こういうことが起きるんだなあという事例の最たるものだと思いますね。

 

MSN産経ニュースより>


sankei

静岡県下田市須崎 昭和天皇が愛した景観「無残」

2008.6.12 08:05

海岸沿い 無断で遊歩道や駐車場

昭和天皇が、その自然や景観を愛された静岡県下田市須崎(すざき)。御用邸のおひざ元で、富士箱根伊豆国立公園の開発規制区域でもある海岸沿いに、地元自治会関係者が無断で遊歩道や駐車場を建設し、貴重な景観を台無しにしてしまった。市や環境省などが調査に乗り出し「原状回復させるべきだ」の声も出ている。

 

恐るべきことですね。教育水準の高い法治国家であるまじき行為。

 

遊歩道が無断建設されたのは、須崎御用邸から約500メートルの爪木(つめき)崎。伊豆半島南端部の下田市から相模灘に突き出た岬で、白亜の灯台や水仙の自生地がある景勝地だ。遊歩道は県天然記念物で俵磯とも呼ばれる柱状節理の石柱群に沿い、幅1メートルほど、長さ約145メートルにわたり厚さ10センチのコンクリートで舗装。斜面を3メートル以上切り崩し、赤土がむき出しのところもある。

一帯は富士箱根伊豆国立公園で、海岸から100~200メートル区域は、景観保全のため開発を規制する第2種特別地域。環境相の同意を得て、下田市が景観に配慮しながら、自然公園や休養林として遊歩道やトイレ、駐車場などを整備している。

問題の遊歩道は一昨年末に建設されたとみられ「建設後に事態を把握した」と下田市。市の事情聴取に地元自治会の前役員は「観光客の利便のために建設した」と説明したという。

 

平然と言ってのける様子がみえるようです。「何か問題ある?観光客のためを思って善意でやっているんだよ」くらい言いそうですね。

 

前役員は一昨年、御用邸に接する九十浜(くじゅっぱま)にも無断で駐車場を造成。バス通りから砂浜に下りる遊歩道の御用邸側斜面を高さ2メートルまで切り崩し、2段にわたり奥行き約5メートル、長さ延べ50メートルほどをならし、大半をコンクリート舗装した。夏場は自治会が市に無断で海水浴客の車を遊歩道に乗り入れさせ、1台1日2000円の料金を取り、最大で15台ほど駐車させている。

 

ここまで来るとひどいですね。「ちょっと役所に聞いてみよう、相談してみよう」って話にはならないのですかね~。

 

この背景には「財産区の土地を、市が借りて整備している事情がある」と市幹部。財産区は、自治体合併時に村など旧自治体の共有地・施設を地元民が管理・運用できるよう、地方自治法で特認された特別地方公共団体。議会設置も認められ、議員は選挙で選ぶことになっている。

須崎も財産区議会を置いているが、「話し合いで決まる自治会役員が議員を兼ね、遊歩道や駐車場の建設も一部役員の意向で、正式な議決は行われなかった」と地元関係者。市幹部も「財産区資産は自分たちの勝手にできると思い違いされる傾向にある」と話す。

 

おいおいおいですね~。

 

須崎の自治会、財産区議会とも昨春で役員・議員が交代したが、「遊歩道は市の許可を得ていると思い、10メートルほど延長。九十浜の遊歩道も、車が入りやすいよう一部を改良した」と現役員。「延長や改良は財産区議会の総意だった」が、今回も市には無断だった。

問題の遊歩道が建設された場所は以前、幅30センチほどの踏み跡にすぎず、草に隠れて目立たなかった。青い海、緑の岬、白い灯台という美しさや、昭和天皇ゆかりの地ということで、全国に知られる爪木崎だが「緑の斜面に遊歩道が白い帯のように延びて景観が台無し」、九十浜も「車はバス通り沿いの市営駐車場にとめていたのに、今は砂浜手前にもずらり並んで景色を害している」と、観光客や住民から疑問の声が上がる。市は「原状回復させるかどうかも含め、対応を検討している」という。

 

善意があだになる。市民参加、市民協働している多くの方々が悪意があるわけではないのですが、その後ろに、いろいろな力が存在しているのがこれまた事実としてあるようですね。

 

昭和天皇は須崎の自然を愛し、御用邸には昭和47年から63年まで毎年、多いときは年6回訪れ、香淳皇后と爪木崎も散策された。今上陛下も皇后さまと爪木崎を散策されている。昭和天皇は55年発刊の『伊豆須崎の植物』(生物学御研究所編)の序文で「須崎へ行くと、ゆたかな光の中に身が浸る思いがする。空の色も海の色も心にしみて澄みとおるように感じる」と記し、「周囲の自然をいつまでも美しく保ってゆきたいと思っている」と結ばれている。

 

まあ、きちんと決着していただきたいものですね。