<MSN産経ニュースより>


sankei


【見つけた! みんなが輝く教育】認知と学習スタイルに応じて

2008.4.2208:27

人間は誰でも多かれ少なかれ、認知や学習スタイルに特徴があります。

認知とは知覚、記憶、判断、推理、言語理解などさまざまな情報を収集して処理する活動のことで、モノの見方・考え方のことを言います。

学習スタイルとはモノの学び方の特徴のこと。簡単に言うと新しいパソコンを使うとき、マニュアルを読んだ方が理解できるという人は視覚型、人に聞いた方がわかるという人は聴覚型、とにかく自分でやってみるのが一番という人は運動型の学習スタイルがそれぞれ優位だといえます。

 

こういうふうに整理して説明されると理解しやすいですね。

 

発達障害があると、この認知と学習スタイルに得意・不得意のアンバランスが生まれます。そういう子供は「従来通りの、みんなと同じ指導」になじまず、なかなか理解しにくいため、指導の成果もあまり上がりません。

たとえて言うなら、一つの漢字を10回書いて覚える子もいれば、100回書いても覚えられない子もいる。それは、その子のやる気の問題ではなくて、認知と学習スタイルに応じた指導をしていないだけなのです。

 

そうそう。そこを今までは、すべて子どものやる気のせいにしたりしていたのですよね。

 

100回書いても覚えられない子に200回書かせても意味はなく、聴覚や触覚、体全体を使った方が効果的に学べたりします。認知と学習スタイルの多様性に応じた指導とは、そういうことです。

 

そう。そういう意味では、教える側にも問題があったわけですよね。というのはあまりにも酷かもしれません。そういうものだという情報を持ち合わせていない先生方も多かったでしょうし、そういう子どもに出会わなかった先生方も多かったかもしれません。保護者もそうでしょう。どうしてうちの子はってね。

 

ところで、注意・集中が困難、衝動性・多動が強い、読み書きや対人関係、コミュニケーションが苦手といった状態像や、認知や学習スタイルの偏りは、何も発達障害を持つ子供に限った特徴ではありません。周産期の問題や栄養状態、ストレス、外傷、虐待、いじめなどでもこういった状態像を示すことがあります。

だから、認知と学習スタイルの多様性を踏まえた指導は、すべての子供たちにとってわかりやすく、効果の上がりやすいものになるのです。これこそが、特別支援教育の原点だと私は考えています。

次週からは子供たちが抱える思いや国内外の取り組みなど具体的なお話を-。

(教育ジャーナリスト 品川裕香)