MSN産経ニュースより

船橋市議会 勝手にe-報告 (長谷川大のe-通信簿)-sankei

【話の肖像画】新たな日本へ(上)元官房副長官・石原信雄
2009.9.1 03:04
■閣僚は官僚を使いこなせ
平成5年、政治改革法案の成立をめぐり自民党が下野した。それから16年、国民の選択による憲政史上初めての政権交代が実現した。リクルート事件から湾岸危機といった激動の時代に、自民の竹下登内閣から非自民の細川護煕(もりひろ)内閣を含め歴代最多の7人の首相に内閣官房副長官として仕えた石原信雄氏(82)が日本の政治、官僚への思いを語った。(奥田嘉夫)
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--細川内閣誕生時に混乱はあったか
石原 7党8会派の合意ができ、連立政権が誕生する過程では、小沢一郎さんが中心でまとめられていました。細川首班が決まって、組閣に入ったときは、私の印象では、比較的スムーズにいったと思います。

--官僚には混乱はあったか

石原 宮沢喜一内閣が退陣したときの状況は、政治改革をどうするかということが主たる関心事だったと思います。また、事務の副長官として私がそのまま残ったということで、各省の事情というのも新政権では良く分かってもらえるんじゃないかという、期待感、安心感が官僚の間にあったかもしれません。当時、新政権と官僚組織との間の緊張感やトラブルというのは全くありませんでした。
ただ、今回は全く違います。これまでの政治は官僚主導、これからは政治主導にするんだと。「官僚は下がっておれ」ということが、民主党の選挙の一つの「売り」になっているわけです。そういう意味では、今までとかなり違いますから、官僚諸君も今回は非常に危機感を持って眺めているんじゃないでしょうか。

--民主党は事務次官会議を廃止すると

石原 民主党は政治主導を徹底するための一つの具体的な手段として、事務次官会議を廃止するとしています。菅直人さんもおっしゃっていますが、これまで法律案や重要な政策などは、みんな事務次官会議で事前に決め、閣議ではそれを追認するだけじゃないかと。事務次官会議で決めたものが閣議にかけられているというのは事実なんですが、それをもって官僚がすべてを仕切っているという点は全く事実に反すると考えます。
法案などを事務次官会議にかける前に、それぞれの省内で十分議論し、関係省庁とも意見を調整し、さらに与党と十分に調整したものが事務次官会議にあがってくるんです。だから当然、政治家としての所管の大臣や協議を受けた大臣が了承しているわけです。つまり、事務次官会議というのは、事務を効率的に処理するために確認の場として設けられているのです。事務次官会議の廃止は確かに、政治のスタイルを大きく変える象徴的な出来事になると思います。
私が心配なのは、実質的な議論を全閣僚が参加する閣僚委員会でおやりになり、そこで決めるということですが、そうなると、大臣の時間がもたないんじゃないかと。国務大臣は行政執行の最高責任者ですからものすごく忙しい。十分な時間をとるだけの余裕があるのか、一番危惧(きぐ)しています。また、閣僚が法律案、その他、細かいところまで初めから全部タッチするということは時間的に全く無理です。やはり、初めの段階では、官僚諸君を使って事前調整をさせ、その調整結果を十分踏まえ、閣僚として、大臣として、政治家として、判断したらいいと思います。
今までの長い政治行政の知恵として事務次官会議というものが定着していたので、それを変えるのであれば、よりスピーディーに内閣としての意思決定ができるということでなければいけない。今までよりももっと時間がかかって、結論が出ないというのでは困ります。

