憲法7条により解散なんだ~って思いながら、憲法の条文と解説を読んでみました。なるほどねえ~、ちょっと強引だな。と。

 

 

憲法 第六版 憲法 第六版
 
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憲法 第六版 芦部信喜 高橋和之補訂 岩波書店 P334より

 

 3 衆議院の解散

 解散とは、任期満了前に議員の資格を失わせる行為である。それは、政治的には、解散に続く総選挙によって主権者としての国民の審判を求めるという民主的な契機を含む。ただ、発生史的には、解散は、国王が議会に対して懲罰を課するという意味をもっていた。

 目本国憲法には、内閣の解散権を明示した規定はない。7条3号は、天皇の国事行為の1つとして衆議院の解散を挙げているが、天皇が実質的に決定するわけではない。六九条の内閲不信任決議に基づく解散も、解散権を正面から規定したものではない。そこで、1940年代後半から50年代にかけて、いわゆる解散権論争が活発に行われたが、現在では、7条によって内閣に実質的な解散決定権が存するという慣行が成立している。この点については先に述べたとおりである(第三章三3(三)参照)。もっとも、7条により内閣に自由な解散権が認められるとしても、解散は国民に対して内閣が信を問う制度であるから、それにふさわしい理由が存在しなければならない。

 なお、衆議院の解散決議による解散も可能だという説もあるが、自律的解散は、多数者の意思によって少数者の議員たる地位が剥奪されることになるので、明文の規定がない以上、認められない。

 

*解散権の限界  解散は、憲法69条の場合を除けば、①衆議院で内閣の重要案件(法律案、予算等)が否決され、または審議未了になった場合、②政界再編成等により内閣の性格が基本的に変わった場合、③総選挙の争点でなかった新しい重大な政治的課題(立法、条約締結等)に対処する場合、④内閣が基本政策を根本的に変更する場合、⑤議員の任期満了時期が接近している場合、などに限られると解すべきであり、内閣の一方的な都合や党利党略で行われる解散は、不当である。[2005年8月に参議院で郵政民営化法案が否決されたのを受けて小泉内閣が行った衆議院の解散については、憲法59条が想定する両議院の協議会の開催あるいは衆議院による3分の2以上の多数による再議決を要求することなく行われたことなどを理由に違憲とする見解と、政党政治の現状を前提にすればこれらの手続を経ることを要求するのは形式論にすぎ、実質的には内閣の重要法案が衆議院により否決(3分の2以上の賛成をえられなかった)された場合と同視しうるから合憲であるとする見解が対立している。]

 

第七条  天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。

一  憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。

二  国会を召集すること。

三  衆議院を解散すること。

四  国会議員の総選挙の施行を公示すること。

五  国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること。

六  大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証すること。

七  栄典を授与すること。

八  批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。

九  外国の大使及び公使を接受すること。

十  儀式を行ふこと。

 

第六十九条  内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、十日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。