さて、今度は実例に基づいて、解説をしていきましょう。実際の委員会記録からの抜粋です。

●A委員 一般会計の歳出決算額の不用額について触れてみたい。特に民生費……
●委員長 まだ民生費の順序になっていない。
●A委員 いや、一般会計。
●委員長 順序1である。

みなさんわかりますか、この会議録。決算特別委員会は、予め順序が決まっていて、まずは会派順に行います。この順序のことなどは、委員会記録の正副委員長互選・審査方法等協議のところをお読みください。
自分が何をやっているか? 会議がどう進んでいるか? をまったく理解していない議員もいるという典型的な例です。

●A委員 ちょっと順序を勘違いしたので、後回しにしたい。

この発言もおかしいのです。「後回しにしたい」と言っていますが、ルールからしてそのことを質問できる部分ではないのです。民生費の理事者がいないところで、民生費について質問をしようとしたのでしょう。困ったものです。

 成果の説明書31ページ、広報活動費について。
 広報ふなばしのポスティングによる配布が行われている。ポストに直接入れることだと思うが、ポスティングしている戸数は何戸か。
 そして、どういう家庭にポスティングするのか。

これって課長のところへいって、「ちょっと教えて」って聞けばわかる話。っていうか、けっこう毎回出る質問。かも。

●広報課長 ポスティングの数は、約4,800件。((後刻「4,700件」と訂正)。
 新聞をとっていない方、近くの公民館などで受け取れるが、そういうところに行けない方を対象としている。
●A委員 この4,800世帯で、ほとんど船橋市の100%近い家庭が網羅されているのか。
●広報課長 いろんな選択肢があり、いろんな方法で受け取れることをPRしているので、一応行き渡っているものと考える。
●A委員 今回、ポスティングの問題を議論させてもらっているが、市の情報について市の動きは非常に大切な役目を果たすのでお伺いした。

まあ、この議員の特徴ですが、「議論」という言葉をよく使います。「議論」ではなく単なる質問の場なんですよね、ここは。しかも、自分が質問しているだけのことを「議論」だと思っているようです。

 この4,800世帯について、21年度は20年度に対してどのぐらいふえているのか。あるいは、減っているのか。
●広報課長 20年度に比べて、200件ほどふえている。ただし、20年度は郵送である。(後刻「20年度の郵送件数は年間で約4,400件。300件の増」と訂正)
●A委員 了解した。

あらあら了解しちゃいましたよ。どういう意図で聞いていたのでしょうか?
僕だったら、この質問の続きで行くと、「増えた理由は?」があるでしょうね。決算ですから、「単価」とか、「郵送代削減努力」とか、「郵送以外は考えないのか」とかね。

 説明書38ページ、防災関係について。
 先番議員もちょっと触れたが、地域防災リーダー養成技能。一体どういうリーダーを養成するのか。
●防災課長 先番議員にご答弁したとおり。
 地域での防災に関する人材づくりのため、町会自治会あるいは自主防災組織の中で防災の中心となるような人材の養成を目的に開催している。

防災課長怒ってますかね? 「先番議員にご答弁したとおり。」は、おんなじこと聞くなよの意味ですが、この委員のように、人の話をまったく聞いていなくて、前の順番の委員が聞いた質問の内容を繰り返して質問をする議員がよく見受けられます。そのときは、イヤミを込めて、「先番委員にもお答えした通り」を枕言葉に使いましょう。それでも気がつかないほどアホな議員も多いのが事実。さて、委員会では「議員」ではなく「委員」を呼称として使用します。
-中略-

●A委員 了解した。
●広報課長 先ほどご答弁した中で2点訂正させていただきたい。
 21年度のポスティングの部数を4,800と申し上げたが、4,700の誤りである。
 それから、20年度の郵送件数は年間で約4,400、300の増の誤りである。

ちょうど発言訂正の例がありました。こういうふうに簡単に訂正ができます。
で、この前段の記録を読んでいただければわかると思いますが、会議録もきちんと訂正されます。(後刻「20年度の郵送件数は年間で約4,400件。300件の増」と訂正)とありますね。

