はい、前回に引き続いて今回も議会の権限のうちの「監視権」について考えてみましょう。

議会の「監視権」とは、執行機関の行う行政執行について監視し牽制する権限のことを言います。その「監視権」のうち、今回は「承認権」を考えてみましょう。

前回に続きこの本筋の「塩梅」のニュアンスがわかっていただければ議会と執行部との関係を良好に保てるのではないかと思うのです。原則が何か、そして今回例示することが何かを考えていただきたいのです。

「承認権」について地方自治法からです。

第百七十九条  普通地方公共団体の議会が成立しないとき、第百十三条ただし書の場合においてなお会議を開くことができないとき、普通地方公共団体の長において議会の議決すべき事件について特に緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がないことが明らかであると認めるとき、又は議会において議決すべき事件を議決しないときは、当該普通地方公共団体の長は、その議決すべき事件を処分することができる。
○2  議会の決定すべき事件に関しては、前項の例による。
○3  前二項の規定による処置については、普通地方公共団体の長は、次の会議においてこれを議会に報告し、その承認を求めなければならない。

上記下線部が承認権ということになると思います。
問題は「普通地方公共団体の長において議会の議決すべき事件について特に緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がないことが明らかであると認めるとき」です。通常はこの理由で専決処分を行います。これはこの自治法の定めによって、執行機関が既に執行された行為について、議会が事後に承認をする旨の判断を表示する権限をいいます。

しかし、読者の皆様にとって記憶に新しいと思える案件は、何と言っても鹿児島県阿久根市での専決処分の乱発でした。これは「時間的余裕」が理由ではなく、「議会が成立」しなかったり、「議決すべき事件を議決」しなかったのが理由だと思いますが、それもかなり苦しい状況で、顛末としては、議会解散、市長不信任、市長辞任、市長選挙、何が何だかわからん状況となり、一番被害を被ったのは市民だった。という結果だけが残った気がします。

まあ、この阿久根市の前市長の言い分はわからんでもありませんが、もうちょっとね、もうちょっと議会との関係をうまくやれればねって感じでした。

話を戻しましょう。
船橋市の場合は、専決処分は「時間的余裕」を理由に行うケースがほとんどですが、そこの手続き上の問題として、私は執行機関の「配慮」「気配り」が必要ではないかと思います。船橋市議会では、地方自治法第179条に基づく専決処分をしたときと議案として議決を求めるときとでは、取扱いの考え方が大きく違うのです。

通常の議案は「議決」をするまでに、場合によっては「否決」「継続審査」ということになる可能性をもちながら、議会の議決に付します。しかし、専決処分は否決されようがどうであろうが、もう既に執行してしまっている事件の取扱いですから恐いことはありません。承認されなくても法的な問題は何ら生じないのです。せいぜいが、事件を専決処分をし議会に承認を求める議案を提出した市長が恥をかき、政治的な責任が生じるだけです。だから取扱いがかなりぞんざいなのです。

私が思うのは、専決処分をしたら速やかに議会に専決処分をしたことを報告し、場合によっては説明をし、次の直近の議会において承認を求めたい旨を申し添えるくらいの「大人の礼儀」をわきまえていただきたいですよね。

議会と執行機関の関係ってそういう微妙な位置関係というか、呼吸の上に成り立っているんですよね~。