他市議会の議員さんのFacebookの記述を読んでいて気になりましたので、このことについて書かせていただきましょう。決して、その他市議会の議員さんのお考えを否定するものではありませんが、船橋市議会においてはどうかを考えてみましょう。

委員外議員とは船橋市議会会議規則に定めがあります。

(委員外議員の発言)
第110条 委員会は、審査又は調査中の事件について、必要があると認めるときは、委員でない議員に対し、その出席を求めて説明又は意見を聴くことができる。
2 委員会は、委員でない議員から発言の申し出があったときは、その許否を決める。

これをどう解釈するかです。どうもこれを勘違いして、発言の権利保障という側面で主張する方がいます。

船橋市議会においては、細かな規定はありませんが、「会派制」をとっています。議会活動の多くの部分を「会派」という単位で効率的に動かしています。いろいろとありますが、多くは、政治的思想信条主義主張などを同じくする議員が「議会内会派」を形成しています。

「交渉会派」という言い方もあります。交渉会派とは、基本的な考え方としては「議会運営上の様々な交渉ごとの話し合いをする議会運営委員会に委員を選出できる人数要件を満たしている会派」となると思います。船橋市議会は議会運営委員会には、議員数3人に1人の議会運営委員を選出できますので、3名以上で構成されている会派が、交渉会派と言えるでしょう。

で、逆に「ひとり会派」という言い方もあります。これは、基本的に無所属議員が、会派名を名乗りたいという場合に、「まあ、いいんじゃない」程度の扱いです。政治的思想信条主義主張を同じくする人が「一人」では、厳密に日本語を解釈したとき「派」とならないとは思いますが…。

さて、会派とは、簡単にいうと船橋市議会の場合は3人揃って一人前ということです。

一方、船橋市議会では、常任委員会に関しては次のような定めがあります。

第2条 常任委員会の名称、委員の定数及び所管は、次のとおりとする。
(1) 総務委員会
ア 市長公室の所管に属する事項
イ 企画部の所管に属する事項
ウ 総務部の所管に属する事項
エ 財政部の所管に属する事項
オ 税務部の所管に属する事項
カ 消防局の所管に属する事項
キ 会計管理者の所管に属する事項
ク 選挙管理委員会の所管に属する事項
ケ 公平委員会の所管に属する事項
コ 監査委員の所管に属する事項
サ 固定資産評価審査委員会の所管に属する事項
シ 他の常任委員会の所管に属しない事項
(2) 健康福祉委員会
ア 健康福祉局の所管に属する事項
イ 病院局の所管に属する事項
(3) 市民環境経済委員会
ア 市民生活部の所管に属する事項
イ 環境部の所管に属する事項
ウ 経済部の所管に属する事項
エ 農業委員会の所管に属する事項
(4) 建設委員会
ア 建設局の所管に属する事項
(5) 文教委員会
ア 教育委員会の所管に属する事項
(6) 広報委員会 議会の広報広聴に関する事項
2 前項第1号から第5号までに規定する常任委員会の定数は10人とし、同項第6号に規定する広報委員会の定数は議会の議決で定める。
3 議員は、第1項第1号から第5号までに規定する常任委員会のいずれか一の委員となる。

わかりにくいかもしれませんが、6つの常任委員会と議会運営委員会があります。議会運営委員会も「常任」といえば「常任」ですが、法律の中でも別扱いです。(議会運営委員会については、また別に機会に書かせていただきます。)
この6つのうち、5つの常任委員会は50人全員が必ずどこかに所属しなければなりません。下線部にある通りです。そこで考えていただくとわかるのですが、5人以上で会派構成がなされれば、会派の誰かが、必ず一つの常任委員会に所属します。

そうした場合、委員会への選出、出席は会派を代表して行われているものであり、会派としての考え方や提案などすべてのことがその会派選出の委員に委ねられていると理解されます。違った角度から考えますと、「何かを言いたい場合」は、会派の委員にすべてを任せるのが本来の姿だと思います。

しかしながら、会派構成人数が3人、4人の場合には、会派構成員が所属しない委員会がでてきます。そういう場合には、会議規則第110条の委員外議員としての発言が許されるべきだと思います。

委員会は、審査又は調査中の事件について、必要があると認めるときは、委員でない議員に対し、その出席を求めて説明又は意見を聴くことができる。

この下線部の「必要であると認めるとき」とはそういう解釈をすべきであると考えます。
そう考えると、交渉会派も5人以上とした方がスッキリするような気がします。

委員会は、委員でない議員から発言の申し出があったときは、その許否を決める。

ここでいう「委員でない議員」の考え方ですが、前述同様、交渉会派の構成員で人数要件を満たせていない議員ということが前提になるべきであると考えます。効率的議会運営のための「会派」要件を満たさない議員は、効率的議会運営に非協力的であると認定せざるを得ません。議会とは、基本は「多数決」でものごとを決めていく機関です。それを「個」の主張が強いとどんなに正論でも正論でなくなります。また更には議会とは多数決と言いながらも「妥協」により結論を導く世界でもあります。この「妥協」という言葉を知らないのが会派を構成できない人々です。

さて、日頃の「議会生活」で何の妥協もできないで自分勝手にし、交渉会派にもならず、議会運営さえも「妥協」をすることができないような人に、何かを提案させたり、自分が属していない委員会で発言をさせてよいものでしょうか。私はものすごく違和感を覚えます。自己の主張をしたいのであれば、交渉会派を構成して、いわゆる「ルール委員会」に属して、ルールを共有する議会人の仲間として、まずはその資格を得て、初めて議会ルールである会議規則に定められた「権利の行使」をすればよいと思うのです。