前回の続きですが、平成22年第4回定例会の会議録からの引用です。
 私が、船橋市議会議員定数条例の一部を改正する条例案の提案理由の説明をしたときのものです。

 船橋市議会議員定数条例の一部を改正する条例案の提案理由の説明を、ただいまからさせていただきます。

 本改正案では、議員の定数を現行の50人から40人に減数するものとしておりますが、その改正理由については次のとおりであります。


 まずは議員定数の検討が必要な背景ですが、近年の地方分権改革の流れを受け、第29次地方制度調査会においては、監査制度の充実・強化、それから、議会制度のあり方を中心に調査・審議が進められ、議会制度のあり方に関する答申によれば、「議会は、多様な民意を反映しつつ、団体意思の決定を行う機能と、執行機関の監視を行う機能を担っているが、十分にその役割を果たしていないのではないかなどの指摘がなお見られるところである」とうたっています。


 これにほぼ反映する形で「地方自治法抜本改正に向けての基本的な考え方」総務省平成22年6月22日においても、議会の団体意思決定機能や監視機能の向上策、それから議会制度の自由度の拡大などについての方向づけがなされています。


 地方分権の進展等に伴い、地方公共団体の処理する事務は今後さらに増大するとともに、事務の処理に当たっても、条例により自主的に定めることのできる範囲が拡大するなど、地方公共団体の責任領域が拡大するものと考えられ、議会機能のさらなる充実・強化が求められています。


 また、それぞれの地方議会では、地方自治体の財政難にこたえる形での議員定数の削減や、議会の活動理念とともに審議の活性化や住民参加等を規定した議会基本条例を制定するなど、従来の運用の見直しに向けた動きが見られるところであります。


 以上が国においての動きでありますけれども、平成15年に私もやんちゃ坊主をやって一時離れていましたが、恥ずかしながらこの船橋市議会に戻らせていただきました。既に4年が経過しようとしています。この4年間は、「市議会とは何か」を常に考えながら行動をしてきました。過去2期の議員生活とは違った話をあちこちでさせていただけたものと思っております。


 さて、昨日、鹿児島県阿久根市の市長リコールが成立いたしました。この阿久根市や愛知県名古屋市において、議会と執行部の対立関係がメディアを賑わしております。私の大学の後輩がいる埼玉県草加市においても、市長不信任決議に起因する議会の解散がありました。大学の後輩の草加市議会議員選挙の事務所開き、出陣式、期間中の陣中見舞いと、心配で何度も足を運びました。この名古屋、阿久根、草加ともに市長と議会の根深い対立によって起こった事案でもあります。


 そんな中、今は、「議会内閣制」という言葉もはやり出したようです。これは橋下大阪府知事が言い出した言葉のようですが、さらには河村名古屋市長は「ボランティア議会」を言い出しております。今までの私でしたら、何を言ってんだかと思っていたでしょう。それが、どうも最近は違うぞ、これは対岸の火事のように思っていてよいのだろうか、と気になり始めたのであります。


 名古屋にも友人の自民党議員を訪ねて話を聞いてきました。独特の議会観を持った首長をいただいた市議会は、二元代表制を言おうが何を言おうが、圧倒的な力の前になすすべがないのだそうです。


 私が今回の提案をさせていただく考えに至ったのは、まず1つ目として、議会が議会としての権能をきちんと行使できるだけの力を持つこと。


 2つ目としては、言うまでもない話なのですが、議会がきちんと「議論ができる場」になることです。これは、今回のこの条例案の取り扱いでも感じたことであります。議会運営委員会でも、幾つかの会派の方々が態度保留で、本会議に上がった場合その理由等により態度を判断するというものでした。大変ありがたいと思いました。さらには、賛同し、提案会派になっていただいた会派新風には、感謝と敬意を表します。さらには、議会運営委員会で残念ながら認められませんでしたが、個別に提案者に名を連ねることを申し出てくださった中村静雄議員、島田たいぞう議員にも感謝と敬意を表します。


 今後は、これからの社会で独裁的、独善的に食わず嫌いの反対によって議論を黙殺する議会は、市民に受け入れられないのではないかと思うのであります。市民生活が多様化し、市民の考え方が多様化してきた現在、議会が市民意見を反映する場となるためには、議員の数がより多ければそれでよいというのではなく、幾ら議員数が多くても拾い切れないことを真摯に受けとめ、議会の意思をきちんと示すことができる度量と見識を持っている必要があると思うのです。


