前回の続きですが、一事不再議の原則についてです。

 

 その前に長くなっていますので、ちょっと休憩。

 

 なぜ、私が「一事不再議の原則」を考えたいか?です。

 

 東京都中央卸売市場築地市場の豊洲市場への移転についてこのルールがあてはまりこそしないが、この精神はあっても良いのではないのかということです。

 

 詳細はあまり知りませんが、そもそもの設置移転は議会が議決しました。議決の前は長年にわたって検討を重ねてきたようです。下図をご覧ください。

 

 

 これを見ると、1988年(昭和63年)の築地市場再整備基本計画策定がポイントかなと。

 

 その後、築地においても再整備に着手するもいくつかの問題が顕在化したということのようです。

 

 で、作業が行き詰まり、計画見直し、移転の話がでて再整備の再検討があり、移転へ傾き平成13年に移転整備の決定なされたようです。

 

 その後は、豊洲市場年表(左をクリックして下さい。)の通りですが、石原元知事が随所でご発言をなさっている通り、専門的知見を入れ何度も何度もパートごとに検討を重ねてきたようです。

 

 そこには全く問題があるとは思えません。この長年にわたる検討の結果に基づいて現在の状況を鑑みたときに、議会の議決に情勢変化があったとは思えません。

 

 それを政権交代して前任者否定をするのは世の常だとしても、開場寸前まできている事業を、あたかもちゃぶ台返しをするような行為が行われたということは許されることなのでしょうか?

 

 議会も議会で、自分たちの議決を否定するような行為を許すべきではないと思うわけです。議決をしたことを否定され、再議をするような状況を議会も自ら作り出す百条委員会の設置などというのは、いかがなものかと思いますね~。

 

 なので、ここでじっくり一事不再議について再度勉強をしたいと思ったところです。

 

 改訂版 地方議会実務講座 第3巻 P36~からです。

 

 

 

 

 (六) 複数の修正の動議と一事不再議

 特定の案件に対し複数の修正の動議が提出され、それらに共通部分がある時は、一事不再議の問題を生ずる。これを避けるためには次のような採決方法が考えられる。

 1 原則的方法

 各修正案を採決すると共通部分を重複して諮ることになる。共通部分が一事に該当するので、議長は共通部分以外を先決したあと共通部分を採決する。この採決方法は理論的には正解であるが、反面、①採決の回数が多くなること、②採決の問題が細分化され各議員に分かりにくくなること等の欠点がある。実際の運営からすると長所よりも短所の方が大きいので、議員に採決順序と問題を理解してもらうのに苦労する。事務局の事前の説明のほか議長が採決問題を宣告したあと、参考まで採決の順序を宣告することにしている(標準議事次第書)。

 2 便宜的方法

 共通部分があっても内容に大差がない場合、各修正動議は別のものとみなして採決する。この方法では各修正動議を別個のものとみなすので、採決も簡単で分かりよい。議員だけでなく傍聴人にも分かりやすい。分かりやすい運営を目指すならば理論的に精度の高い原則的運営によるよりも、便宜的方法によることが適当である。便宜的方法による場合は、①議運で協議し合意を得て議長が採決に先立ち各修正動議は別個のものとみなす旨を宣告する、②議運で合意を得られなかった時は、一部議員からの抗議を避けるため、議長は各修正動議の採決に入るに先立ち別個のものとして取り扱う旨を諮り可決するのいずれかによることが適当である。疑問を生じないようにするためには、事前にこのような措置をする必要がある。

 衆議院先例によると数個の修正案がある場合、①共通部分から採決した事例(昭和15年2月17日)、②共通部分でない部分から採決した事例(昭和23年7月2日)がある(衆先316)。また数個の修正案がある場合、共通部分があっても①議院に諮って考案ごとに採決した事例(昭和4年3月5日)、②議院に諮らずに各案ごとに採決した事例(昭和27年5月27日)がある(衆先317)。

 (七) 一事の認定者

 標準会議規則は一事不再議の原則を規定しているが、誰が一事であると認定するかを明記していない。一時不再議の原則は審議の原則であるから、議会が認定する。案件の具体的な審議は委員会で行うので、その段階では委員会が認定する。執行機関は議会の審議について関与する立場にないので、議会が自主的に判断すればよい。議会が判断するといっても、実際には議運で一事に該当するかどうかを協議、この決定に基づき議長が本会議の議事を整理する。議運で合意できない時も考えられるが、この場合、議長は議運委員長に対し議運における多数意見、少数意見の報告を求め、多数意見に従った運営をすればよい。