はい、前回に引き続いて今回も議会の権限のうちの「監視権」について考えてみましょう。

議会の「監視権」とは、執行機関の行う行政執行について監視し牽制する権限のことを言います。その「監視権」のうち、「調査権」を考えてみましょう。

前回に続きこの「塩梅」のニュアンスがわかっていただければ議会と執行部との関係を良好に保てるのではないかと思うのです。

「調査権」について地方自治法からです。

第百条  普通地方公共団体の議会は、当該普通地方公共団体の事務(自治事務にあっては労働委員会及び収用委員会の権限に属する事務で政令で定めるものを除き、法定受託事務にあっては国の安全を害するおそれがあることその他の事由により議会の調査の対象とすることが適当でないものとして政令で定めるものを除く。次項において同じ。)に関する調査を行い、選挙人その他の関係人の出頭及び証言並びに記録の提出を請求することができる。

「議会」が、「調査をすることができる」ことを定めています。

○2  民事訴訟に関する法令の規定中証人の訊問に関する規定は、この法律に特別の定があるものを除く外、前項の規定により議会が当該普通地方公共団体の事務に関する調査のため選挙人その他の関係人の証言を請求する場合に、これを準用する。但し、過料、罰金、拘留又は勾引に関する規定は、この限りでない。
○3  第一項の規定により出頭又は記録の提出の請求を受けた選挙人その他の関係人が、正当の理由がないのに、議会に出頭せず若しくは記録を提出しないとき又は証言を拒んだときは、六箇月以下の禁錮又は十万円以下の罰金に処する。


正当な理由がないのに出頭を拒んだり、記録の提出を拒んだり、あるいは証言を拒んだりした場合に、あるいはされないように罰則による担保が設けられています。

ではこの調査権の効力ってどこにあるのでしょう?
第一義的には簡単にいうと「牽制」の意味合いが強いのではないかと思っています。別の言い方では「伝家の宝刀」って感じ?ですか。

条例の制定権、予算の審議権その他の権限を有効にかつ適切に行使することができるように認められた付随的、補助的な権限でもあるといわれています。実効性という意味では、議会の監視権の中でも最もその効力がある部分であるといわれています。私も過去に地方自治法第100条に基づく調査の委員会の委員を経験しましたが、それでも限界があるという印象です。

まあ、簡単に言うと「警察」ではないということ。地方自治法第100条に基づく調査は、警察による被疑者の取り調べとは違うということです。

http://www.jichinippo.co.jp/guide.html
平成12年第一回定例会で実際に委員会設置があったときに私は委員を務めさせていただきましたが、その際に、購入した?配布された?書籍があります。上記の「議員・職員のための議会運営の実際第9巻」を読みながらの委員会審査でした。この本、今も自宅の本棚にありますが、一冊丸々地方自治法第100条調査についてです。

何を言いたいか? まあ、それほど奥が深いので、もうこれ以上は述べませんが、自治体の事務に関するものであって、法定受託事務も調査の範囲になるので、「しっかりマジメに事務事業を進めてちょうだいね」ということ。そうじゃないと、議会が本気で怒ったら、100条調査のための特別委員会を設置して徹底的に調査するよ!ってこと。

更には、議会が調べたいことがあったら、それなりに協力しなさいよ。で、ある程度のところで「手打ち」ができるようにしなさいよ!ってこと。ほんの些細なボタンの掛け違いが100条調査に発展するケースもあり得ます。些細なボタンの掛け違いがないように日頃から充分に注意をしながら「公式発言」をしていただきたいものですね。