 3つ目としては、これが一番気になっていることですが、議会自体のレベルの向上です。1人2人ではなく、多くの市民の方から私は言われております。「いつも何やってんの」っていうことであります。その後に何を答えても「そうなの、大変だねえ」と言いながら、次に来る言葉がこれまた恐ろしいケースが多々あります。「ところで、◯◯さんはどうしてる」という同じ議会の議員さんの名前やご引退した議員さんの名前です。その次に来る言葉は、決まって「あんなやつが議員やってられんだもんなあ」っていうことであります。いろいろと弁護をするわけでございますけれども、まあそうですねと言いたくなるようなケースもあります。市民の皆様におおよそ認められていない議会。少々悲しい気分ですが、大変ご無礼ながら一般質問や議案質疑、あるいは職員の方からの話などを総合的に考えたときに、もう少しきちんとしたらどうだろうかと思うことがあります。それは、もちろん私を含めてでもありますが。


 現状をかんがみたときに、船橋市議会の議会費は、ここ数年横ばいで推移しております。そして、多くの市民の皆様から言われることは、先ほども申し上げたように「市会議員って何してるんだい」ということであります。これに関しては、議会自体の広報が不足していることもあるでしょう。しかし、私を含め多くの議員は、限られた政務調査費を含む議会費の中では、市民への議会報告は十分に賄い切れないと思っていらっしゃるのではないでしょうか。そういう面では、私は議会費全体のリストラクチャリングをすべきであると考えております。ここで申し上げるリストラクチャリングとは、今回の条例案も含みます。


 さて、その「何やってんだい」のうち、その答えを、「議会に出席することだ」と言い切る方もいますし、「議会で発言することだ」と言う方もいらっしゃいます。その考え方に私は異をとなえたいと思います。


 議員の議会活動、政治活動は個々にスタイルがあり、自分以外の議員の活動を批判、非難、否定することはできません。
言い方がおかしいかもしれませんけれども、生活カウンセラー、あるいは生活相談員の意味合いがものすごくあり、さらには発言代理人、行政と市民の仲介者でもあり、それはむしろ議会の公開の場での活動以外にたくさんあるのです。むしろその比重のほうがずっと多いのは、皆さんご承知のとおりだと思います。


 ですから、議会に出席することや議会で発言することを議員の活動と言い切る議員さんは、即刻、報酬の3分の2を返上していただきたいと思うのです。議会は年4回しか行われておりませんから。もちろん、非常勤特別職の公務員で非常勤であることは承知の上です。何を言いたいか。年間を通して報酬をいただくことに堂々としていられる議会の構成を実現すべきだと思うのです。


 報酬の話に行きましたから、少し財政面からのアプローチを考えてみたいと思いますが、景気の低迷が言われて大分たちます。先行き不透明感の強い経済情勢の中、市税収入の急激な増収が見込めない中で行政需要はどんどん多様化し、増加の一途をたどります。そんな中、既存事業のリストラクチャリングは避けて通れない喫緊の課題であると思います。


 そこで、行政の行う事業の中で、「切る」ということは本当につらいものであります。しかしながら、近い将来そういう事案が頻発してくることは明らかでありまして、議会側もその覚悟を示さなければ、市民の理解は得られないと確信をしているのです。その覚悟とは、ある意味では身を削る、すなわち定数を削減することでもあると思うのです。財源も示さず、ないものねだりばかりをする時代は終わっています。


 さて、少々脱線をいたしましたが、別の角度から事例を上げてご説明申し上げましょう。常任委員会や各種会議の日程調整の際、議会事務局職員が苦労して日程調整をします。ここで言う日程調整は、本会議閉会中の各種会議、視察等の日程調整です。「ああ、おれその日医者だ」とか、「あ、その日はもう入ってるからだめ」「あ、その日旅行だ」、それはそれでいいと思うんですけれども、私もそういう発言をしていますし、しかし、冷静に考えたとき、その席に市民の方に入っていただいて傍聴をしてもらえますかということであります。私は絶対無理だと思います。事前に市民の方に月額報酬や年額報酬額をお知らせして、公務でもある会議の日程調整の打ち合せにも傍聴に入っていただく。私はできないと思います。できないから非公開の会議にする。昔だったらよいでしょうが、時代は明らかに変化しています。私自身、さまざまなシーンで執行部が行う会議の公開や資料の公開を要求しています。それは市民を代表して前述した監視機能をきちんと発揮しようとしたとき当然の行動であります。それなのに議会だけが閉鎖的で旧態依然としていてよいものなのか。それが今回の提案に至った根底にある理由の1つであります。


 そこで、これらのことを打開するにはどうしたらよいか考えました。何度も何度も。これほどまでに、市民と議会が乖離している事実。なぜなのでしょうか。市民の側が議会の活動に関心がない。そういうこともあるでしょう。なぜならそれは見えないからだと思っております。先ほども述べたように、議会が議会活動の十分な広報を住民に対して行っていないことが理由でもあると思います。


