「2030年代の原発稼働ゼロ」目標を掲げた「革新的エネルギー・環境戦略」について、政府は19日の閣議で文書全体の閣議決定は避ける方向で調整に入った。」(YOMIURIONLINEより)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20120919-OYT1T00222.htm

どうも、閣議決定見送りが確実視されていますが、その前の段階で、今、私の下でインターンシップの活動を行っている学生さんにレポートを書いてもらいました。課題は、民主党政権が決定した2030年代の原発ゼロについて、各種メディア記事を読み比べて考察を加えることでした。
下記のとおりです。

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◆ 民主党政権2030年原発稼働0について

 9月14日に民主党から原発ゼロを目指す政府の新エネルギー戦略が発表された。その内容に批判が集中している。建設中の原発の容認やプルトニウムを含む核サイクルの問題など30年に目標が達成しないという矛盾が早くも指摘されている。

 自分の原発に関する考えを述べる前に、私が資料を探していて見つけたコメントを紹介する。静岡県旧浜岡町の鴨川義郎元町長「危険なものをなくそうという方針に異論はないし、地元もいつまでも原発に依存しようというわけではない。ただ、日本の将来を考えたとき、選挙前で政権が代わったらどうなるかわからない時期に決めるのはどうか」
(1)たぶん、事前から決まっていた予定で変えられなかったのだろう。今回の発表は次の選挙に向けて民主党の方針を示したということになる。現時点でどのような評価をされていたかを選挙のときに忘れてはならない。

 今回原発廃止という意見を尊重した結果となった。私は数種類の新聞、ニュース、社説を読み比べてみた。朝日新聞は脱原発前提で今回の経済リスクについて指摘(2)。日本経済新聞は原発0に疑問を提唱3。産経新聞は原発推進、最低でも25パーセント超4。東京新聞は、政府は詰めが甘いという考えで原発反対5。様々な意見がとびかっている。正直、東京新聞はひどいものであった。もう原発再稼働しなくてもOKとしている根拠が弱い。経済リスクにノータッチ。一大学生でもあきれるレベル。

 それはともかく、私は日本経済新聞と産経新聞の中間くらいの意見である。現存の原発(建設中も含む)は著しい危険(断層や巨大地震震源予想地)が見られない限り稼働。ただし、これ以上新設計画はなし。ひたすら補修、改良を重ねる。補修しきれなくなったら廃炉。つまり現状維持(20パーセント弱)に近い考え方だ。

 原発は小資源国に力を持たせる大切なものであり、なくすことは日本が国際社会で生きていくうえで非常に不利になる。原発0を達成しようとする素晴らしい日本などという褒め言葉は現在の新聞、状況を見る限りかなり少数。懸念を示す国が多い3。もし放射能の恐怖から逃れたいならば中国、韓国の原発がなくならない限り一生なくならない。ならば他で引きおこるリスクを消しておきたい。そんな考えからこの意見を主張する。新設しないというのは交渉の妥協点としてだ。たぶん最初からこれで交渉すると逆に怒りを買いそうなので、もうちょっとふっかけてからこれに落とすという感じで。

 私が今回のレポートにおいて学んだ点は、海外の対応である。無意味にプルトニウムをため込む危険性、フランスとの商売関係、中国の台頭、新興国への原発輸出。国内だけでものを考えていたがここまでの問題、特にプルトニウムの無目的所持の意味は大いに勉強になった。次は原発反対を唱える人の論理に目を向け実現可能性を高めるかという点に興味がわいた。

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(1) 朝日新聞 9月15日土曜日 2面
(2) 朝日新聞 9月15日土曜日 1面
(3) http://www.nikkei.com/article/DGXDZO46163820V10C12A9EA1000/
   日本経済新聞 web
(4) http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120915/plc12091503200005-n1.htm
   産経新聞 web
(5) http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012091502000137.html
   東京新聞 web