ショッキングな事件です。


YOMIURIONLINEより


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船橋市汚職 早川容疑者が金要求

「業績良く、出せると思った」

 

報道されている内容からすると、あってはならないことであるし、やってはならないことで残念です。

 

船橋市幹部による宅地開発を巡る贈収賄事件で、県警は21日夜、収賄容疑で逮捕された同市宅地課長、早川雅人容疑者(53)(習志野市藤崎)が勤務する市役所庁舎などを捜索した。市職員から汚職事件の逮捕者が出たのは26年ぶりで、市役所内に動揺が広がった。早川容疑者は宅地課に15年勤めるスペシャリストだったが、業者との癒着が浮き彫りになった。

贈賄容疑で逮捕されたのは、建築会社「家・スタイル」社長、飯田洋三郎容疑者(61)(船橋市南三咲)。

発表によると、早川容疑者は宅地課主幹だった2006年9月、開発行為の許可審査に関し、同社に便宜を図った見返りなどとして、飯田容疑者から船橋市役所内で300万円の小切手を受け取った疑い。

捜査関係者によると、早川容疑者が「900万円を貸してほしい」と要求したところ、飯田容疑者がその直後に市役所内で300万円の小切手を手渡した、とされる。

その後、早川容疑者は同12月までの間に、2回にわたって現金300万円を飯田容疑者から受け取り、計900万円を住宅ローンの返済や遊興費などにあてていたとみられる。同社に持ちかけたことについて、早川容疑者は「業績を伸ばしている業者なら出せると思った」と供述しているという。

調べに対し、飯田容疑者は小切手を渡したことについて、便宜を図ってもらった見返りや、今後の期待も込めたことを示唆する供述をしているという。

また、両容疑者は「借用書」を作成していたことも判明。ただ、返済方法や期限を約束しておらず、条件も無利子や無担保で、全く返金していなかったという。このため、県警は借用書はわいろ性を避けるための形式的なものだった可能性が高いとみて、詳しく調べている。

両容疑者は21日、千葉地検に送検された。

異例の15年異動なし 癒着の一因?

早川容疑者は1993年4月、宅地課に配属されて以来、全く異動がなかった。勤務年数は連続約15年にも及ぶ。長くても7年程度という他の同課員と比べると、際立っていた。

同じ宅地課の岩本英俊課長補佐は、「都市計画法のエキスパートだった。部下の職員も頼りにしていた」と、早川容疑者の仕事ぶりを評価する。

 

この部分は市役所内の多くの人が認める事実だと思います。「打てば響く」とはこのことかと思うくらい、的確、明快に答えが返ってくる職員です。「開発」という業務に関して反社会的勢力の様々な団体の人から始まって、マンション建設を含む市内の「開発案件」すべての賛成派・反対派の話を聞き、裁いていくセクション。しかも許認可という権限もあり、それによりへたすりゃ会社の存亡にまで影響する場合もある。市内外の企業の経済活動も担う。ですから専門的にならざるを得ない。なので次の総務部長の発言も理解できるのです。

 

異例の勤務年数については、上村義昭・市総務部長は「上司からの要望もあり、配置していた。職員が減少する中、エキスパートをどのように育てていけばいいのか難しい」と話した。

 

この、総務部長の発言は、「難しい」と述べていますが、もうそれは「苦悩している」と言ってもいいと思います。しかも、日々の業務において支障なく人事ローテーションを行うというのは本当にしんどいと思います。

 

決して今回の事案を擁護したり、弁護したりはするつもりはありませんが、行財政改革を進める中、市役所には市役所なりのいかんともしがたい事情もあるよなあ~というのが私の率直な感想です。

 

普通の、本当に普通の市民の方のクレームが増加し続ける昨今、ありとあらゆるケースの事案が、ありとあらゆる考えの人たちによって持ち込まれやすい部署。本来業務は、市内の健全なる街づくりに直結する開発案件を、市の発展に寄与するように誘導、処理すること。そして、それらを的確に事業者、あるいは反対をする市民に納得いただけるように、法律の趣旨や制定の根拠や精神を説明しなければならない。それができるようになるには時間がかかるのです。


さらには、新たな事案に関しては上級官庁や関係機関との協議が必要で、その協議だって、こちらの勉強不足や知識不足がない状態でしなければなりません。そうなると、それなりの経験や知識の蓄積が必要となってくると思われます。そういう意味でも、今回の課長は、自分をきちんと律していたとは思うのですが…。

 

宅地課は建築業者の窓口となる部署だけに、ある市議は「長くいると、なれ合いになってしまう」と指摘する。

 

まあ、そういう部署だからこそって振る舞いがあるとは思うのですがねえ。

 

市内では、マンション建設をめぐる近隣住民の反対運動などが相次いでいるが、宅地課はそうした紛争処理の窓口も担当。同市前原東のマンション建設に反対する「二宮学区の住環境を守る会」は21日、早川、飯田両容疑者の癒着した関係を究明するように、藤代孝七市長に要望書を提出した。

 

反対派の方々にとってもショッキングな話でしょうね。要望書提出は当然といえば当然かもしれません。

 

市役所捜索 

事件の現場となった船橋市役所では、市職員らが21日朝から対応に追われた。

市は午前、幹部がそろって緊急記者会見を行った。松本敦司副市長は「市民におわび申し上げる。再発防止策を講じ、信頼回復に努める」と陳謝した。同席した中山君雄・建築部長は「何が便宜供与にあたるのかわからない」と、困惑した様子で語った。

 

私もまったく同感ですが、そういう感覚がいけないのかもしれません。市民のために職員がさまざまな便宜を供与していくのが市役所の仕事。
「便宜」の線引き、判定によって、職員がすべての業務において萎縮してしまって、市民の皆さんに迷惑がかからないよう、十分な検証も必要かもしれません。

 

宅地課は建築業者から開発申請を受け、審査して許可を出す部署。今回の事件では、船橋市芝山の分譲地(39区画)などの審査で便宜を図ったとみられている。市役所には、閉庁後の午後9時前、県警の捜査員らが市役所6階の宅地課に捜索に入った。早川容疑者が座っていた課長席を中心に調べ、関係資料を次々と押収していった。

早川容疑者の逮捕を受け、市は21日、中山建築部長を宅地課長兼務とし、早川容疑者を同課副参事とする人事を発表。起訴後も事件が明確になるまで「休職扱い」とするとしている。

20081122 読売新聞)