先般、Twitterで議員の報酬などのことで質問をいただきました。遅くなりましたが、事例を提示しながら説明をさせていただきます。
まず根拠となる法律ですが、地方自治法の第203条です。

第二百三条  普通地方公共団体は、その議会の議員に対し、議員報酬を支給しなければならない。
○2  普通地方公共団体の議会の議員は、職務を行うため要する費用の弁償を受けることができる。
○3  普通地方公共団体は、条例で、その議会の議員に対し、期末手当を支給することができる。
○4  議員報酬、費用弁償及び期末手当の額並びにその支給方法は、条例でこれを定めなければ
    ならない。


日本語、法律用語って難しいですね。まず語尾をお読み下さい。「支給しなければならない。」と「◯◯ができる」です。「しなければならない。」は、必ず行わなければなりませんからここの1と4から、条例の定めがあります。

ということで、「非常勤の特別職の職員の報酬及び費用弁償等に関する条例」に基づいて我々議員の報酬は支給されます。上記の3をご覧下さい。「期末手当」という聞き慣れない言葉があります。これは民間企業で言うところのボーナスです。公務員の給与等は民間企業の会社の業績によって支払われるボーナスの制度にはなじまないので、国家公務員の例にならってボーナスに相当するものをいただきます。この給与の成立ちについて説明をしていきますと、本1冊分になってしまいますので割愛しますが、このボーナスも支払われます。

市の条例も全文をお読みいただきたいので、
http://www.city.funabashi.chiba.jp/gyosei/reiki_int/reiki_menu.html
の中から、「非常勤の特別職の職員の報酬及び費用弁償等に関する条例」を検索して下さい。

で、条例にあるように、キャリアに関係なく、市議会議員の報酬は月額で613,000円(税込み)です。これを年収ベースで計算しますと、10,408,740円です。

私たち議員は、一切の社会保険関係のよりどころがありませんから、国民健康保険、国民年金の支払いが生じます。国民健康保険料は概ね年額70万円前後(家族含め)。年金が年額181,200円(本人分)。議員年金が年額1,400,100円、これらで社会保険料控除が2,435,740円で、源泉徴収税額364,500円です。したがって、可処分所得は年額で770万円前後だと思います。

さて、それ以外の経費の取り扱いですが、「オンブズマン」と称する方々が、日本全国の地方議会をターゲットにして、「政務調査費」の使途について問題提起をしています。その政務調査費ですが、おなじく地方自治法の第100条に定めがあります。

第百条  普通地方公共団体の議会は、当該普通地方公共団体の事務(自治事務にあつては労働委員会及び収用委員会の権限に属する事務で政令で定めるものを除き、法定受託事務にあつては国の安全を害するおそれがあることその他の事由により議会の調査の対象とすることが適当でないものとして政令で定めるものを除く。次項において同じ。)に関する調査を行い、選挙人その他の関係人の出頭及び証言並びに記録の提出を請求することができる。
-中略-
○14  普通地方公共団体は、条例の定めるところにより、その議会の議員の調査研究に資するため必要な経費の一部として、その議会における会派又は議員に対し、政務調査費を交付することができる。この場合において、当該政務調査費の交付の対象、額及び交付の方法は、条例で定めなければならない。
○15  前項の政務調査費の交付を受けた会派又は議員は、条例の定めるところにより、当該政務調査費に係る収入及び支出の報告書を議長に提出するものとする。
-後略-

です。これに基づき「船橋市議会政務調査費の交付に関する条例」があり支給されていますが、ここはやはり原資が税金での支給ですから、厳格運用が求められています。従いまして、飲食費、名刺代など一見民間企業の交際費、消耗品費で処理可能なものもダメな場合があります。また、自分の政治活動と思われるものもダメです。なので名刺も選挙活動に結びつきますからダメ。

また、ものによっては、私用と公用(政務調査)と区別がつきにくいものや両方で使えるものは、案分をし、一部は個人負担となります。従って、インターネットプロバイダー料とか、パソコン購入などはすべて案分となり、前述した報酬からその分をまかなわなければなりません。そうなると、8万円×12ヶ月=96万円ですが、場合によってはその全額を様々な調査活動に使っても、倍近くの費用がかかる計算になります。その分はすべて報酬から支払います。それ以外には我々船橋市議会議員には「経費」のようなものは存在しません。収入はここで述べたものがすべてです。

むしろ、職員の待遇の方がずっと良いのではないでしょうか? もっと言えば市長は公選で選ばれますが、選ばれた後は、職員の給与体系と同じ仕組みの中で動いていきますので、退職金などがあります。私たち議員はありません。