先日、会派の控え室で昼食中に、会派の仲間から、「ある会派の議員が最終日に会派の意思と違う態度を取るらしいんですけど、いいんでしたっけ?」という質問がありました。瞬間「???」と思いました。

従来から船橋市議会では、その長い歴史の中で会派の意思と異なる態度をとらなければならない場合、「退席」(議場から出て意思表示を明確にしない)という方法により対応していました(丸く納めていました)。

ところが数年前にある議員が「明文化されていない」ことを理由に、議場内で会派内の異なった意思の表示を明確にすることを強引に「了」としました。その議員は、期数だけ重ねて議会のなんたるかをまったく理解しない、更には議会運営をもまったく理解できない議員でした。明文化されていないからという幼稚園児以下のような振舞いで「前例」ができてしまい、それを当然とする雰囲気が少なくとも複数人の議員の中にはできてしまった。という感覚を持ったのが前述の会派の仲間との会話でした。

「会議法」(会議運営の一般的合理的理論、法律などの定めで決まっているものではない、会議方法)で普通に理屈で考えてもわかる合理的な議会独特の考え方に「会派制」があります。この会派制を考えてみましょう。

「会派」は、議会の内部において組織される議員の団体ですが、議員が任意に結成する議会内団体であり、議会の機関ではありません。一方、会派の結成等については、議長への届出を要し、それによって議会内で一定の地位や便益が供される点で、個々の政策の推進や議員間の友好を目的として結成される議員連盟等とは異なります。

船橋市議会会議規則の中で「会派」の語が出てくるのは、第160条にいう別表だけで、地方自治法第100条第12項に規定する議案の審査又は議会の運営に関し協議又は調整を行うための場を規定したものです。会議規則が議会の最も基礎となるルールではありますが、その中では会派の要件等の規定を置かず、先例にゆだねています。

会派は、2人以上の議員をもって結成することができます。退会又は議員辞職等により会派の所属議員が1人となったときは、その会派は消滅することになります。会派を結成、解散、名称変更したときや、会派の所属議員に異動があったときは、議長に届け出ることが必要です。なお、議員が複数の会派に所属することは認められません。

議会の運営については、実質的にこの会派を単位として協議され、また、議員はその所属会派の一員として活動することになります。会派が重要な機能を果たすのは、議会の構成・運営上の様々な事項について割当ての対象となる点です。

常任委員長、委員(常任、特別等)、本会議の発言時間、控室等は、所属議員数に応じた比例配分により会派に割り当てられます。中でも議会運営委員の割当ては、議会の運営についての協議に参加できる資格となる点で会派にとっては重要な意味を持ちます。船橋市議会では、所属議員3人以上の会派に議会運営委員が割り当てられ、交渉会派と呼ばれています。

会派と政党は混同されることがしばしばありますが、両者の決定的な違いは、会派の機能が議会内に限られているのに対し、政党は一定の政治活動を行う社会的存在であること、またそれゆえにその構成員が議員に限られていない点といえます。

実際上、同一の政党に所属する議員が会派を結成することが多いのですが、政党に籍を置かない議員の会派への所属や複数の政党が統一会派を組むような例も見られます。

なお、議会における各会派に対する政務調査費の交付に関する条例は、「政務調査費の交付を受ける会派」について規定していますが、これは議長に届け出たものということで議会内団体たる会派との間で要件が異なります。

というように、明文化されているものが少ない中、そうは言っても日常の議会活動の中心は「会派」です。それは議会という言論の場において、言論による政治的主義、主張、信条、思想などをほぼ同じくし、何かを決断する場合限りなく100パーセントに近く「合意できる」集団です。

そこの部分が崩壊した場合、「会派」を構成している理由が、議員としての最も重要な部分がなくなり、単に烏合の衆とは言いませんが、次のような定義付けをされても仕方がありません。

「役職」をとるため。「控え室」をとるため(これは船橋市議会では壊れている状態です)。各種会派間交渉に参加するため(会派間は対等な交渉が可能なため)。等だけであります。自分自身の考えを各所にアピールしながら「実現」していく基礎がありませんから、そういう意思もないと理解されて然るべきであるような気がします。