【都市伝説を追う】「ゴリゴリ!」と議員が大合唱 渋谷区議会は学級崩壊状態!?
2009.7.11 08:00
「渋谷区議会は、ヤジがひどいらしい」。ネット上で、そんなウワサを見つけた。

気をつけなきゃいけないな。今はインターネットの普及で、情報の伝達速度が速いですからね。

党首討論のヤジをめぐり、国会議員のマナーが問題視されている昨今、地方議会でも同じことが起きているのかもしれない?。さっそく、渋谷区議会に向かった。
■「今日はまだヤジを飛ばしてないなぁ」
平成21年渋谷区議会第2回定例会の初日。区長が所信表明演説を行った後、代表質問に入った。自民党と公明党の議員による質問では、どの議員もおとなしく聞いている。「ウワサはしょせんウワサだったのか…」と思い始めたころ、議会は休憩に。ところが、ある自民党の議員から「今日はまだヤジを飛ばしてないなぁ」とのせりふが…。他の自民党議員も笑顔で応じている。
そうか、これから激しくなるのか?。

ホームページで議会の構成を見てみました。自民党10名、公明党、共産党、民主党各6名、その他2味会派と無所属4名。合計36名。
これじゃあ、うるさいですよねえ。各政党が拮抗しているんですもの。

休憩後、質問に立ったのは民主党の議員。この議員は、都議選への出馬を予定していた。
「これまでやってきたことを振り返る意味で質問を行いたい」。このせりふにすかさず自民党の議員が反応し、「やめるみたいだな」とヤジ。その後も激しくはないものの、ぽつぽつとヤジが飛んでいた。

某市議会だとしたら…「いいよ振り返らなくても~」「市民のための質問にしろよ~」「先のことは関係ねえのかあ~」

どうやらヤジを飛ばしているのは自民党と公明党の議員のようだ。なるほど、さっきまではヤジが飛ばなかったわけだ。
■「一党独裁、ゴリゴリ!」
この日最後の代表質問は共産党の議員。なんだか議会の雰囲気が先ほどまでと違うような…。おお、どんどんとヤジが飛んできた。
共産党の議員が質問に出したのは、核兵器廃絶の取り組みや、消費税などについて。
「生活保護制度について述べます」と話したときには、公明党の議員から「大きなお世話だよ」と合いの手が入った。

某市議会だとしたら…「述べなくていいよ~、質問しろよ質問!!」

また、「高齢者は無料なら安心して医療が受けられる」という話には、「そりゃそうだろ」「なんで急にそんなこというんだ。選挙でもあんのか」と次々と声が上がった。

某市議会だとしたら…「共産主義国じゃねえんだよ~」「サービス受けたら金払うのはあたりめえだろ~」「タダにしたらいくら金があっても足りねえよ」「病院がまたたまり場になっちゃうよ~」

さらには、「区政の話あんまりねえな」と公明党の議員。

某市議会だとしたら…「そうだな」

最も盛り上がったのは、「区長がトップダウンで施設建設を行っている」という質問。共産党の議員が「(部下に)ゴリゴリ押しつけた」と発言すると、自民党議員の数人は「ゴリゴリ!」と異常反応。議題はそっちのけで、笑いながら「ゴリゴリ」を連発し、まるで学級崩壊した小学生のような乗りをみせた。

某市議会だとしたら…「ゴリゴリ」「ゴリゴリ」「ゴリゴリ」「ゴリゴリ」「ゴリゴリ」「ゴリゴリ」「ゴリゴリ」「ゴリゴリ」「ハハハ」「ゴリゴリ」「ゴリゴリ」

共産党の議員が「区長一人の考えで決めている」などと指摘すると、区長が「あなたたちの党こそ、そうじゃないですか」と“迷答弁”。

いや~、この区長は立派だ。尊敬する。議会にはまだ反問権がないところが多いので、ここまでが精一杯。頑張ってますね。“迷答弁”ではなくれっきとした「名答弁」です。

これを受け、ある議員は「一党独裁、ゴリゴリ!」と熱狂が冷めやらない。すっかり気にいってしまったようである。

某市議会だとしたら…「ゴリゴリ」「ゴリゴリ」

■「人をバカにしている」
こうして大きく“盛り上がった”議会は、予定を2時間近くオーバーして終了。
この日、初めて議会を傍聴したという渋谷区の主婦(70)に感想を聞くと、「すごく人をバカにしたような発言があった。ずっと私語をしている人もいて、あんなところだと思わなかった」とあきれ顔。

議会は真剣勝負なんですよね。議場での発言は、そのことのみの正当性を言います。特にある特定の政党の議員さんは。もうまったくもって正論を述べるのです。ところが、ありとあらゆる市民の生活をみわたしたときに、その不都合な部分だけではなく、不都合だらけなのです。それを何に優先順位をつけて、何を実行していくかが政治なのです。