 この民主主義の危機とも言える状況をかんがみたとき、議会改革は待ったなしだと思います。しかも、その改革は、物すごいスピード感が求められるものでもあると思うのです。具体的には私が考えている議会活動の部分での改革というのは、最低でも、本当に一番最低のことでありますけれども、次のようなことであります。


 議会報告会の実施、従来のインターネット中継、議会だより等の広報に加えて、議会が市民の生活の場に直接出向いて、議会活動の周知に努めるべきであると考えます。民意反映のためには、議会主催の正式な公開の場において、議員がみずからの支持者とは限らない市民と議論をする場を確保することが必要だと思うんです。これらを着実に進めることにより、議員数削減を民意反映の低下と批判することは当たらなくなるでしょう。


 次に、常任委員会活動の活性化であります。定例会時期以外の議員活動が見えないとの批判が物すごくあります。常任委員会複数所属制とした今般の自治法改正も、常任委員会活動の活性化がその目的であります。常任委員会は、社会の動きを注視し、不測の事態に対応して、直ちに会議を開けるよう、常に開会できる状態にしておくべきだと思うのです。そのためには、より身軽な委員会構成である必要があります。


 それから次に、議員同士の議論。今後は、従来の政党本位でなく、一人一人の議員の主張を見えるようにすることが必要ではないかと思うのです。そのためには、議員同士が積極的にディベート・議論を行う機会を拡大する必要があります。効果的な討論や議論を行うためには、現在の50人は多過ぎます。個人としての意見を持たず、公の場の議論に参加できない議員は不要なのです。


 したがって、まずは、時代にそぐわない議員は退場していただくべきだと。新たな時代の動きに柔軟に対応できる議会にしなければならないと思うのです。今の船橋市議会は確実に民意とかけ離れたところでの議論がなされていると言わざるを得ません。


 ある条例案が出たとき、「いいよいいよ、どうせ通らねえべ」と。愕然としました。条例案の内容はさておき、その議案が通るか通らないかで判断をする。百歩譲ってそれも1つの考え方でしょう。しかし、議員の職責は完全に放棄しているとしか言いようがございません。


 それより何より、現在の船橋市の多くの市民の方々は、千葉都民と言われるようになって久しいのですが、多くの市民の方々は、船橋市に生まれ育ったのではなく、他地域から転居をしてきて、都内を初め近隣への勤務をしてきた方々がほとんどです。(「そうだ、そうだ」と呼ぶ者あり)何を言いたいか。民意の反映をきちんとするためには、船橋市が生まれ故郷でない方々でもこの船橋市議会に参加しやすい環境を整えるべきであるとも考えるのです。(「そうだ、そうだ」と呼ぶ者あり)


 一部繰り返しになりますが、4定例会制ではなく、年間を通しての議会開会。都内に勤務する会社員の方、地元の自営業の方、主婦の方など、会議出席環境の整備も必要であると考えます。(「それは賛成だな」と呼ぶ者あり)例えば夜間における議会の開会です。それを言うと職員の人件費などを言う方もいるでしょうが、それは簡単です。議会は市長執行部局とは別なのですから、勤務時間、休暇等に関する条例の周辺を整備すれば済みます。議会の議員に立候補をしようと思い立ったときに、それがしやすい環境整備が必要なのです。女性議員のクオーター制を議論したり導入したりすることも必要であります。法令との関係上精査をしなければいけませんが、このことについて少なくとも議論をするという見識は必要だと思います。


 議会基本条例の話題も大分聞かれるようになり、都道府県議会でも市区町村議会でも制定をした自治体がふえてきました。これらを食わず嫌いでいてよいのでしょうか。私は、十分な議論が成立する議会においては、議会基本条例もひょっとすると必要ないのではないかと思う1人です。しかし、土俵にも上げないで「あんたの負け」は、議会としての権能を放棄しているとしか言えません。議会基本条例も、きちんと議会がその権能を発揮し、土俵には上げる。場合によっては市民を交えての議論をする。そういう時期に来ているのです。


 これらのさまざまな背景を踏まえると、船橋市議会においてもこのような自主的な取り組みを進めることは、まさに時代の要請から見ても必須の状況に立たされていると言えるものです。分権型社会における議会の役割が十分に発揮されるようにするためには、議会みずからの自己改革の取り組みがまず必要で、その姿勢のあらわれとして定数の削減を行うことが必要との考えに立ったためです。


 議員定数を減らすことによる地方分権への対応性について考えてみましょう。地方自治法91条の定めでは、人口規模で上限定数が定められており、船橋市の場合、平成22年11月現在の人口が60万6395人であることから、上限が56人ということになります。しかし、この議員定数には下限の設定がなく、市の実情に応じて条例により定数が定められることになっております。


 しかし、第29次地方制度調査会における答申では、議会の議員定数について、議会制度の自由度を高めるため、法定上限を撤廃すべきであるとするほか、各地方議会が議員定数を定めるに当たっては、住民の理解を得られるものとなるよう十分に配慮すべきであるとしています。まさにこの部分を私は言いたいのです。


