「報告に対する質疑」という売名行為について書いてみましょう。
議会には諸般の報告というものがあります。それ以外にも法に定められた報告もあります。

船橋市議会には、その報告に対する質疑が認められているものがあります。例えば、これまた何度もこのブログに書かせていただいております、専決処分の報告に対する質疑です。
専決処分を振り返ってみましょう。

第百七十九条  普通地方公共団体の議会が成立しないとき、第百十三条ただし書の場合においてなお会議を開くことができないとき、普通地方公共団体の長において議会の議決すべき事件について特に緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がないことが明らかであると認めるとき、又は議会において議決すべき事件を議決しないときは、当該普通地方公共団体の長は、その議決すべき事件を処分することができる。
○2  議会の決定すべき事件に関しては、前項の例による。
○3  前二項の規定による処置については、普通地方公共団体の長は、次の会議においてこれを議会に報告し、その承認を求めなければならない。
第百八十条  普通地方公共団体の議会の権限に属する軽易な事項で、その議決により特に指定したものは、普通地方公共団体の長において、これを専決処分にすることができる。
○2  前項の規定により専決処分をしたときは、普通地方公共団体の長は、これを議会に報告しなければならない。

第180条の1で、船橋市議会が指定したものは、次の通りです。

○専決処分事項の指定について
平成23年9月29日
市議会議決
専決処分事項の指定について
専決処分事項の指定について(平成14年12月20日船橋市議会議決)の全部を改正する。
地方自治法(昭和22年法律第67号)第180条第1項の規定により、市長において専決処分にすることができる事項を次のとおり指定する。
1 1件100万円(交通事故に係るものにあっては、100万円に当該事故について自動車損害賠償保障法(昭和30年法律第97号)の規定の適用を受ける金額を加えた額)以下において、法律上市の義務に属する損害賠償の額を定めること又はそれに係る和解若しくは調停に関すること。
2 市営住宅の明渡しに係る訴えの提起、和解又は調停に関すること(家賃の支払に係るものを除く。)。

ここで、よく理解していただきたいのは、179条と180条とではまったく異質の考え方であることです。

179条は基本的には本来議会の議決に付すべきものであるにもかかわらず、事務手続きを考えても、どうにも議会を開会する時間がなくて、とりあえず市長が担当と協議をして間違いないので、処分(決裁)させてもらいますよ。という意味合いです。従いまして、専決処分したとはいえ、丁寧に議会に報告、説明をすべき事案です。

ここで、私個人の考えですが、179条専決は、行ったら速やかに第一報を議長に入れ、説明をし、その後のことは議長に委ねるべきだと考えます。それをアホな職員は、179条3の次の会議においてこれを議会に報告し、その承認を求めなければならない。なので、専決処分後の定例会に報告すればよいと考えていると思いますが、趣旨、礼儀からすると、条文にはありませんが「速やかに議会に報告し、次の会議においてその承認を求めなければならない。」と解することができるはずです。本来でしたら、無理にでも臨時会を開会することを模索するのが本来であり、それがどうしてもダメならば、議会の最高責任者である議長と市長が協議の上、専決処分を行うのが本筋の話だと思います。

この部分については、「法に定められており、認められているから、議会など放っておいて処分してよいのだ」となると、問題になります。充分に留意していただきたいと思います。従いまして、この179条の定めに基づく専決処分に対する質疑は、丁寧に時間を取って行ってもかまわないものだと思います。

しかし180条専決処分は、条文にもあるように「議会の権限に属する軽易な事項」のみを予め議会の議決をしておいて、「市長!この内容の処分は議決が本当は必要だけど、市長の責任において処分することを任せるよ」という意味合いのものです。

この処分に関しても、質問ができる制度が船橋市議会にはあります。私から言わせれば「任せておいて、その仕事を責任もってしたことをつべこべ言うなよ」ということです。だいたい、会議録を参照していただけばわかるのですが、交通事故などの損害賠償など、ホントに議会が認めたことをしただけなのに、重箱の隅をつつくような、あるいは担当課長ところへいけば間違いなくすぐに回答をもらえるような内容のことを「与えられた権利の行使」ということで、「発言の自由」などを楯にまったくアホみたいな質問をする輩もいます。このことがどれだけ時間と身体のムダかを理解していただきたいと思います。

専決処分の報告に対する質疑でこの調子ですから、まあ、たまりません。それ以外にも、「報告」に対する質疑を「権利」とばかりにする議員がおりますが、報告に対する質疑だったら、どうぞ個人的にお願いします。私たちは報告を受けたらそれはそれで良し。問題があれば、じっくり原因究明などをして、あるいは問題点をしっかり把握して、一般質問において深く掘り下げて、質問をしていただきたいと思うのです。

ましてや報告書として書類の提出のあるものは、それをじっくり読んで、じっくり議場外で議論を深めていただければと思うのです。できあがった報告書は、議員の意見で「修正」や「内容変更」ができるものではありません。もちろん、事実と異なるようなことが判明すればそれはそれで対応すればよいことであります。

なぜ、そんなムダなことに時間を費やすか。以前から述べている通り、質疑をするために登壇すれば、会議録に残り、インターネット中継で見ることができ、録画も一定期間ホームページ上に残る。売名以外の何ものでもありません。