町田市議会が熱い。

まずはこれを見てください。

YOMIURI
ONLINE
より
 町田市議会は最終日の28日、風疹のワクチン接種費用の助成費を盛り込んだ一般会計補正予算案の修正案を可決した。市は、19歳以上の出産を希望する女性などを対象に、接種費用の半額を補助する費用を計上していたが、全額補助にするため増額した修正案が、議員提案され、16対15の賛成多数で可決した。全額補助について、市は「総合的に対応を検討中」としている。
 補正予算案で市は、ワクチン接種の対象者を女性4300人、男性450人と見込み、半額補助にかかる費用2152万7000円を計上していたが、志政クラブの3議員が全額補助とし4599万円に増額する修正案を提出した。
 風疹は、妊娠中の女性が感染すると胎児に障害が起きるおそれがある。今年に入り、都内をはじめとした関東では、ワクチンの集団接種を受けていない20~40歳代を中心に爆発的な流行が起き、問題化している。
 都の補助を受け、多摩地区でも各自治体がワクチン接種の補助を行っているが、補助率については、ばらつきがある。
2013629  読売新聞)

以上を引用させていただきます。

さて、気になる点がいくつか。

1.本質の議論
風疹のワクチン接種費用の助成です。

私もブログで書かせていただきましたが、議会側からの論理をご理解いただけないご批判等をいただきましたので、深くは書きませんでした。

まず、船橋市の場合で申し上げますと、次のような記述になります。
 「風しんの免疫を持たない女性が、妊娠中(特に妊娠初期)風しんに感染すると胎児が白内障、先天性心疾患、難聴等を主な症状とする「先天性風しん症候群」にかかるおそれがあります」。
 解りにくいかも知れませんが、「先天性風しん症候群」の赤ちゃんが生まれないようにという願いから、予防接種費用の助成を決めました。
これが第一の理由であることがポイントです。

 多くの自治体が、「風疹の蔓延の防止」としています。船橋市ではそれは違う。そうなると、これは「厚生労働省」の仕事なのです。
 蔓延防止がイコール風疹症候群の患者減少につながるだろうということになりますが、これは、簡単に言うと「卵が先か鶏が先か」的な話です。そういう言い方をしますとまたご批判を頂戴しそうなくらいデリケート、センシティブにとらえている方々いらっしゃいます。まあ、それは人生観の違いだとも思いますが。

 私は、ある特定の世代のみが国の税を使っての予防接種が行われず、風疹感染の恐れがある。その流行を防ごうと言うのであれば、それは国が国の責任でしっかりとやっていただかなければなりません。公衆衛生の視点での話ですね。それを、地方自治体が費用や手間ひまを担うというのはいかがなものでしょうか?ということです。たまたま「今年の流行」だけをとらえて、国が動かないということは「そういう判断」なのです。またご批判をいただく話ですが、生命の危険に大きくさらされる重篤患者の出る流行性の病気では無いとの判断でもあるのでしょう。だから「自己責任で対応お願いしますよ」ということなのでしょう。国の公衆衛生に対する取組や、それぞれの感染性の疾病に対する取組から考えなきゃならないと思います。
そう考えると、いや、どの角度で考えても地方自治体の予算を投入すべき事案では無いと思うのです。
 私は、「流行を防ぐ」という理由付けをするのなら、厚生労働省が流行の有無にかかわらず、「妊婦や妊娠を望む人たちへの広報活動をしっかりやること」。これに尽きると思います。あとは自己責任。簡単に言わせていただけば、風疹以外にだって、妊婦が感染したらよろしくないものっていくつもあります。

「サイトメガロウイルス、トキソプラズマ、
HTLV-1、水ぼうそう、パルボB19 ウイルス、性器ヘルペス、性器クラミジア
感染症、
B群溶血性連鎖球菌等々…どこで線引きをするんですか?」って話になるんです。そう考えると、結局は国(厚生労働省)の施策(考え方)に基づいた地方自治体の税金の支出が行われるべきではないのでしょうか?
私は、この問題が出てきたときにそのように思いました。

 一方、船橋市で新たに生まれて市民になる次代を担う子どもたちが、障害をもって生まれてくることは、船橋市にとっても、船橋市民である保護者にとっても残念な事ですね。私が政治的妥協をしたのは、これが理由です。そこで、そういう子どもたちが誕生しない環境作りを、今回の流行時に限っては考えようということでの妥協です。私が政治的妥協にこだわるのは、第一義的なこの問題の責任は何をどう言おうと「厚生労働省」が負うべきものだと思うのです。地方自治体が積極的にお金を出すべきものではないということです。一部のほんの一部の市民が対象です。逆の言い方をすれば、船橋市などにとっては少額の予算です。だけどそういう「情」による行政運営があって良いのでしょうか?他の事だったら大反対をしそうな方々が、私のこの考え方に批判的です。行政の本当にあるべき姿を少額の税の使用でも真剣にきちんと議論すべきです。

2.議会テクニック
予算の増額修正です。

 議会は、長が提出した予算案を増額して修正することも、減額して修正することのいずれも可能です。しかし長に専属する予算発議権を侵害するような修正はできません。
 長は議会の修正議決に異議がある場合には、これを再議に付すことが可能であり、特に修正された予算が執行不能であったり、義務費の減額等があったりした場合には再議に付さなければなりません。

もう少し詳しく。
地方自治法の定めでは、議会の権限を次のように定めています。

第九十六条
 普通地方公共団体の議会は、次に掲げる事件を議決しなければならない。
 条例を設け又は改廃すること。
 予算を定めること。

と議会が議決はしますが、それを(予算)を調製し、及びこれを執行すること。は長の専権事項となっています。

第百四十九条
 普通地方公共団体の長は、概ね左に掲げる事務を担任する。
 普通地方公共団体の議会の議決を経べき事件につきその議案を提出すること。
 予算を調製し、及びこれを執行すること。

 ちょっと考えると矛盾していますが、それが現実であり実態です。予算を決定するのは議会。提案するのは長。ダメ出しは議会。しかしそれを受けて調製するのは長。ダメ出しの範囲が具体的金額を示すべきか否か、等々悩みはつきません。
 従って、今回の町田市議会は「意図的にというか高度なパフォーマンスを演じている?」というところでしょうか?

 予算増額の修正となると、その根拠(ここでいうと、
全額補助にするための条例案や要綱案など)となるものを同時に提案したりするのがお作法でもあるような気がします。
 この予算を組むべきと主張する根拠たる条例案や要綱案を出さなければ、予算増額の根拠が乏しく、単なるパフォーマンスととられても仕方が無いような気がします。というのは、これまた予算が先か根拠が先かということで、鶏と卵の話になりますが、普通地方自治体の事業を考えたときに、まずは根拠条例で、その事業の性質などをきちんと定めて、だからこういう予算が必要なのだと。

 今回のこの風疹の予防接種助成は、どこの自治体も同種の予算の流用でいくところが多かったのではないかと思われます。
 そんな中、町田市は議会での議論を経てということはなんらかの「思惑」があったのでしょうか?東京都が助成する市区町村には助成をするのだと思いますが、だとすれば、都の助成分と、市が独自に助成する考え方と、という部分で、実は、全額公費負担で、市民の負担は無しという考え方も成り立ちはします。が、果たして議論の中心はどこにあるかですね。

少々、注目していこうかと思います。
町田市議会公式サイト
http://www.gikai-machida.jp