「逐条地方公務員法」11,000円+税、「逐条地方自治法」14,000円+税ともに学陽書房を市民の皆様からいただきました政務調査費で購入させていただきました。

地方公務員法は、マニフェストでも書かせていただきました地域手当廃止を勉強したくてです。なんせある部長級の職員の方に、「地域手当廃止というのは、法律を破れということですよ。われわれの給与は、人勧準拠、国公準拠ですから」って職員課の方が多用する専門用語を使って煙に巻こうとしたのです。ところがどっこい。こちとら、その方が部長級になって議会に出るようになる遥か前から、職員給与に関する質問は議会で何度もしているんです。ですから理論的には「法律を破れ」にはならないと思っているのです。まあ、一から勉強し直していただけるようですから、頑張っていただきたいと思います。

地方自治法は、これまた自分でまいた種を解決するために勉強です。
先般、会議の席上、専決処分と臨時議会について質問をしました。その時の答えと自分の認識との差があり、それを自分なりに解決すべくの購入です。

以前にも書いたかもしれませんが、今度、臨時議会が招集されそうです。その際、専決処分の報告があるようなのですが、それが地方自治法の趣旨ではどのようなことなのかが私の頭の中の整理ができていなかったのです。

第百二条  普通地方公共団体の議会は、定例会及び臨時会とする。
○2  定例会は、毎年、条例で定める回数これを招集しなければならない。
○3  臨時会は、必要がある場合において、その事件に限りこれを招集する。
○4  臨時会に付議すべき事件は、普通地方公共団体の長があらかじめこれを告示しなければならない。
○5  臨時会の開会中に緊急を要する事件があるときは、前二項の規定にかかわらず、直ちにこれを会議に付議することができる。
○6  普通地方公共団体の議会の会期及びその延長並びにその開閉に関する事項は、議会がこれを定める。

私は、臨時会というのは、その開く理由のための事件。すなわち、今回で言うと、職員などの夏のボーナスの減額だけを議題として、それを審議、議決したら、ハイ終わりってことだと思っていたのです。
ところが、

第百七十九条  普通地方公共団体の議会が成立しないとき、第百十三条ただし書の場合においてなお会議を開くことができないとき、普通地方公共団体の長において議会の議決すべき事件について特に緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がないことが明らかであると認めるとき、又は議会において議決すべき事件を議決しないときは、当該普通地方公共団体の長は、その議決すべき事件を処分することができる。
○2  議会の決定すべき事件に関しては、前項の例による。
○3  前二項の規定による処置については、普通地方公共団体の長は、次の会議においてこれを議会に報告し、その承認を求めなければならない。

という条文により、臨時会でも会議を開くなら、時間的余裕が無くて市長がとりあえず決裁しちゃった事件(本当は議会を開いて議決をしなければいけない事件)を報告、承認を求めるのか?それともあくまでも、臨時会を開く理由となった事件だけを扱うのかということについて悩んでいるのです。
という大変マニアックな問題と言うか、法の解釈はどうなのよということについて勉強勉強また勉強をしているのです。

まあ、この本を読んだり、インターネットで情報を収集したりした結果としては、「本当は議会を開かなければならない案件なんだから、議会を開いた時には、臨時であろうと定例であろうと、一番近い議会に報告をして承認を得るのが本来の姿である。」との結論ですね。

まあ、他の会派の皆さんがどのような解釈をしてこの問題を取扱うかはまだわかりませんが、いろいろ調べた結果は102条を優先するのではなく、「時間的余裕がないことが明らかであると認めるとき」ですから、「時間的余裕ができた瞬間」に議会に付すべきなのですね。

下記は第28次地方制度調査会の答申の抜粋らしいのですが(オフィシャルなところで見つけられませんでした)下線部分を鑑みると、今後はこの答申を尊重して、市の執行部も議会も積極的な取組みが必要でしょうな。

