http://www.kantei.go.jp/jp/96_abe/statement/2013/0419speech.html

素晴らしかったです。前回に引き続き「6.女性が輝く日本」に僭越かつ図々しくもコメントさせていただきます。

6.女性が輝く日本  さて、ようやく、私の成長戦略の中核である「女性の活躍」について、お話させていただきます。

 さて、私にとって一番の難問です。これって安易にコメントすると大変なことになります。なぜなら、このことが、男の側の論理ではなく、女性のまさに当事者の側の論理が、「政治家」には現実問題として身近に感じられているのかということです。 

 「社会のあらゆる分野で2020年までに指導的地位に女性が占める割合を30%以上とする」という大きな目標があります。
 先ほど、経済三団体に、「全上場企業において、積極的に役員・管理職に女性を登用していただきたい。まずは、役員に、一人は女性を登用していただきたい。」と要請しました。


 しかし、「はい、わかりました。女性を役員に登用しましょう!」とはならないでしょう。

 まず隗より始めよ、ということで、自由民主党は、四役のうち2人が女性です。こんなことはかつてはなかったことであります。2人とも女性の役員では、日本で最も注目される女性役員として活躍いただいています。そのおかげかどうかはわかりませんが、経済三団体からはさっそく前向きな回答をいただけました。

 いやいや、それはどうでしょう。2人が女性です。とおっしゃっても、政党と企業は違いますし、比較対象の引用には向かないですね。自由民主党本部職員はどうですかって話になっちゃいますね。

 ただ、足元の現実は、まだまだ厳しいものがあります。
 30代から40代にかけての女性の就業率がガクンと下がる、いわゆる「M字カーブ」の問題については、少しずつ改善の傾向にありますが、ヨーロッパの国々などと比べると、日本はまだまだ目立っています。
 いまだに、多くの女性が、育児をとるか仕事をとるかという二者択一を迫られている現実があります。


 これです。現状認識まではOKですよね。でも…。

(待機児童解消加速化プラン)  「待機児童」は、全国で2万5千人ほどいます。深刻です。
 しかし、「全国で最も待機児童が多い」という状況から、あの手この手で、わずか3年ほどで、待機児童ゼロを実現した市区町村があります。「横浜市」です。
 やれば、できます。要は、やるか、やらないか。
 私は、待機児童の早期解消に向けて、このいわば「横浜方式」を全国に横展開していきたいと考えています。
 まず、これまで国の支援対象ではなかった認可外保育施設についても、将来の認可を目指すことを前提に、力強く支援します。
 これまで支援の対象としてこなかった20人未満の小規模保育や、幼稚園での長時間預かり保育も、支援の対象にします。
 さらに、賃貸ビルなども活用して、多様な主体による保育所設置・新規参入を促すとともに、事業所内保育の要件を緩和して、即効性のある保育の受け皿整備を進めてまいります。
 保育士も確保しなければなりません。
 保育士の資格を持つ人は、全国で113万人。しかし、実際に勤務している方は、38万人ぐらいしかいません。7割近い方々が、結婚や出産などを機に、第一線から退き、その後戻ってきていません。
 保育士の処遇改善に取り組むことで、復帰を促してまいります。
 このような総合的な対策である「待機児童解消加速化プラン」を用意しました。
 「子ども・子育て支援新制度」のスタートは、2年後を予定しておりました。しかし、そんなに時間をかけて、待ってはいられません。状況は、深刻です。
 そのため、今年度から、このプランを直ちに実施します。
 平成25・26年度の二年間で、20万人分の保育の受け皿を整備します。さらに、保育ニーズのピークを迎える平成29年度までに、40万人分の保育の受け皿を確保して、「待機児童ゼロ」を目指します。
 その実現のためには、保育の実施主体である市区町村にも、同じ目標に向かって、本気で取り組んでもらわなければなりません。
 政府としても、最大限の努力を行い、意欲のある市区町村を全力で支え、「待機児童ゼロ」を目指します。

 上記の受け皿作りは「対症療法」ですよね。制度論というか、男社会の理屈です。さらに申し上げれば、まだまだ我が国にある「男尊女卑」的見えないバリアー。これをどうするかです。「男女共同参画社会」を言われるようになってずいぶん経ちました。しかし、おかしなフェミニスト思想によって、一部のものを深く考えない女性たちの運動によって、むしろ健全に、正常に進めるべきだった男女共同参画社会の構築に大きく失敗してきたのが我が国政府機関ではないでしょうか?

