今更ながら、改めて思い知らされている感じです。


 最近、複数の集合住宅の建て替えのご相談を受けています。


 ネックになるのは、高さ制限。


 船橋市が、マンション問題で「もめる」のが嫌で、前市長が推進した施策。

当時は、なんとか阻止しようと動いていたのですが、結局決定されてしまいました。最後まで徹底抗戦し、阻止すべきだったかなあ~と反省をしているところです。あの時から、都市計画がより良くなったかというと、まったくというのが現状です。むしろ悪化という感じ。


 これまた、何につけても同じですが、「幹」となる考え方というか「芯」というか「背骨」ですかね、しっかりとした都市計画の理念などまったく無いに等しいのです。


 当時は新宿区をはじめ、高さ制限を導入している自治体を一人でいくつも回って話を聞いてきました。


 それは、どこもしっかりとした理念があっての高さ制限でした。

なぜなら今回のように人様の財産に対して、市が勝手に制限を加えちゃったのですからたまりません。


 この私権の制限に関しても議論をした記憶がありますが、まあ、何につけても結論ありきの船橋市式で不愉快な気持ちを思い出すだけです。


 結論があっても、十分な議論の末、修正に修正を加えながら最終決定するものなら良いのですが、議会の側もダメな議会で、抵抗できないままの決定でした。


 私が、仮にこれから市長になるとしたら、いの一番に条例廃止をしたい案件です。


 説明をすると長いのですが、それほどまでに理念なき条例ですから。思い出すだけで本当に不愉快で堪りません。


 さて、なぜ集合住宅の建て替えで高さ制限が関係するのでしょうか?

実は、船橋市の高さ制限は、建て替えを制限しているわけではありません。


 集合住宅の建て替えは、一定数の住民の同意を要件としているため、なかなかその事業推進ができません。


 そこで、考えるのが、できるだけ費用がかからない形で建て替え計画を進める必要が出てきます。規模が大きくなればなるほど、住民の生活形態は様々です。


 ですから、簡単に申し上げますと、住戸を一定数増やして、その分を売却して売却益で建築費を賄うというのが基本スキームです。そうすれば費用面で負担が少なくて済みますので、それぞれの住民の懐事情は、ある程度クリアできます。


 ところが、冷静に考えてみると、戸建住宅に住んでいる方々の家の建て替えって、どうでしょう?まんまその費用を払うのは当然すぎる話。


 一方で、集合住宅の場合は、その費用が工夫でまかなえちゃう。ちょっと違うような気がします。しかし、前述したように、住民(所有者)の同意によって、初めて取り壊しも、新築も決まるという逆に自分の財産のことを自分で決められないという理不尽な話でもあります。


 そこで、出てきたのが「マンションの建替え等の円滑化に関する法律」になるのですが、実は、船橋市においてはこの法律を所管する窓口が今ひとつ曖昧なのです。


 確かに、自治体のお手伝いの範囲が限られていますが、関連法規に関する所管課は船橋市の場合はいくつもありますから、それらが連携してワンストップとは言わないまでも対応する仕組みが必要かもしれません。


 というのは、宅地開発の場合などは専門の事業者の方々が窓口にお越しになって、専門的に仕事を進めていきますが、まだまだ事例がない集合住宅の建て替え事業は、住民の方々が主体のようです。


 そうなると何をどうしていけば良いのかなど、その手順すら整理することが難しく、「建て替え意思」がある方々に対して、的確な問題抽出などをして、助言をして差し上げられる体制が必要なのかもしれません。


 私が、いくつかご相談を受けて感じたことは、「高さ制限」は、廃止。集合住宅建て替えは、しかるべき相談窓口を設置。最低限これをしておかないと、中途半端な知識によって、まったく踏み込めないまま、気が付いたら、高齢化の進むマンションで、建て替え事業を引っ張る人もなく、戸建住宅と同じように空き家対策が必要になってきます。


 空き家対策には、本来、集合住宅の問題も含めていくべきだと思うのです。


 但し、戸建住宅と違って、集合住宅は様々な問題をはらんでおりますので、早め早めに自治体としての考え方をまとめておかなければなりません。


 私は、都市計画、都市再生の視点からも早い時期に取り組んでおく必要があると考えております。