予算決算の常任委員会化です。これも2会派の提案です。

 私の会派も提案していますので、説明をさせていただきます。


 前項の年1回議会に本来は連動させるのが理想的でありますが、単独で考えられないこともありません。


 三重県議会を視察させていただいた際に伺ったお話は衝撃的でした。議会の役割をしっかりと果たしていく姿勢と、県民側を向いた議会のあり方を議会全体で考え、実行しているところです。



三重県議会改革のさまざまな取組

 ここに、次の様に記述されています。


 二元代表制の下で住民から選ばれた一方の代表として、住民本位の立場に立ち、政策の決定、監視・評価、提言・立案機能をさらに高めていくためには、この予算決算特別委員会の活動を一層充実する必要があると考え、予算と決算の一体的な審査・調査による機能の強化を図ることを目的として抜本的な改革を行い、新たな予算決算特別委員会を平成16年5月16日に設置しました。

 その後、平成18年6月の地方自治法改正により、常任委員会の複数所属が可能となったため、三重県議会委員会条例の一部を改正し、平成19年4月30日から予算決算特別委員会に代えて、予算決算常任委員会を設置しています。


 ということです。三重県では、視察に伺った時に詳しく話を聞きましたが、この予算決算を本物にするために、年1回の定例会として、いつでも予算案を提案できる様にしているし、予算編成サイクルをきちんと議会日程にはめ込んで、「議会」主体的に関わる形になっています。


 基本的には監査委員、議長、副議長を除く委員会構成として、部会(または分科会など名称は問わない)を常任委員会構成と同一にし、全員参加の予算決算とすることを提案します。


 この三重県議会を視察する前から、私は、単純に議会運営委員会などと同じ構成人数の委員会設置や方法を研究してみましたが、帯に短し襷に長しという感じで、一長一短がある感じでした。


 もともと、全員委員会としてやっているところの事例も多く、自治体ごとに異なっていますし、異なっていました。という状態です。


 いわゆる分科会の方式をとるところが全員委員会のところは多く、簡単に言うと、常任委員会が予算も決算も見るという姿勢なのだと感じました。そもそも、その方が合理的かつ専門的に扱えるのと地方議会の性質からして、結局それが一番わかりやすいかなという判断です。


 実際に、各委員会の委員が予算・決算の分科会委員であれば、年間通して、専門的に予算決算まですべての事項を扱えることになるのです。


 地方自治法を見てみましょう。


第百九条  普通地方公共団体の議会は、条例で、常任委員会、議会運営委員会及び特別委員会を置くことができる。


 議会は、上記の3種類の委員会しか設置できないのです。


 ちょっとこの3つの委員会について考えてみましょう。


○2  常任委員会は、その部門に属する当該普通地方公共団体の事務に関する調査を行い、議案、請願等を審査する。


 さて、次に「委員会」についての諸説のうち、私が最も信頼する説をその著作から引用させていただきます。



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 まずは常任委員会です。

 

 議会が設置する常任委員会は、地方自治法第109条第2項の規定によって、その部門に属するその地方公共団体の事務に関する調査を行い、議案、請願等を審査するため、議会は、条例をもって常任委員会を置くことができます。


 常任委員会については、従来は人口段階に応じて設置できる数が定められていましたが、平成12年の地方自治法改正により制限が撤廃されました。


 常任委員会は、条例に定められた各常任委員会のその部門に属する議案、請願等を審査するもので、議会の第一次的審査機関です。その存在については継続性と永続性を持つものですが、それ自体議会と離れて独自の意思を決定できる機関ではありません。


 ここにいう「審査」とは、付託事件について詳細に検討を行い、委員会としての適否の結論をつけることをいい、議会の会議における「審議」と等しいのですが、審議に対応して特に区別して使われます。


 常任委員会の名称は任意ですが、できるだけその所管を明確にすることが適当です。所管が数個の事項にわたるために、これを明らかにする名称を付けにくい時は、いわゆる縱割行政に対応した総務、建設、産業、厚生及び文教等の固定した名称に拘束される必要もないので、第一常任委員会、第二常任委員会等横割の所管事務を持つ名称にしても差し支えありません。しかし、実態はほとんど皆無に近いと思われます。


 なお、常任委員会の名称は、一つの常任委員会を他の常任委員会と区別するために、その委員会に付けられた固有名詞です。


 地方公共団体の行政の分化と高度化、専門化及び複雑化に伴って、常任委員会制度が採られたのですから、条例によって常任委員会を設置する場合の所管は、議会がその地方公共団体の実情に応じて自由に定めることができます。


 これらの所管は、全体として地方公共団体の行政全般にわたるように配分しなければなりません。所管の定め方によって行政部門別に設置する縱割方式によるか、部門別にとらわれず行政機能別、例えば法規、決算、予算、あるいは行政、財政、税制、企業等特定の事項別に設ける横割方式によるか、若しくはその混合方式を採るかは、別に特定されていません。


 常任委員会の構成が縱割方式による時は、委員がその部門の事務に精通し専門化するので、審査能率が向上しあるいは適切な政策を樹立しやすくなる反面、議員の視野がその地方公共団体の事務の一部門だけに限定され、執行機関との結合が強くなり、あるいは割拠主義や予算分捕主義的な傾向が濃くなって、遂には常任委員会がその所管執行機関の利益代弁的、あるいは出先機関化及びセクト化的な存在になるおそれがあります。


 また、横割方式による時は、縦割方式による欠陥は少なくなりますが、各常任委員会の所管事項の区分に明確を欠き、均衡のとれた構成が困難になり、委員会相互の活動に繁閑を生じることもあります。要は、実際の運営を考慮し、議会本来の政策形成及び批判、監視機能の総合的しかも合理的運営を配慮の上決定することが最も適当です。