前回に引き続き、追加の議案質疑を考えるにあたって、非常に興味深い、関連すると思われる雑誌の特集記事がありました。

 

 完全なる転載になってしまいますがお許しいただければと考えています。2回~3回分けて書きます。

 

 月刊 ガバナンス No.182  2016 6月号 ぎょうせい刊

 

 

 

 

 今回の郷土資料館の追加工事の問題は、個人を活かす、自治体組織ヘ―「組織の論理」からの脱却を―ということの中でも、「組織の論理優先」がある意味では原因ではないかと考えているのです。

 

 これもいつも書いていますが、誰のために仕事をしているかの視点がまったく違うところに行っているからです。

 

 どういうことかをこの記事を読みながら考えてみたいと思います。

 

「行政のプロ」を育て、活躍させるには

 

 第一は、職員の専門化である。

 

 かつて、行政は公務員が独占していた。しかしこれからの時代、まちづくりにしても住民サービスにしても担い手は公務員だけではない。民間企業やNPOなどさまざまな組織が参入し、ボランティアや一般市民も参加するようになった。そのなかで公務員が担うのは「行政のプロ」としての役割であり、プロとしての専門知識・能力、問題解決能力が求められる。それがあってはじめて公務員の存在意義が認められると言って過言ではない。

 

「そのなかで公務員が担うのは「行政のプロ」としての役割であり、プロとしての専門知識・能力、問題解決能力が求められる。」という部分は予てから感じていることで、すでに船橋市の職員の構成はそうなっているのです。その実態を受け止めて、考えなければなりません。考えているのでしょうか?

 

 私は、やみくもに臨時・非常勤の職員を数合わせのためのよう任用し、「雑」に扱っていることにめちゃくちゃ憤りを感じています。

 

 仕事の領域のメリハリをきちんとして、任用形態の違いも含め、しっかりとした職員研修プログラム(臨時・非常勤の職員を含む)をはじめとして、人材(財)育成をきちんと考える市役所にならなければいけません。

 

 では「行政のプロ」を育てるには何か必要か?

 

 まず、プロである以上、組織の中で仕事をこなすだけでなく、組織の外でも通用する能力を備えなければならない。それには外で活躍し、評価される機会が必要になる。それがモチベーションにもつながる。

 

 「組織の外でも通用する能力を備えなければならない。」これですこれ。これは市長をはじめ全員が井の中の蛙みたいな役所ですから、本気で悩まなければなりません。

 

 そもそも、以前にも書いたかもしれませんが、優秀だなって思う職員と話をすると、だいたい、役所に入る前に民間企業で働いたことがあったりします。

 

 あるいは人事交流で国へ行ってたとか、県で働いていたとかですね。

 

 ただ最近は、経験者採用であるいは任期付きの専門職を任用した時など、下手すりゃ潰しちゃいますもんね。ひどいもんです。

 

 これまで公務員といえば「黒子」に徹することが求められ、個人の名を出して仕事をする機会も少なかった。しかし、これからは自分の名を出して、自分の裁量と責任で仕事をする場面が多くなる。また職種によっては学会や研究会などで発表したり、外部のプロジェクトに参加したりするなど、「他流試合」を経験し、そこで評価されるようになる。

 

 これはこの通りでしょうね。そういう時代になっています。確実に。

 

 日常の業務においても、市民の中に入って仕事をする機会が増える。パソコンやスマートフォン、タブレットなど電子機器、ならびに通信ネットワークの普及により、役所の外で仕事ができる環境も整ってきた。職種や仕事内容によっては、役所の外で仕事をするのが普通で、必要なときだけ役所に戻って仕事をするような働き方が一般的になるかもしれない。

 

 これがねえ~。先般もテレワークの話で困ったことがありましたが、船橋市役所はその意識が全くありませんね。

 

 最近私が経験した友人の仕事は、スカイプとクラウドを使って、会議をし、書類の受け渡しをしということで、時代は着実に変化してきていることを思い知らされました。

 

 また専門化を図るためには、能力開発やキャリア形成も見直さなければならない。

 

 キャリア形成に関してもそう。民間企業はガンガンキャリア形成の努力をしているのに、船橋市役所は今シリーズのブログで述べたように「研修」は心地良いものばかりを行って一向に改善の兆し無し。(笑)。

 

 前述したように、これまでの「大きな組織」では能力開発もキャリア形成も組織主導で行われた。しかし職員の専門化を図り、「行政のプロ」を育てるためには、それを個人主導に切り替える必要がある。

 

 まず採用の段階から、専門職採用の枠を広げるとともに、採用後も専門職としてキャリアを形成できるコースを増やしていくことが望ましい。また庁内FA(フリーエージェント)制度や役職公募制など自分の意思でキャリアを形成できる余地を広げるべきである。それは単に専門性を高めるのに必要なだけでなく、自分で選択することによってモチベーションや責任感も自ずと強まるからである。

 

 庁内FAはいいですね。ぜひやるべきだと思います。

 

インフラとしての役所組織

 

 それでもキャリアが組織の中に閉ざされているかぎり、モチベーションの面でも専門性を高めるうえでも限界がある。したがって定年まで勤めるという大前提を取り払い、転職というキャリアの選択肢も認める必要がある。

 

 これはまだ無いですね。再任用制度の変形で出てきているようですが。

 

 実際にこれからは自治体間や国と自治体の間、さらに民間企業との間で専門を軸にした転職が広がると考えられる。それは個人の専門性を高めるだけでなく、社会的な適材適所という面でも望ましいと言えよう。ちなみに米国など海外の自治体では、日本のような組織の中での人事異動が基本的に存在しない一方で、経理、人事、広報といった職種を軸にした転職、すなわち組織横断的にキャリアを形成する例が多く見られる。さらに、これからはNPOや民間企業、市民団体などと連携したり、協働でプロジェクトを運営したりする機会も増えてくるだろう。

 

 実は民間企業でも欲しているのですがね。公務員経験者を。その支援もしないのが、船橋市役所。

 

 私は再任用制度発足の際から言っているのですが、全くですね。夢たい市役所だと思いますよ。

 

 そうなると役所という組織の役割やあり方もこれまでとは違ったものになる。権限をともなう狭義の行政機能以外は、職員や参加者に対して場を提供し、支援すること、すなわち組織というより一種の「インフラストラクチャー」としての性格が強くなることを意味する。それが新しい時代における自治体組織のイメージである。

 

 もう後半のこの部分で言えば、そうだよね。としか言いようがありません。こういうことをしっかりと戦略的に考えていただきたいものです。