1 議会に対する期待と評価
議会には、多様な民意の反映、さまざまな利害の調整、住民の意見の集約などの役割 が求められており、議会の構成や運営において、議会の意思と住民の意思が乖離しないような努力が従前にも増して必要とされている。
また、議会は、団体意思の決定を行う議事機関としての機能と、執行機関の監視を行う監視機関としての機能を担っているが、地方分権時代において、これらの機能の充実 ・強化が求められている。
地方公共団体の自己決定権の拡大に伴い、団体意思の決定を行う前提として、議事機関である議会の政策形成機能の充実が求められているほか、地方分権の推進に伴い、地方公共団体の役割が拡大し、また住民への説明責任を果たすことがますます重要となっていることから、執行機関に対する監視機能についても、その一層の充実強化が必要と考えられる。
他方、議会の現状については、民意の反映の側面からは、議員構成が多様な民意を反 映するものとなっていない、住民参加の取組が遅れているといった指摘、また監視機能 の側面からは、行政改革や公金支出への監視が十分でないなどの指摘のほか、議員定数 が多すぎる、報酬が高すぎる、透明性が低いなどの指摘もある。
その一方で、休日、夜間の議会開催やインターネットの利用などにより積極的に議会の審議の公開や広報活動を行う、あるいは住民との意思疎通を図る取組を行う、条例案 等の議員提出を積極的に行うなど、新しい時代の議会に期待される機能を発揮すべく、さまざまな積極的取組を行って議会改革に取り組んでいる議会も見られる。また、議員 定数、報酬についても自主的に抑制を行っている議会も多くなっている。
2 議会のあり方の見直しに係る具体的方策の検討
(1) 具体的方策の検討の観点
議会のあり方については、このような議会の現状についての住民等の声や、先進 的な議会改革の取組事例を勘案しながら、先に述べた議会における利害調整機能、議事機関としての政策形成機能、監視機関としての機能の充実が図られるよう、その見直しを検討すべき時期に来ている。
また、議会の自主性・自律性の拡大の観点から、議会の権限、長との関係など議 会制度の基本的事項については法律で定めることとし、その組織及び運営について はできるだけ議会の自主性・自律性にゆだねる方向で見直すことが必要であると考えられる。
このほか、それぞれの議会において、改革に取り組んでいる先進的な取組を参考にしつつ、現行制度の積極的な活用や適切な運用を進めることによって、議会の一層の活性化やその果たすべき役割と現状評価の間にあるギャップの解消を図り、議会の自己改革を進めていくべきである。
(2) 具体的方策
① 幅広い層からの人材確保等
住民を代表する議会の議員に幅広い人材を確保できるように、女性や勤労者が 議員として活動する上での便宜に資するよう休日、夜間等に議会を開催するなど の運用上の工夫をすべきである。また、制度面では、勤労者が議員に立候補でき、 また、議員として活動することができるような環境の整備、さらには地方公共団 体の議会の議員と当該団体以外の地方公共団体の職員との兼職を可能とすることも検討すべき課題である。
② 議会の組織
議会の組織に係る自主性・自律性の拡大等を図る見地から議員の複数の常任委 員会への所属制限を廃止することとし、一定の規律が必要な場合には、委員会条例に必要な規定をおくこと等で対応することとすべきである。
また、委員会の委員については、閉会中など一定の場合に委員会条例で定める ところにより、議長が指名することによって選任等ができるようにすべきである。
③ 議会の権能
ア委員会の議案提出権委員会審議の充実を踏まえ、現在、長又は議員に限られている議案提出権について、委員会にも認めるべきである。
イ専門的知見の活用
議会における審議を充実し、政策形成機能の強化を図る見地から、公聴会、 参考人制度の活用、議会事務局の補佐機能の充実等について、それぞれの議会における取組が期待される。
また、議会が、議案の審査又は当該地方公共団体の事務に関する調査のため 必要があると認めるときは、その議決により、学識経験を有する者等必要な者に、個別具体の事項について調査・報告をさせることができることとするとともに、複数の者の合議による調査、報告もできることとすべきである。
ウ議会の議決事件の拡大
議会の権能を拡大する見地からは、まず、議決事件の条例による追加を可能とする規定を活用することにより、各地方公共団体の実情に応じた議決事件の追加を図ることが考えられる。
なお、現在法定受託事務は議会が条例により追加することができる議決事件から除外されているが、法定受託事務も地方公共団体の事務であることからすれば、自治事務と同様議決事件の追加を認めることが適当であるものと考えられる。この点については、法定受託事務に関する関与の特性等にかんがみ、法定受託事務と議会の議決との関係の整理について引き続き検討する必要がある。
④ 議会の運営
ア住民と議会との意思疎通の充実民意を直接聴取し、議会を活性化する手段として公聴会、参考人制度の活用が期待される。
また、休日、夜間議会の開催、ケーブルテレビ、インターネット等の手段を用いた議会の審議状況の中継、審議記録の公表など審議の公開や議会に関する情報の積極的な広報を、さらに充実すべきである。
政務調査費については、議員の調査研究に資するため必要な経費の一部を交付するという制度の趣旨にかんがみ、住民への説明責任を果たす観点から、その使途の透明性を高めていくべきである。
このほか、会議録を電磁的記録により作成することも可能とすべきである。
イ議会事務局の機能の充実
専門的能力を有する職員の養成・確保のための方策を検討するなど、議会事務局の補佐機能や専門性の充実を図るべきである。
⑤ 議員の位置付けと定数
議員について、常勤・非常勤という職の区分とは別に、「公選職」という新しい概念を設け位置づけの変更を行うべきであるという意見があるが、この点については、「公選職」にどのような法的効果を持たせるのか、政治活動と公務の関係をどのように考えるのか、などの論点があり、引き続き検討する必要がある。
議会の議員定数については、その上限を法定しており、これを撤廃すべきであるという意見があるが、この点については、条例定数制度の施行から日が浅く、また、市町村合併に伴う定数特例、在任特例等が平成22年3月の合併まで適用されることなどの事情があり、少なくとも当分の間は現在の制度を維持することとした上で、その後の制度のあり方について引き続き検討することとすべきである。
⑥ 長と議会の関係
ア専決処分のあり方
専決処分は議会の権限に属する事項を長がやむを得ない場合に代わって行う 制度であることにかんがみ、その運用に当たって制度の趣旨を逸脱することが ないような手当がなされるべきである。
このため、「議会を招集する暇がないと認めるとき」の要件を見直し、制度本来の趣旨に即した要件の明確化を図るべきである。その際、必要に応じて委任専決についても検討すべきである。
イ議会の招集のあり方
議会の招集のあり方については、議会側が必要と認めるときに臨時会が必ず開かれることを担保することが必要である。この場合において、長と議会の関係や、長が事実上議案の大半を提案しているという実態を踏まえれば、議長に招集請求権を付与することとし、招集請求があるときには、長は一定期間内に招集しなければならないものとすべきである。
また、議会審議に執行機関側が出席するのが通例となっているが、議員同
士による議論をより積極的に推進すべきである。
⑦ 小規模自治体における議会制度のあり方
民意の適切な反映、効率的な議会運営等の観点から、少なくとも小規模な自治 体については、現行の会期制度を廃し、週1回夜間などに定期的に会議を開くようにするなど、その規模に適した新たな制度を選択できるようにすることを、今 後検討すべきである。