 話を戻します。受け皿作りは大賛成です。しかし、それは所詮物理的な対応にしかすぎません。たった数行の記述ではとても表せませんが、どんなに優秀な国の公務員の方でも、机の上で書いた原稿では無理があります。だから何もしないというわけにはいきませんが……。

(3年間抱っこし放題での職場復帰支援)  妊娠・出産を機に退職した方に、その理由を調査すると、「仕事との両立がむずかしい」ことよりも、「家事や育児に専念するため自発的にやめた」という人が、実は一番多いのです。

 調査の仕方によりますよね。「専念するため」の理由は? その本音は? 「自発的にやめた」の本当の理由は? などつきつめて聞いて行くと、いくつも枝分かれする回答になってくると思うのです。それほど子育てママの考え方は多種多様。「BG」「OL」「キャリアウーマン」「ワーキングマザー」などなど、「働く女性」を表す言葉って変化をしてきました。その間に「ワークライフバランス」など、言葉だけが特定の政党などによって一人歩きしてしまいました。

 そして、最近では今回のこの項目の考え方とも言える「三歳児神話」という言葉も「崩壊した」という方々もでてきました。子どもの育て方という部分にまで行政が関与する必要はありませんが、ある特定の政党によって、「子どもは社会で育てる」というように、子育ての考え方を自然の摂理とは違うものにしてしまうという「勢力」まで出てくる始末です。

 どうすべきか? 行政は何をすべきか?
 総理がおっしゃっていることは、社会がきちんと「3年間抱っこし放題での職場復帰」できる環境を整えようというものです。まさにこれこそが一朝一夕にはいかない難題でもあります。でも決意したのです。総理は。そういう社会にしようと。

 どもが生まれた後、ある程度の期間は子育てに専念したい、と希望する方がいらっしゃるのも、理解できることです。

 こう思う方たちが職場復帰するときに、「見えない障害」がないように経営者側にお願いしようということです。

 現在、育児・介護休業法によって認められている育児休業の期間は、原則として1年となっています。しかし、これもアンケートをとると、1年以上の休業をとりたいという方が、6割にものぼっています。子どもが3歳ぐらいになるまでは、育児に専念したいという人が、3割もいるのが現実です。
 「女性が働き続けられる社会」を目指すのであれば、男性の子育て参加が重要なことは当然のこととして、こうしたニーズにも応えていかねばなりません。3歳になるまでは男女が共に子育てに専念でき、その後に、しっかりと職場に復帰できるよう保証することです。
 そのため、本日、経済三団体の皆さんに、法的な義務という形ではなく、自主的に「3年育休」を推進してもらうようお願いしました。


 法律で企業の経済活動に制限を加えるようなことはできませんから、今回のような取り扱いになったのだと思慮いたします。

 ただお願いするだけではありません。「3年育休」を積極的に認めて、子育て世帯の皆さんの活躍の可能性を大いに広げようとする企業に対しては、政府も、新たな助成金を創るなど応援していこうと思います。
 ブランクが長くなると、昔やっていた仕事であっても、ついていけるかどうか不安になることもあるでしょう。
 こうした皆さんが、仕事に本格復帰する前に、大学や専門学校などで「学び直し」できるよう、新たなプログラムも用意することで、「3年間抱っこし放題での職場復帰」を総合的に支援してまいります。


 ここまでは、国ができるギリギリ(限界)までの動きだと思います。「環境整備」は国が行い、実際にどういう子育てをするかは保護者の「自己責任」となるのでしょう。肝要なのは「3年間抱っこし放題での職場復帰」を支援していくことですが、その支援の最もポイントであるのは「差別」がないということですね。育児休暇を与えるだけではなく、不利益が生じないという「担保」が必要だと思います。

(子育て後の再就職・起業支援)  子育てに専念する経験も、貴重なものです。私は、むしろ、子育てそれ自体が、一つの「キャリア」として尊重されるべきものですらある、と考えています。
 実際、自らの経験に基づいて、「外出先でも授乳できる授乳服」を開発して会社を立ち上げ、20億円規模の新たな市場を開拓した女性もいらっしゃいます。
 子育てを経験した女性ならではの斬新な目線は、新たな商品やサービスにつながる「可能性」に満ちたものです。
 ぜひともその経験を、社会で活かしてほしい、と強く願います。
 そのため、育児休業ではなく、一旦会社を辞めて、長年子育てに専念してきた皆さんにも、いつでも仕事に復帰できるよう応援していきます。
 長年子育てに専念してきた皆さんに対して、新たなインターンシップ事業や、トライアル雇用制度を活用して、再就職を支援していきます。
 さらに、子育ての経験を活かし、この機に自分の会社を立ち上げようという方には、起業・創業時に要する資金援助も用意します。
 仕事で活躍している女性も、家庭に専念している女性も、すべての女性が、その生き方に自信と誇りを持ち、輝けるような日本をつくっていきたいと思います。


 今回のブログだけはコメントさえも難しいものでした。待機児童対策って出口が見えないんですよね。横浜市のようにハコの整備で解決できるものではないのです。すでに横浜でのハコの整備の裏には、横浜市内の地域格差によって「定員割れ」が生じています。そういう陰の部分をまったく考えず、国が予算を出すからとにかくハコをなんとかせいというのであればそれはそれで良いでしょう。しかし、それが解決の本質とは全く思えないのです。じゃあ、何だよと言われると、これまた答えられない。永遠に答えのでない迷路に入り込んだような気持ちです。