<MSN産経ニュースより>


sankei

【公教育を問う】第2部(2)「総合学習」進化する塾
2008.2.18 22:01
「さようなら、(上底+下底)×高さ÷2」
現行の学習指導要領が告示された翌年の平成11年秋、大手学習塾の日能研(本部・横浜市)はこんな宣伝文句のポスターを作製した。上底…は台形の面積を求める公式で、イラストでは、指導要領が施行された 「2002年」のバス停で降ろされた台形が、別れのハンカチを振っている。
「円周率が3になる」も同社のコピー。子供の学力低下に対する親の不安をあおり、私立中受験へと駆り立てた。


日能研の広告戦略勝ちでしたね。


「円周率が3・14ではなく3になるなんて、ばかな話が出回って…。実際は『目的に応じて3を用いてもいい』としただけだ」。告示当時の文部大臣、有馬朗人氏(77)は、今でも苦い顔をする。


有馬先生のお話は、自民党の勉強会などで伺ったことがありますが、素晴らしい先生で、教育全般に造詣が深く感動したものでした。


教育の理想は、それで良かったのでしょう。しかし、現実はどうだったのでしょう。最近すごく感じることは、文部科学省は必死になっているけれど、さまざまな努力をしているけれど…、「?」なのです。現場の現実を事細かには把握できていない。できるわけないだろうと言ってしまえばそれまでですが、限界があるのではないかと思うのです。有馬先生のように現場にいて、漠然と現場のことはわかっていても、かなりハイレベルの子どもたちを見てきた先生ですから、そうではない地方の現場のことなど理解の範疇外かもしれません。だからこそ、地方の公立学校や、教育委員会の話を聞くのでしょうけど、まあ一言で言えば「わかってねえな」ですね。


「塾からの批判は、少子化の時代にいかに子供たちを集め、自分たちや私学を守るかという発想だ。この時期に、『公教育はゆとり』だと解釈がねじ曲がった」


これは、文部科学省の政策を理解できないメディアにも問題ありだけれども、そういう人を育てる「教育」をきちんとできていない証拠でもあるし、まさに「教育」がいかに重要かがわかったのではないかと思います。解釈がねじ曲がったのでしょうかね。解釈をねじ曲げても平気な世の中にしたのも「教育」。解釈もきちんとできなくしたのも「教育」。天に唾を吐く。自業自得。…。いままで教育をおかしくしてきたつけですよね。悲しいですよねえ~。


その日能研が、ゆとり教育の目玉だった「総合的学習の時間」(総合学習)をカリキュラムに取り入れている。
「この問題どうやって解こうか」「僕はこうする」「私は違う。ここに線を引いた方がいいよ」-。
先生の力を借りずに、5、6人の児童が1つのチームを組んで図形問題の解法に知恵を出し合い、「一番いい解き方」を探している。見つかったら、他のチームと互いに発表して比べ合う。先生は最後まで、解き方を教えてくれない。
これは日能研が4年前から首都圏の一部教室で開設する「Rコース」(小4~6年対象)の光景だ。あらかじめ用意した答えに児童を導かないことが特徴で、高木幹夫代表(53)は「自ら学び考える力を育てる授業。『総合学習』そのものだ」と話す。
こうした要素を一部取り入れる傾向は他の塾でもみられる。その理由は、「私立中や公立中高一貫校の入試が、単純な知識より応用、活用力を試すPISA(生徒の国際学習到達度調査)型になっている」(栄光ゼミナール)という状況があるからだ。
その活用力こそ、現行の指導要領が「生きる力」などの呼び方で育成を目指したはずのものだった。公教育のもたつきを尻目に、民間が公教育を利用し、先を行く現実が垣間見える。


まさにその通りですね。塾や私立学校と公立学校を比較するのはかわいそうな面もあるのですが、現実はそうですね。


自分の子どもの権利を主張して、他の周りの子どもの権利を侵害していることに気付こうとしない保護者がいることも事実です。先般も私の地元の保護者からの苦情がありました。自力歩行のできない子どもを普通学級に受け入れていることによる苦情です。自分の子どもは自分で守らなければいけないですね。困ったものです。


昨年4月に文部科学省が行った全国学力調査では、公立と私立の格差が改めて浮き彫りになった。
平均正答率(小学6年)を比べると、基礎力を試す算数Aは公立82・1%に対し、私立は10ポイント高い92・1%。応用力を試す算数Bは公立63・6%、私立77・1%で、差は13・5ポイントと大きく開いた。国語も同じ傾向。私立は上位校の多くが参加していない。
田村哲夫・渋谷教育学園理事長(71)は、私学の立場から、「高いお金を払う私立と、タダの公立とで『同じ結果を出せ』と押し付けることは間違いだ」と、単純な公私格差批判をいましめる。


田村先生は、教育ビジネスマンですからね。厳しいですね。立派な先生です。むしろ田村先生の普段お話にならない「教育ビジネス論」を聞くと目からウロコかもしれません。


だが、「公立の代わりに私立」という選択肢があるのは、首都圏など都市部にほぼ限られるのも事実で、公教育の再生が急務であることに変わりはない。


確かにそうですね。地方の私学に手厚い施策を実施していくのも一つの方法ではと思いますが、なかなかそうはいかないでしょうね。


渡海紀三朗文科相は、新指導要領案を公表した際の会見で「公教育への不安があるとすれば、学力低下と、学校現場の荒れだと思う」との認識を示し、「今回の改定で道徳教育は充実し、学力も向上するような方策を打った」と述べた。ただ文科相からのメッセージでも「今は『とにかく期待してください』としか言いようがない」というにとどまっている。


だよね。