行くことは不可能だろうという、あきらめとともに先入観で捉えてしまっていました。

 

 漠とした話になりますが、国会と比較してみましょうかね。と思いネット検索をしましたが、かなり難しいですね。情報がネット上ではでてきません。探し方が悪いのかもしれません。

 

 ここはやはり、我が議会の優秀な調査部門に依頼をしてみましょう。なので結果が出次第比較検討をさせていただきます。

 

 7 議会事務局職員は、法制部門が欠落していることを十分承知している。事務局長は充実の必要性を認めているが、本来これを主張するのはその恩恵を受ける議員そして議長である。議員が政策立案能力の一助として法制部門の整備充実を主張しない限り、真にその必要性が執行機関に伝わらないであろう。

 

 8 行政改革等により議会事務局独自の法制部門の新設(充実)が困難である場合、当面の措置として執行機関の法制担当職員を議会事務局も活用できるようにすることである。このためには議長と長との話合いにより、①執行機関の法制担当職員を議会事務局職員に併任する、②普段は執行機関に勤務し、議員が議案を提案するときのみ議会事務局に来て立案に当たるようにすればよい。

 

 まあ、全国の地方公共団体の現状を鑑みたときには、一番現実的で、実現可能な方法だと思いますね。

 

 でもなあ~、やっぱり執行機関に比較しての体制って腑に落ちないよなあ~。