http://www.mod.go.jp/gsdf/eae/ea/soukan/soukan_2505.html
から抜粋、引用させていただきます。
防衛省自衛隊の東部方面総監部のホームページからです。
「総監の独り言」からです。

「リーダーシップとは何ですか?」と問われて明確に答えられる人は少ないと思います。そして、陸自が使う「統率」とリーダーシップは違うのですが、その違いを明確に説明出来る人も少ないと思います。そもそもリーダーシップは英単語であり、「指導者の地位、指導力、指揮、統率」などと和訳されていますが、残念ながら、リーダーシップの定義について自衛隊には明確なものはありません。私がリーダーシップについて議論する際には、米陸軍の文書「
ARMY LEADERSHIP」(ADP 6-22ADRP 6-22)を参照せざるを得ません。米陸軍のリーダーシップの定義は、1948年にまで遡る伝統的なものであり、その定義を和訳してみますと、「リーダーシップは、任務を遂行し、組織を良くするために、目的、指示(direction)及び動機づけ(motivation)を付与することにより、人々に影響を及ぼすプロセス(過程)である。」となります。リーダーシップは、人々を巻き込み影響を及ぼすプロセスでありスキルなのです。「あの指揮官のリーダーシップは素晴らしい」ということは、その指揮官の人を巻き込み影響を及ぼすプロセスやスキルが優れているということです。プロセスやスキルは学ぶことが可能で、改善され得るものなのです。従って、米陸軍においては良きリーダーシップの修得が奨励され、それを可能にするノウハウをADPADRPで紹介しているのです。

私は、ここ数年ずっとコミュニケーションスキルを身につけるための授業を受けています。おかげさまで自分の中では整理ができつつあるつもりではおります。が、先生から見るとまだまだのようです。

しかし、この渡部総監の下線部を読んで、日頃先生からご教授いただいていることが見えてきたような気がします。

そして今、議会の長に就任して痛切に感じているのが議会におけるリーダーシップです。どこまでできるか未知数と言うか、難しい要素も含まれるのですが、頑張っていきたいと思います。

さて、百戦錬磨の「戦い」の最前線というか、まさに研ぎ澄まされた「統率」論、「リーダーシップ」論を確立、実践しなければならない集団のトップである渡部総監の言葉には含蓄があり、なるほどなあと思いながら敬意を表したいと思います。文章自体も研ぎ澄まされた感じで、私の駄文とは雲泥の差。今後は、陸上幕僚長にご昇進のようです。注目していきたいですし、また、どこで渡部閣下のコラムが読めるのか心配です。

私がリーダーシップについて強調しておきたいことが一つあります。
陸自で使われる「統率」とリーダーシップには明確な違いがあります。陸自における「統率」の主体は指揮官に限定されますが、リーダーシップにおける主体は、組織におけるトップのみではなく、組織のあらゆる構成員(部長も課長も係長も担当も)なのです。リーダーシップは、任務を達成するために、組織を良くするために、周りの人に影響を与えるプロセスであり、影響を与えるのはトップだけではなく、組織の誰でも各々の立場でリーダーシップを発揮し得るし、そうすべきなのです。あらゆる人たちが任務達成のためにリーダーシップを発揮する組織が本来あるべき組織なのです。

この部分は我が船橋市役所職員諸氏にも読んでいただき、実践していただきたいものです。

リーダーシップを学ぶためにコリン・パウエルの「
IT WORKED FOR ME In Life
and Leadership
」(「それが私の人生とリーダーシップにおいて機能した」)を読んでみました。パウエルは、軍のトップである統合参謀本部議長や国務長官などを歴任した偉大な米陸軍出身者ですが、1948年に遡る米陸軍のリーダーシップ研究の成果がパウエルに見事に継承されています。彼が実践したのはリーダーシップの王道であり、人間に対する深い共感に基づく包容力、明確なビジョンの確立とビジョンを達成するための強制力、心を常にコントロールし冷静沈着に対処する能力、コミュニケーション能力、適度な楽観主義、NOではなくYESをモットーとする前向きな姿勢、固定観念に陥ることなく状況の変化に対応する柔軟性、常にベストを尽くす勤勉さ、軍事のプロとしての見識などに基づいたリーダーシップなのです。彼の適切なリーダーシップにより、軍隊のみならず国務省も活性化されていきました。リーダーシップにとって重要なことは、単なるテクニックを使い周囲の人々に影響を与えようとするのではなく、パウエルの様に愚直にリーダーシップの王道を歩むことなのでしょう。

船橋市役所の職員諸氏には、ぜひともこのコラムを参考にしていただきたいものです。