月刊 ガバナンス No.182  2016 6月号 ぎょうせい刊 P59より

「主体的な行動」こそが大きな力

 東日本大震災から5年が経過した。熊本地震が発災し、当時の記憶が鮮明に蘇ってきた。避難所運営や仮設住宅のマネジメント、災害公営住宅建設や新しいコミュニティの形成、そして放射能汚染対策など、行政に求められるニーズや対応は時々刻々と変化している。市町村はもちろん、国や県も想定外の大震災・複合災害のため復旧復興の処方箋は持ち得ていない。

 

 そう、だからこそ。その手腕が問われてしまうんですよね。

 

 地域ごとに異なる状況や課題を把握し、具体的な解決策を立て実行していく。これを自分たちの手で繰り返すしかなかった。

 

 火事場の馬鹿力なんだろうか?私はこの筆者を含め、日頃からの「公務」に携わる人としての意識の持ち方によるものだと思うんですよね。

 

 特に被災直後の混乱の中では、職員が各現場で臨機応変に判断・対応しなければならない場面ばかり。避難所や被災現場での対応は最たるもので勇気や覚悟が必要な時もあった。

 

 我が町の役場の職員諸氏も事も無げに対応してもらえるものだと期待したいものです。

 

 職員諸氏の顔を思い浮かべながら、あ~ここは大丈夫、あ~ここも大丈夫って思える部課長さんの部署がいくつも思い浮かぶので、大規模災害時はしっかり信頼して口も挟まないで、地元を守りたいものです。

 

 ただ、数人この「勇気」「覚悟」のない部課長が想定できます。

 

 それでもなんだか我が町の役場職員は、一致団結して頑張ってくれるような気もしています。使える部課長が引っ張って行って頑張りきるような気がしますね。

 

 そのような状況の中、ある職員の行動が、その後の復旧復興に非常に大きな力を発揮した。情報政策課のTさんは、被害状況の把握にGIS(地理情報システム)が大きな可能性をもつことを察知。

 

 気になるのがこういう気づきと、臨機応変な対応、瞬時の対応とでもいうんでしょうか?

 

 この気づきが少々心配です。

 

 しかし、活用するには不足するデータの入力や解析に人手が必要だったため、新潟市GISセンターをはじめとする産学官の知り合いに支援を要請した(後日公的手続き)。この連携支援で作成された被害状況マップによって、津波被災建物が判断可能となり、義援金支給や罹災証明交付が迅速化された。また、全住民の位置情報をデータ化することで、高速道路無償通行証が待ち時間なしで交付できた。その後の復旧復興における政策判断の迅速化に大きな役割を果たしたのである。

 

 市役所は組織として動いている。その中にあって職員が「今自分が果たすべき役割や自分に何かできるのかを考え、指示待ちでなく主体的に行動した」からこそ大きな力となった。

 

 私は、平時からこの姿勢での仕事を望みます。

 

 当市の復興は概ね計画どおり進捗してきている。市長・職員・市民の「自分たちの手で必ず復興するんだ」というみんなの強い想いと未来への夢が一つとなり、それぞれの役割と責任を果たしながら復興を進めている。

(福島・相馬市職員/阿部勝弘)