過去4回にわたって、「平成24年第1回定例会を終えて」というタイトルで議会への出席者の身体と時間の拘束について書きました。

そして、前回は原稿の読み合いの「形式的」な本会議について書かせていただきました。実は、私も、議案質疑に関しては、このブログでも書いている、議会の権限に属す重要なものだと思いますし、この取扱いに関しては慎重を期す必要がありますから、百歩譲って原稿の読み合いも認めざるを得ないと思っています。そこがホンネです。

が、しかし、それ(地方自治法第96条規定の議決事項)以外は、もっともっと違うかたちであってもよいのではないかということです。なぜ、かくも多くの議員たちが議決事項以外のことに登場してくるのでしょうか?

簡単です。
その99パーセントは、「売名」のためです。「売名」とは、次回の選挙のためです。もっと突き詰めて言えば、質問という名の選挙の事前運動なのです。

どういうことか?
まず、一般質問という制度があります。
その根拠ですが、地方自治法の、

第百二十条  普通地方公共団体の議会は、会議規則を設けなければならない。

そしてこの自治法第120条に基づいて、船橋市議会会議規則が設けられています。自治体一般の常識では、規則とは条例の下位に位置付けられておりますが、議会の会議規則はまったく違っていて、自治法に基づく規則という名の高位のルールであり条例と同じ扱いにすべきものです。その会議規則に規定されている一般質問は次の通りです。

(一般質問)
第62条 議員は、市の一般事務について、議長の許可を得て質問することができる。
2 質問者は、簡明な主意書を作り、議長の定めた期間内にこれを議長に提出しなければならない。

これまた、何度もこのブログに書かせていただいておりますが、議長の許可を得て質問することが「できる」となっているのです。もっというと、やってもいいよ。やらなくてもいいよ。議長が認めなきゃ質問できないよ。ということです。この本会議での一般質問、地方自治法の定めである議決すべき権限の行使ではありません。

それを我が会派の先輩議員に向かって、あるいはそのことをことさら取り上げて市民に間違った認識をバラまいている議員がいるようですが、議員の仕事とは「本会議で一般質問をする」ことが重要なわけではありません。このような大きな勘違いをしている船橋市議会議員がものすごい数で存在することです。

議員の務めは、地方自治法の定めが基本ですが、その事以外に、その職務は「市政」のチェックをすることです。そのチェックの一環として一般質問があるという議員さんがほとんどだと思います。が、どうでしょう?「その質問、市民の方が電話で担当課に問い合わせても回答を得られるものですよ」という程度の質問が異常に多いのです。

答弁する方もする方です。そういうレベルの質問を、もっともらしい作文に仕上げて、恭しく事前に作文を届け、「拝読させていただきます」くらいの態度を示すから、議員も育たない。まあ、育てない方が執行機関の答弁者側にとっては便利で楽ですから意図的なのかもしれません。しかし、市政の発展を純粋に願うものにとっては、許し難き行為であります。

さて五十歩くらい譲って、「その質問、市民の方が電話で担当課に問い合わせても回答を得られるものですよ」より少し高度な質問だとしても、「その質問、議員が担当課長に直に聞きに行けば回答が得られるものですよ」という程度のものです。もっともっと深く、意味ある質疑と答弁であれば一般質問という制度と時間を使ってもよいとは思いますが、最近特に多い一般質問登壇者の独りよがりな理論や理屈は、まさにこのブログのように「勝手に自分でやってなさいよ」という気持ちで一杯です。

この際ですから、実名をあげて参考になる一般質問者を紹介しましょう。日本共産党佐藤重雄議員、市民社会ネット池沢敏夫議員、浦田秀夫議員は、市政全体の政策について質問をなさいます。もちろん政党や過去からの政治的経歴を背負っていらっしゃる議員さんですから、私とは政治信条、主義、主張はまったく異質ですが、「市民の幸福」を考えている点はまったく一緒。

そして、その主張をする市政の着地点への「手法」や基本的考え方は私とは異質なのですが、市政を捉える視点や政策に対する問題提起など、まさにチェック機能としての執行機関と逆側の理論を展開するという点では非常にありがたい存在でもあり、この3名の議員さんがご引退などした日には、船橋市議会は機能不全に陥るのではないかと思うのです。これはお世辞でも何でもありません。

昨今の社会の変化を見ていると、ものすごく多様な意見や考え方が存在し、「多数決」と言いながらも、本当に市長以下執行機関の優秀な職員諸氏が時間をかけて練り上げた施策でも、意外な落とし穴があったりしないだろうか、執行機関自体が「井の中の蛙」になっていないだろうか?というのが私の一番の心配です。

職員の倫理規定などを策定し、各種法令、条例等の関係業界団体などとの交流を遮断し、一番の利害関係者からの意見聴取などの道を狭く狭くしている我が船橋市。危なっかしい話が多いのではないかということです。ここでいう危なっかしい話とは、「狭い知識、経験の職員による独りよがり」だけで、市長決裁までいってしまう事案です。

これまた何度もこのブログで書かせていただきましたが、本来市政の重要事項である政策決定に、その頭脳結集でもある船橋市の叡智というか、そういう立場を担っていた課が、評論課から一歩も踏み出せず、結局、組織の改変となりました。新部長と新課長には期待大ですし、絵空事ではなく「現実路線」で行っていただけると確信しておりますが。そのような今までの意思決定過程を知っているだけに、恐怖を感じておりましたが、やっと仕事内閣というか、良い体制になってきたと思います。

というように、だいぶ本論から外れましたが、企画財政が一体となり、評論課から政策企画課になるわけですから、本当に期待大です。まあ、これで裏切ったら許さないですけどね。と、それはさておいて、政策企画課が最強のシンクタンク機能をもったら、議会も相当な勉強をしないと笑われます。前述したように「僭越ながら」という言葉を入れ忘れ、先輩諸氏を評してしまいましたが、3名の議員さん以外はしんどくなりますね。