 全国一律横並び主義、「中核市平均は」とか、「近隣市の状況は」とか、「赤信号みんなで渡れば怖くない」は、昨今の市民感情としては許されないことでもあるのだと思うのです。船橋市独自の考え方、船橋市独自の意志の示し方によって、その議会の存在が認知されることにつながると思うのです。


 10名を減じる根拠は、このような理由によります。したがいまして、人口比較による議員の数などを数字の根拠としません。質の確保から考えての数字となります。


 では、質の確保から数字の根拠を述べよという話になりますが、その辺を説明させていただきます。よく言われる二元代表制ですが、市長も我々議員も住民から公選で選ばれる制度となっております。しかしながら、その補助職員の数には大きな隔たりがあります。市長は数千人規模で補助職員がおります。執行機関だから、まあそれは当然かもしれません。


 では、我々議会に関してはどうでしょうか。前述したように「議会は、多様な民意を反映しつつ、団体意思の決定を行う機能と、執行機関の監視を行う機能を担っているが、十分にその役割を果たしていないのではないかなどの指摘がなお見られるところである」と言われているわけです。多様な民意を反映するには幾ら議員数がいても難しいと思います。多様な民意を拾えるシステムが必要だと思っております。


 団体意思の決定を行うには、前述しました徹底した議論を行える議会であればよいのです。このことは前述したとおりです。


 そして、ここで申し上げたいのは、執行機関の監視を行う機能は全く整っていないということです。私たちを支えてくださっている議会事務局。市長の執行する事務事業を監視する人員がいるかどうかということになりますけれども、庶務課の調査係4人です。4人。これはたったの4人と申し上げたほうがよいでしょう。この4人にサポートをしていただきながら調査をし、監視をするだけの情報収集ができるのでしょうか。私は無理だと思っています。今回も、指定管理者の指定に関する調査をかなり以前からして、監視を行おうとしましたが、結局は無理でした。


 そこで、私は議会事務局機能を強化していかない限り、議会本来の機能を十分に遂行できないと判断したのです。議会事務局機能を現行予算枠を基準に考えたときに、いわゆる少数精鋭の議会とし、その分、補助職員の質と数の確保をしなければならないと考えたのです。


 そのためには、本来であれば徐々に減らしていくのが筋かもしれません。しかしながら、現行の議会構成、市民感情などを総合的に勘案した場合、マイナス10以上は明らかでもあり、まず市民の皆様に納得していただける数となると確信をしております。


 特に条例の取り扱いについては、船橋市の独自性を求められるシーンも今後は多数出てきますので、それらに対応できる質の確保のためには、大幅な事務局機能の強化と少数精鋭議員の質の確保を目指すべきであると確信しております。


 すなわち、議会制度のあり方としては、議会の団体意思決定機能や監視機能の向上策、議会制度の自由度の拡大、幅広い層が議員活動できるための制度の環境整備について、その考慮が必要で、今後一層住民に身近な議会を実現し、柔軟な議会運営を可能とする観点から、長期間の会期を設定して、その中で必要に応じて会議を開く方式を採用することや、会期制を前提としない方式を可能とすることなど、執行機関の職務遂行に支障が生じないように配慮しつつ、より弾力的な議会の開催のあり方を促進するよう、必要な措置を講じていくべきであると言えるのです。


 このような方策を活用することを通じて、議会における議員同士の議論を行う機会を拡大させ、議会の審議の充実・活性化につなげていくべきであるというのが今回の提案の趣旨でもあります。


 さらには、政府が掲げる地域主権改革においては、自助・共助・公助の視点に立ち、地域の課題を地域で解決するための方策を見出し、地域で行動することができるための仕組みづくりが必要とされ、すなわち地域への公助とともに、地域が直接市政に要望や提案を可能にするといった地域内分権の促進が求められています。


 そのような観点に立った場合、地域のご意見伺いのような議員の存在は、今後の地方分権制度改革の進展の中では重用される方向にはなく、市全体の大局的な見地から柔軟な議会機能を果たしていくことに力点が置かれる方向にあると言えます。このことからすると、船橋市議会の場合は議員定数が少ないということはなく、むしろ現在よりも議員定数を減らしていく方向にすべきだと認識しているのです。


 以上、長々と申し上げましたが、私は船橋市民の幸福と安心して暮らせるまちづくりを行うための議論を前向きにできる議会を目指すべきであると考えております。そのためには、現状のこの議会風土に新しい風を吹き込み、輝きのある船橋の未来を創造する市政を確立するためには、大きな改革と、市議会独自の思想信条を持つべきであると考えて提案をさせていただきました。多くの議員各位のご協賛を賜りたく存じます。