11時03分休憩
11時06分開議
●B委員 主要な施策の説明書31ページ、広報活動費の5番目、ウェブサイト調査研究費について。
 この調査研究を行った結果、昨年度中に「モバふな」という形で立ち上げられたのだと思う。
 これの現状と、事業の評価をお答えいただきたい。
●広報課長 昨年10月に、市の携帯サイトを入れているシステムがいずれなくなってしまうため、リニューアルすることにした。その際、若い世代が携帯サイトをよく利用しているので、市政に余り関心がないその辺をターゲットにしたサイトをつくるべく、日本大学の学生と市職員とで研究会をつくって、若い世代の意見を取り入れながら、新しいホームページを構築した。
 変わった点。
 従来は便利帳の内容と広報ふなばしの二本柱だったが、特に皆さんが関心の強い子育て情報、医療機関情報を前面に出してアクセスしやすくした。また、公共施設の予約、図書の検索、駐車場の予約、安全・安心メールの登録などをトップページから入れるように改めた。それから、これも特に若い世代からの声を取り入れたものだが、市内の交通機関の運行状況、船橋市のスポット的な天気予報なども入れた。それから、「Pick Up」という旬の情報コーナーを設けた。名称の「モバふな」は、若い世代に受け入れやすいように「モバイルふなばし」を省略した言葉で、ロゴもあわせて学生たちにデザインしていただいた。
 アクセス数は、リニューアルする前の半年間が毎月約10万件──システム上すべてのページのカウントしかできない──だったものが、入れかえた後は月5万件である。これについては、一見半分になっているが、我々は利用者が減っているとは考えていない。
 今までのシステムは入り口が狭かったため、情報に行き着くまでにかなり階層が深くなっていたのに対し、新しいシステムでは逆に入り口を広くとったので、深く入らなくても情報にたどり着けるからだと考えている。そのような配慮をしたので、アクセスは半分になっているが、実際には結構見られているのではと考えている。
 評価について。
 最も手軽で速報性にすぐれた広報媒体なので、若者はもちろん、お母さん方、高齢者の方等にも見ていただけていると思う。ちなみに、ことしの花火大会は、28、29日の2日間で中止のお知らせを流したが、そのときに1万2000件のアクセスがあった。速報性がすぐれていることは、こういうところにあらわれていると思う。

答弁が長い。これは質問取りの弊害です。文字で読むと一目瞭然ですね。もしこの場に私が委員として出席していたら、「なげえ~よ」と小さな声で聞こえるようにつぶやくと思います。もし委員長だったら、「答弁は簡潔に」と、発言の途中に注意を与えるかもしれません。あるいは、答弁後に注意は確実ですね。質問取りをすると、丁寧に答弁をしようと原稿を丁寧に書きます。そうするとこういう感じになります。

議会の勢力や政党間の関係等を理解した方がよいでしょう。予算・決算に常に不承認、反対の態度をとるような会派に対して、常に丁寧な長過ぎる答弁をする理事者がいます。大きな間違いです。どうせ反対する会派の質問になぜ丁寧な答弁をするのでしょうか?

そういうときには遠慮なく我々保守最大会派は怒ります。あからさまに、不快感を表します。それでも答弁を止めない答弁者がいます。そういう場合、私が委員で出席している場合は、その答弁からできるだけ数多く質問事項を見つけて質問をして差し上げます。「質問をしてください」と言っているのと同じですから。それは当然ですが、質問取りをいただいておりませんから、ガチの質疑-答弁になりますね。

逆に、反対をする会派の質問に、「はい、ご質問者のご指摘の通りです」「そうではございません」「◯◯人です」というようなそっけない答弁をしたとしたら、私は何があってもその答弁者を擁護します。質問者が怒ったりしても、もう何度でも横から割り込んで、委員会を止めてでもその答弁者を擁護します。

逆はもう絶対許しませんね。最後に賛成する会派に良い答弁をしないで、最後に反対する会派に長くて丁寧な答弁をするような答弁者がいたら、「お~い、委員長、答弁が長いから注意しろよ~」とか心の中でつぶやきながら、委員長へ視線を投げます。利口な委員長はそれだけで注意を与えてくれますね。私の会派から委員長を出すとだいたい理解してくれます。今度の決算特別委員会は誰が委員長になるんだろう?

まあ、ということで今回は実践編でしたが、会派との関係構築等について知りたい場合は、議会事務局議事課にお問い合わせください。

あるいは、フリーメールアドレスなどで結構ですから、私あてにメールをください。hasegawamasaru@nifty.com
です。

ただし、船橋市役所の職員だとわかる何かを書き添えてください。職員しか知らないことを書くとかをしてください。なりすましはお断りです。

ということで、本日は、
4)答弁の仕方(実践編)でした。