3月5日から行われた議案質疑の中で、「コンシェルジュ」という言葉がでてきていました。これには大変な違和感というか不快感が残りました。不快感と言っても私個人の感覚ですし、船橋市がこの質問者の使った趣旨のことをやるというわけではないので結構なのですが、なぜそう思ったか、ちょっと書かせていただきましょう。

知恵蔵2013の解説
ホテルの職域の一つで、宿泊客の様々な相談や要望に応える「よろず承り係」。航空券や観劇のチケットを手配したり、道案内やレストランの紹介をしたりするのはもちろん、時には人探しや物探しなどあらゆる要望を承り、「究極のパーソナルサービス」と言われる。顧客一人ひとりに応じたきめ細かいサービスが注目を集め、今ではホテルのみならず、観光案内所や駅、百貨店、病院など、多くの業界・企業に、コンシェルジュという制度が広がっている。
ホテルは、観光やビジネス、婚礼など、様々な目的で各国から訪れる人が利用することから、客のリクエストも多種多様である。中には、変わった相談や難しい要望もあり、そうした場合でもコンシェルジュは客をたらい回しにせずに、あらゆる知識や人脈を駆使して要望に応えようとする。そのため、日頃から幅広く情報を集めたり、取引先と良い関係を築いたりしている他、コンシェルジュ同士がホテルや企業の枠を超えてネットワークを組織している。1929年にフランスで発足した「レ・クレドール インターナショナル」は、41カ国、約3500人の会員(2010年4月現在)で構成され、コンシェルジュ同士が助け合いながら、より良いゲストサービスを追求している。
このような1つの窓口で事足りるサービスが近年、ホテル以外でも目指されるようになってきた。多くは、客が何でも相談できる窓口を設け、それに対して豊富な知識に基づいてそれぞれに合った提案をするようなサービスやその職域に対して、コンシェルジュと称しているようである。(原田英美  ライター )

ホテリエガイドより以下抜粋 http://jhs.ac.jp/guide/
concierge
フロントやロビーの特設のデスクで、利用者の要望に応えて、多彩で重要なサービスを担当するホテル従業員。元来、フランス語で門番・守衛を意味する。その業務は、館内の案内から、観光、レストラン、劇場、航空機、船舶、鉄道などの切符手配、さらにタクシー、レンタカー、通訳、翻訳、弁護士、医者、などの手配や紹介まで広くサービスや情報を提供する。ヨーロッパ系ホテルの花形的存在で、フランス全域にコンシェルジェ協会を組織し、一定の経験と研修訓練を経た者のなかから資格認定を行い、認定者には名誉のシンボルとして「金モールの鍵十字」のバッチを付与している。ホテル側にも貴重な存在で、引き抜きが多い。不慣れな海外での観光、商用共に、活用の価値がある。米国式のホテルでは、類似した機能として、アシスタント・マネージャーを配置。

assistant manager

フロント近くのロビーにデスクを置き、利用客の要望・苦情・相談などに対応し、観光案内、各種予約、交通機関の手配などを担当する役職。米国式のホテルに多く存在する職種。組織上、支配人に直結している例が多く、その代理的な意味合いで、VIPなどの送迎を担当する場合もあり、コンシェルジェと類似した職種機能を持つ。

最近は一般的に使用するようになった「コンシェルジュ」という言葉ですが、私の経験上の意味はかなりハイレベルな技能職だというイメージです。


上記の知恵蔵の引用だと、とりあえず何でも屋さん見たいなイメージです。ホテリエガイドの引用では、コンシェルジュがヨーロッパ系のホテルではコンシェルジュ、アメリカ系ではアシスタント・マネージャーとしてホテルの職種をいうように記述があります。コンシェルジュはフランス語、アシスタント・マネージャーが英語ですね。

ホテルは、スイスのローザンヌのホテル学校かアメリカのコーネル大学のホテル経営コース(正式な日本語は知りません)が世界的にメジャーです。ヨーロッパのホスピタリティとホテル経営、アメリカの合理的ホテル経営、そのどちらも歴史的背景に依拠しながらも、最新のホテル経営を「スタイル」として確立をしています。そんな中でも、日本の「旅館」マインドとそもそもの日本人の「おもてなしの心」とを併せ持った専門職がコンシェルジュだと思います。

私個人としては、アシマネよりもずっとレベルが高いのがコンシェルジュだと思います。「何でも案内をできる」の意味合いが、深いのです。その雑学の知識の量が半端ではないのがコンシェルジュだと思います。年配になって定年を迎えてもホテル側が解放してくれない。そういうコンシェルジュが多いと思います。

もっと言えば「(宿泊客の要望に対して)決してNOとは言わない」と言われているのですが、その裏側の努力は半端ではなく、そういう職種を育て上げるのはこれまた簡単ではないと思うのです。なので言葉の意味を十分に研究をしていただきたいものです。アシスタント・マネージャーもホテル業界では意味のあるものなのです。