さ~てっと、企業をはじめとして、人材育成というのは世界中の「経営者」の永遠の悩みであり、日常業務の中でも重要な位置を占めているものです。経営者一人がどんなに頑張っても「事業」や「業務」は思うように進みません。それは市役所など自治体や、中央諸官庁においてもまったく同じ。どこの誰もが「人材育成」は本当に永遠のテーマです。

前回のブログ に書いたように、船橋市は、保育士の経験者採用という驚きの採用試験を行います。

船橋市は採用の基本的考え方を変えたのでしょうか?
船橋市は公立保育園の運営方針を変えたのでしょうか?

公立保育園は、園舎の建替えは行っておりますが、新設の保育園はありません。従って人員配置の考え方は特段大きな変化はないはずです。若干の定員増はありますが、基本的には「人のやりくり」で解決できる問題です。

また、民営化議論の中でいろいろと明らかなりましたが、国の基準などを大きく上回る「高待遇・厚待遇」が強く言えます。船橋市職員の平均年収はおおよそ700万円オーバーですが、そんな中でも、保育士は女性の職場として、その待遇は驚くほど「恵まれているもの」です。

本来、単体の園で私立の保育園などは休みのやりくりなどは「園独自の工夫」で幾度も乗り切っています。園長、理事長の頭の痛い部分でもあります。
一方、公立保育園はどうでしょう?
電話一本保育課に入れれば解決です。産休、育休、有給、病欠、事故欠なんでもこいって感じです。

休む方も「休むことを申し出る」ことに関して公立と私立では雲泥の差です。最近は配偶者の世界の話まであって驚きました。制度ですから結構ですし、法で認められ、議会でも認められた「権利」ですから結構ですが、先般、奥様が公立保育園保育士のご主人が「馴染みのない名称の休暇」をとっていました。

「権利の行使」、結構でしょう。でも、だから公務員バッシングが止まらないのでしょう。って思います。少なくとも、国家公務員の「勤務状況」などと比して、「ぬる~い体質の船橋市役所」ではおよそ考えたくもないくらいの話です。だから、今回のようなことを平気でやれてしまうのでしょう。

今、保育士、幼稚園教諭の有資格者、免許保持者の一番人気のある職場はどこでしょう? ダントツのランキング一位が船橋市役所の経営する保育園保育士じゃないですかね?って思います。

まずは給料。日本全国でも必ず上位に入るラスパイレス指数を誇る水準。福利厚生面でも政令指定都市に負けず劣らずの高待遇・厚待遇。仕事はゆるく、責任を負うことはしなくても平気。就労時間はきちんと組合に守られて、いやなことがあれば組合に泣きつけば助けてくれる。保育士、幼稚園教諭の間の噂ではダントツのようです。

で、採用のなかった市の保育士。だから仕方なく、私立保育園や私立幼稚園への就職をしたという方々も多いそうです。どうせ結婚でやめなければならなくなったら、臨時や非常勤で高待遇・厚待遇の船橋市立保育園で働けばよい、と。妊娠、出産も大丈夫。ホント船橋市って最高っていうのが、私立保育園保育士、私立幼稚園教諭の間では噂になっているようです。

その全国に誇る船橋市役所立の保育園が、正規職員の保育士の募集です。こりゃあ最高です。いままでは退職金なんてものは経営者の先生方にはご無礼な話ですが、望み薄だったものが、これまた雲泥の差ですよ。退職金。私立保育園の保育士になって、社会の仕組みがわかって来て、結婚。ご主人と将来の生活設計を話し合ううちに、「退職金」の持つ意味やその重要性など、あとから、つくづく、しみじみ考えることも、市役所立の保育園に勤めれば全部解決です。バラ色の人生が開けるのです。

長くなりましたから、今回はここまでにしますが、今回のポイントはいくつかあります。

今回の経験者採用は、
脂の乗った世代の、一番おいしい人材を「私立保育園」から奪うもの。
子ども・子育て新システムが雲行きが怪しくなったとはいえ、認定こども園の拡充に大きな国の予算が投入されるにも関わらず、その問題点や問題意識がないがために、経験者採用において「幼稚園教諭の免許所持者」を条件に入れなかったことです。これで、認定こども園の拡充が日本全国の自治体で進みはじめたときに、どうするのでしょう?

「いやいや、今の保育士はけっこうほとんど免許もってますから大丈夫ですよ」って責任者の能天気な答えが想像できますが、それでいいの?

私は、免許更新講習を行う財団の理事を務めさせていただいております。理事会のたびに、更新講習の報告が多かれ少なかれあるんですよ。どういう人が受講して「どういう驚くべき事実」があるのか? とてもここでは書けないような驚愕の事実もあるんですよ。それなのに、それなのに…。