--今の日本に必要な総理大臣のリーダーシップは

石原 私は、総理大臣は、もちろん閣僚とか、与党とかいろんな人の意見を聴くことは大事だと思いますが、いろんな意見の中では食い違いが必ず起こります。それを乗り越え、答えを出すということが大事だと思うんです。そして、出した答えには党内は全部従わせるということが非常に大事なんです。世の中は今、非常に厳しい状況におかれています。私は政権政党にあっては、是非、総理のリーダーシップで、どういう方向であれ、きちっと決めて、決めたことは必ず実行に移すという力強さを持ってもらいたいです。
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【プロフィル】石原信雄
いしはら・のぶお 元内閣官房副長官。大正15(1926)年、群馬県生まれ。82歳。東京大学法学部卒。地方自治庁(現総務省)入庁後、自治省財政局長、事務次官を歴任、昭和62年からの7年3カ月間、内閣官房副長官を務め、歴代最多となる7人の首相に仕えた。平成7年退官。現職は財団法人「地方自治研究機構」会長。著書に『官かくあるべし』など。

【話の肖像画】新たな日本へ(中)元官房副長官・石原信雄
2009.9.2 03:24
志ある役人になれ
--官僚が備えるべき資質は
石原 非常に難しいと思いますが、積極的な主義主張はしない、政治家の顔色を見て言われたことだけやっているというのが良い官僚だという見方もあるんです。

なるほどですねえ~。確かにそれも一理あるって感じ。

しかし、私はライフワークとしてその分野の仕事をやっていきたいという人間であればあるほど、それに情熱を傾けている人間は、ひとつの「意見」を持つと思います。持たないようなやつは、私は役人として一人前じゃないと思うんです。政治、政治家に対して行政官としての良心、知識、経験に基づいて国民のためによかれと思った意見は言うべきだと思います。つまり、志ある役人になってもらいたいということです。

実は最近このようなしっかりした職員の方とそうでない職員の方との区別がつくようになってきました。ここでは国家公務員の話をしていますが、国家公務員も地方公務員も「全体の奉仕者」ですからね~。考え方は同じだと思います。

ただ、最近はあまりにも激しい官僚バッシングのもと、自信喪失というか、気概を失ってしまった諸君が多いようです。これは国民のためにもいいことではありません。役人にはいい意見があったらどんどんもってこいという政治がいいと思います。

船橋市役所はちょっと違いますね。確かに市民の苦情が多く、自信喪失の職員の方もいらっしゃるようです。「気概を失ってしまった」職員の方も多いようです。但し、ここで石原氏が述べているような理由ではなく、方向違いの上司。向いている方向が、市民ではなく、市長や、市長におべっか使う上司だったりして、アホらしくなっているということ。なんだかなあ~ですね。

私自身も感じますね。「あんたその発言って誰のためのものだ!!」って言いたくなるようなね。まあしゃべっていて嫌になっちゃう人っていますよね。逆に、いや~、それっていいじゃん。もっと頑張ってよって感じの人とかね。

往々にして技術系の人っていうか専門職の人って残念だと思います。絶対、今はあなたの出番ですよっていうときに前へ出られない。そりゃあ、我々議員のの方なんか関係ないですから仕方がないのですが、うまく議員使ってその専門的なこと、頑張っちゃえばって思うときもありますね。

--官房副長官在任時、官僚に指導してきたことは
石原 事務次官には、国全体の立場とそれぞれの役所の立場と等分に見てほしいと、つまり、国政との調和を考えてもらいたいといつも言ってきたんです。
日本の官僚はこれまで優秀だと言われていましたが、最大の欠陥は割拠(かっきょ)主義なんです。「省益あって国益なし」という傾向がなきにしもあらずというのが、縦割りの弊害です。

はははって思わず笑っちゃうのが、たかが船橋市役所でもセクショナリズムというか、同じですね。自分の部や課を優先しちゃう。市民なんて後回しってありますね。

その弊害を克服するのが事務次官の大きな使命だと、過去に申し上げてきましたし、これからもそれは必要だと思います。
過去には内閣の立場から見て、非常に高く評価できる次官、そうでない次官がいましたが、民主党は幹部人事について内閣の指導力を強化したいとしています。私はそこを大いにやったらいいと思います。国益より省益にこだわるようなやつは次官にしなきゃいいんですから。(奥田嘉夫)