西海神小学校の校舎建替えが終わり、拝見いたしました。ここ最近、公立学校の建替え、新築、新設などありませんでした。久しぶりの「新しい校舎」です。従いまして、公立学校としては目新しい感じの部分が随所にみられました。

しかし、私たち議員は他の自治体の学校などを見せていただいておりますので、私自身は、あまり斬新さや新鮮なイメージがわきませんでした。少子高齢化が進み、多くの私立学校(幼稚園から大学院まで)が、より一層児童・生徒獲得に力を入れ、安定経営を図ろうとしています。耐震化もあわせ校舎建替えがここ数年かなりのスピードで進んでおりました。

一方、公立学校はそれぞれの設置主体の財政状況や耐震化の優先などで、老朽化校舎はどうしても「延命」に軸足を置かざるを得ない状況でもあります。従って、どこの自治体もかなりの苦労をしております。

そんな中、船橋市は今回の西海神小学校をはじめ、数校の建替え計画があります。担当する部、課は初めてのことだらけだと思います。そういう意味では、頑張って仕事をしてくれたなあ~という思いです。私個人の感想としては、いかにも公立小学校という感じの仕上がりに残念感はありますが、それはあくまでも個人的なものでして、大変良くできたものだと思います。

今後は、実際に授業が始まったら率直な意見をどんどん吸い上げて、今後に反映させていけばよいのだと思います。

ただ、市役所側で、校舎の建替えにあたって、先進事例の研究ってしたのかなという疑問が残ります。また設計をするにあたって、単に価格だけの競争ではなかったかのか? これは確認すればすぐわかるのですが、なんとも「無難な線」でまとめていることが少々気になるところです。

「公」の施設ですから、「無難な線」でまとめるが本来でしょう。ですからそれはいいのですが、「無難な線」にまとめることを優先して「中途半端」になっていないかということです。多くの方が関わり、多くの方々の意見を集約したのですから当然ですし、その並々ならぬご苦労は口にはできないものだと察します。

しかし、学校をつくるってそういう性質のものでしょうか? 今回見せていただくまでは、「地元の意見や、保護者の意見を取り入れながら良いものができればいいなあ~」と思っていました。でも、どう考えても「妥協の産物」としか言えない「中途半端感」が否めないものでした。あくまでも個人的見解です。この西海神小学校の建替えの問題に関わった方々のご尽力を否定するものではありません。

私が申し上げたいのは、「教育委員会の意志」「船橋市のこれからの教育に対する意志」がまったく見えなかったということです。あえて言えば、「地元の皆さんでつくる小学校」でしょうか? でも、教育ってそれでよいのでしょうか?

もちろん地元の皆さんの支援や協力があってのものです。それはそれで、随所にみられてよかったなあ~と思うのです。しかし、「教育」の根幹の部分にまったく将来を見据えたようなものを感じられなかったのです。

まずは、図書館。ステキなデザインでした。ある程度のコンセプトも理解しました。でも、それから先に思いが広がっていかないのです。なぜなら、船橋市がこれからの学校図書室をどういうカタチにしていこうかという将来展望が見えないからです。

ICT技術がものすごい勢いで発展している中、コンピュータ室が図書室の隣にあることは評価に値するかもしれませんが、その先の展望があっての話です。図書室は、国語の先生を中心に図書室司書の先生が全市的に議論をしたのでしょうか? あるいは法の規制などがあるかもしれませんが、市内図書館との融合は考えないのでしょうか? 図書資源とでも言うのでしょうか、それらの有効活用を考えられないのでしょうか? 現存のものだけでしかイメージできない方々がこれらを考えたのでしょうか?

家庭科室、理科室。あまりにも現状スタンダードでした。これからの理科教育ってどうしていきたいのか? 市の理科教育に対するものがまったく感じられませんでした。

二言目には、「建替えの学校だけが良くなっていくのは不公平だから」と聞こえてきそうです。いえいえ、船橋市はできます。エアコンの件を考えれば簡単です。建替え校だけが入るのは不公平だからということで全校整備しちゃうくらい太っ腹なのですから、学校本来のあるべき姿である「教科」「教育」の充実のためであればいくらでも予算を投入できるはずです。家庭科室なんて残念ですね。「食育」が言われて久しいですが、もっともっと工夫があってもよかったのではと思いますね。音楽室も。放送室も。多目的室も。
船橋市の教育に対する「姿勢」が見えませんでした。

地元の意見、保護者の意見って1年経てば変化してしまいます。現場の教諭の意見って、人事異動で入れ替われば1年でも変化します。たった1年で、いやたった1日でも意見を取り入れた部分が猛烈なクレームや事故原因になったりするのです。しかも、クレームに対してその経緯、経過を説明できるのもせいぜいが3~5年。

私は教育委員会あげて学校、部、課が横断的に「これからの船橋の教育におけるハード面の整備」を考える会議体などが必要だったのではと思います。教育ってそうあるべきではないのか。政治や地域の介入ではなく、純粋に「在校児童生徒の教育」を考えることが優先されるべきではないのかということです。どこの学校から人事異動で赴任してきても、ここの学校では先進的に授業ができる、授業がしやすいと思える学校づくりがあってよいのではと思います。

いつの時代になっても、使い勝手や、その設計思想に関して説明ができるくらい、市内全域に教育のコンセプトや建物コンセプトが浸透して、その上でなお教員間で議論が続くようなハード面での学校づくりがされたらいいなと思います。

これからもいくつもの学校建替え事業が目白押しです。こんなこと言っている議員がいたなあ~程度で結構ですから、ちょっと頭の片隅に置いていただければと思います。
ぜひ担当部の皆さん、頑張ってください!!