行政が行う事務事業を、政治で少しだけ方向を変えることもあるし、大きく方向を変えるときもあります。しかし多くのことは、その長に委ねて、しっかりやってもらうのが筋でしょう。それを公開の場で、カッコいいことばかり言う。

そうです。今は、インターネット中継、議会によってはテレビ中継、議会報、会議録の公開などなど、議会での発言が市民の皆さんの目に触れる機会が多いのです。だから、だからカッコ良いことを言う議員もいるということです。それがミエミエだったりすると、ヤジが飛ぶわけですよね。

後日、ヤジを受けた議員と飛ばしていた議員にそれぞれどう思っているか取材した。
区役所5階、議員控室の前で取材に応じた共産党の議員は「いつもあんな感じ。議長がきちんと取り締まらないとね。やじというより妨害だから、めげないように頑張っています」と淡々とした表情で語った。
■「必要と思ってやっているよ」
一方、ヤジを飛ばしていた自民党の議員。区役所5階のエレベーター前で他の議員と話していたところに質問すると、笑顔が一転して真顔に。
「別にみんなが結託してやっているわけではなく、個人がそれぞれの考えでやっている。どういうつもりって、それは必要と思ってやっているよ。違うことは違うといわないといけないでしょ」とみけんにしわを寄せながら話した。
でも、その場でいう必要はないのでは…。

某市議会だとしたら…「その場で言わなきゃ同じ環境で言う機会がないのよ~」

議員控室にいた公明党の議員は「すみません、これから電話しなくてはならないから答えられないんですよ。都議選が近いから忙しくて、すみません」。携帯電話をこれ見よがしに見せながら立ち去り、取材には応じてもらえなかった。

某市議会だとしたら…「ヤジはさ、ほら、議会の華って言うじゃない。まあほどほどにはいいんじゃないの(笑)」

■1人で211回のヤジ
同区の市民団体「渋谷オンブズマン」(久保田正尚代表)のブログによると、渋谷区議会でのヤジの最高記録は今年3月の211回。某委員会で委員長を務めていた自民党の議員によるものだが、1、2分に1回程度、ヤジを飛ばしていた計算になる…。

某市議会だとしたら…もっと多いかも。某市議会ではヤジ将軍のとなりはうるさくてかなわんって席替えしちゃった人もいましたから。

傍聴したメンバーは「議会が機能不全。質問も答弁も聞き取れない。自制してもらいたいと思って、ブログに書いているが、本人たちには直す意思がない。議長も注意しようとすらしない」と口をとがらせた。もっともだ。

某市議会だとしたら…新しく議長が選任されましたから乞うご期待!!

■「ヤジはまだいい…」
ただ、ヤジは渋谷区議会に限ったことではないようだ。
市民団体「相模原市議会をよくする会」代表の赤倉昭男さん(72)は「大きな地方議会はどこもヤジがある」と話す。
相模原市議会を始め、都内や神奈川県内で多くの議会を傍聴してきた赤倉さんの経験では、会派が多い議会では無所属や共産党の議員の質問が長くなるとヤジが多くなる。
「ヤジは発言を聞いているということだからまだいい。もちろん口汚いやじは別ですが…。むしろ、居眠りや私語の方が問題。議長には議場内の整理整頓という義務がありますが、お情けで議長になっている人が多いので、まとめ切れないのでしょう」

その通り!!過去の発言、質問内容自体の本質への理解、世の中全体の流れ、発言者個人の人柄等々。だからヤジられなくなったらおしまいです。
わたしなんか、壇上に立った瞬間くらいに何か言葉が飛んできます。うれしい限りです。

■録音させない理由
ちなみに、渋谷区議会を傍聴する前に、「ヤジを録音しよう」と、ボイスレコーダーの持ち込みを議会事務局に申し込んだところ、職員から「議会は録画、録音できないんですよ」と言われた。
同席した他社の記者が「議長の許可が得られれば大丈夫と(条例に)書いてあるけど」と食い下がったものの、「すでに議長は許可しないといっているんですよ。何社も来たんですけど」と事務局の職員は、申し訳なさそうに答えた。
23区でもネット中継を行っている区議会がある時代、腑に落ちない気持ちもあったが、仕方なく議場へ向かった。
傍聴を終えた後、議長が録音を許可しない理由がよく分かったことは言うまでもない。(行場竹彦)

これは確かにそうですね。事実上、録音、録画ができる状態なのに、制限しても仕方がないですね。ただ、中継ではヤジまでも録音できているケースが少ないですね。まあ議会中継はヤジを中継するのが目的ではありませんからね。