さて前回に引き続き待機児童解消アクションプランについて委員会で所管事務調査の一環として取り扱ったことに関して書かせていただきます。


 6月17日に行われた健康福祉委員会の内容に入っていきたいと思います。録画の冒頭から中盤は飛ばしてご覧ください。


健康福祉委員会(平成27年6月17日 午前10時)


 待機児童解消緊急アクションプラン


 のうち、今回は右下の部分についてです。「緊急対策② 保育士の緊急確保」と記載して枠で囲まれている部分です。前回までの「緊急対策① 保育の受入枠の緊急拡大」は、申し訳ありませんが、書きようがないので、事情をご賢察いただくということでご理解下さいませ。


 です。まずこの表の一番左をご覧ください。



 保育士不足を要因とした待機を解消

 ○公立保育所において、保育士の不足により認可定員までの受入れができないことによる待機者が増加しているため、保育士の確保に向けた緊急対策を実施します。

 

 とあります。


 私立保育園の園舎を建築する時に、面積などに関してうるさいほどに口を出してくるくせに、自分たち公立保育所の既存不適格物件には目をつぶり、むしろ新たな建替物件で面積要件に余力があったりするものを放置し、面積基準の時限的待機児童対策を私立には押し付けながら、保育士厚遇をし、運営を行ってきたツケが回ってきた「自業自得」なのに、あたかも公立保育園の保育士不足が臨時雇用の保育士の大量退職によるものであるかのように理由付けをしたりしてひどいもんです。


 ほんの数年前に経験者採用を企て、実施したのは記憶に新しいところです。保育課と職員課は共犯ですが(いや、もう、犯罪とは言いませんが、犯罪に近い振る舞いでした。)、経験者募集(採用)をすれば、当然、「市内私立園」の経験者を引き抜くのと同じ行為になってくるのは誰が見ても明白でした。社会福祉法人経営の園と公立の園とでは、残念ながら待遇が違います。公立は、公務員としての安定した雇用環境、年間700万円近い年収や多額の退職金に加え、誰に気兼ねすることなく取得できる有給休暇を始め、年末年始、夏季休暇、時間単位で取得可能な休み等々、市民の方々に見えにくい厚遇労働環境ですから、当然、応募は市内保育園や幼稚園から現役の保育士、幼稚園教諭の応募もあったようです。


 ということは保育士不足はとっくに始まっていたのに。それをわかっていたのに…。録画ご覧になりましたか?なんと認識をしたのは昨年度ですって。この時期のズレとやっていることの醜さ。ひどいものだと思います。


 保育士不足を認識したのは昨年度。だから大変だ。と。おいおいおい。会議の録画をご覧いただければわかりますが、私立園の経営者の皆さんはとっくの昔に保育士不足を言い、その対応に日本全国を東奔西走していたのです。十分にコミュニケーションを取っていれば、日頃の雑談の中でいくらでも保育不足の話なんて何度も出てくる話題です。


 そういうことさえも聞き取りができないというのは、市内全体の認可保育園の指導監督権限を持っている市役所としては失格です。ましてや、民間事業者の邪魔をする職員採用をするような職員課も失格でしょうね。というより、まさに市の福祉事業者の経営の要でもある経験者の引き抜き行為をして運営の邪魔をするというのは、認可権限のある官公署の行いとしては最低最悪の失格行為です。


 船橋市の経験者採用で保育士が抜かれたため、定員一杯の児童を受け入れられません。って言われたら、どう責任をとるのでしょうか?ふざけきった話です。


 で、保育士不足による待機児童の件ですが、結局はどういうことでしょうかね?


  保育士不足を要因とした待機を解消

 ○公立保育所において、保育士の不足により認可定員までの受入れができないことによる待機者が増加しているため、保育士の確保に向けた緊急対策を実施します。


 私は、


  保育士不足を要因とした待機を解消

 ○市内保育所において、保育士の不足により認可定員までの受入れができないことによる待機者が増加しているため、保育士の確保に向けた緊急対策を実施します。


 とすべきだったと思いますね。公私ともに保育士が不足していて、何度も書いておりますが、子供の受け入れという入口の部分はすべて市が責任を持つんです。入所申し込み、入所決定、保育料納付などなど、すべて市がやっています。こういう緊急事態の採用事務はまさに共同で、協力して行うべきです。


 「船橋市の子供達のために」

 

 さて次に行きましょう。

 

 「○市内保育所等で働く保育士の処遇改善を図ります。」


 とあります。ここが意図的なのかそうでないのか?です。

 前述の部分は、公立と私立の区別をわざわざ書きました。そして、ここではあたかも私立なのか公立なのかわからない書き方をしています。


 市民の方に非常にわかりにくいものですね。私立保育園に依託費のようなかたちで、運営費が支払われます。当然ですが、公立並みの処遇での運営費になっていませんので、それらを玉虫色に埋め合わせをするのが、こういう費目の費用です。処遇改善費?公私の処遇の違いがあることを認めて支払うものだと考えましょう。


 こういう書き方をしていますから、委員会の中でも公立に私立の処遇を合わせるべきだという意見まで出てくるのです。


 考えものですね。


 現行の、私立保育園の処遇が悪いのでしょうか?


 依託費にあたる費用の積算は合理的なものだと思います。そして、その処遇が、全国的に見てどうなのか?関東圏域でみてどうなのか?千葉県域でみてどうなのか?


 そして、その処遇に関わる一つ一つの項目がどうなのか?


 お金にものを言わせて、近隣自治体や、他自治体を始め、福祉事業を行っている事業者を敵に回すような「お金で人を買う」ような行為を行って良いのでしょうか?


 処遇改善などと言葉は美しいのですが、前述のような気持ちになるのは否めません。


 もっと言えば、将来のことを含めて、そして私立保育園の財政状況や、将来の経営予測、あるいは内部留保をしにくい会計ルールの中で、一時の事情によって、予算を増額することによる弊害が将来生まれる可能性もあるのです。


 もっと言えば、処遇改善をして、私立保育園の保育士が定年退職まで勤め上げる。という、過去にあまり例のできていない状況を迎えていくにあたって、その辺の面倒をみることが市はできるのでしょうか?


 私は、私立保育園が安定的に経営を継続していける環境整備が最も肝要だと思っています。


 今、船橋市が行おうとしている各種施策は、逆だと思っています。


 「○保育士養成校に出向き、卒業後の就職先として船橋市内の保育園をご案内する保育士確保キャラバンを実施します。」


 間抜けですねえ~。録画ご覧になりましたか?委員が発言をしています。とっくの昔に私立ではやっています。と。


 世間知らずも甚だしい、この市役所の職員はどうしようもありません。


 私は、幼稚園の先生方とのおつきあいが多かったのですが、幼稚園も「養成校」の先生方にお集まりいただく会を全国、県ともに団体で毎年行っておりましたし、市の団体でもやっていたのかしれません。同時に経営者の先生方は、養成校に出向き、協力要請をしていました。もっと言えば民間企業と学校の関係というのはそういうものですよね。


 公務員の採用くらいですよね。採用費用が大してかからないで、入りたい人はいらっしゃい。試験をやってあげるから。という傲慢な態度でいるのは。