気持ちはわかるし、財政再建が喫緊の課題であることもわかります。しかし、私学助成に手を入れることは、議論が必要なのです。大阪府のことですから私が軽々に言えないのですが、私学に助成すること自体に疑問符をつける人がいるくらいで、憲法解釈から入っていく話です。その解釈の長い歴史の中で私学助成に関する法律ができ、さらには、その運用がなされてきたのです。

<MSN産経ニュースより>


sankei

橋下知事指示 大阪府の私学助成削減を検討、聖域にメス
2008.2.9 01:15
橋下徹知事の指示で財政再建を進める大阪府が約600億円に上る私学助成金の削減を検討することが8日、分かった。新年度予算編成では、最低1000億円以上の歳入不足が予想されており、補助金の中で金額が最も大きい私学助成金に目を付けた。府内の私立小中高校、幼稚園などに通う生徒児童は約32万人。助成金カットは授業料の値上げにつながりかねないだけに、私学経営者だけでなく府民からの反発も出そうだ。
橋下知事は「全事業をゼロベースで見直す」と一貫して主張している。各種団体や市町村への補助金の総額は約4330億円で、国の制度に基づかず、府の裁量でカットできるのは約1000億円。この中で私学助成金は約600億円と最大の額を占める。残りは子供や高齢者の医療費助成などだが、橋下知事は就任会見で、高齢者らの施策について「優先順位が高い」と述べており、切り捨ては避ける考えだ。
私学助成金は授業料軽減などを目的に、府内の私立学校に交付され、生徒児童一人あたり約37万円に上る。バブル崩壊後、府の財政が悪化して以降もほとんど減らされずにきたが、「医療費助成のようなセーフ ティーネットとはいえない」(府財政当局)との判断で、「聖域」に手を入れることとなった。


さて、生徒児童一人当たり約37万円ということですが、では公立学校に通う児童生徒にかかる費用はどれくらいの額でしょうか?そして、仮に私立が経営努力をすべしというのであれば、公立学校で担えない部分を担ってきたことに対する、「公」の評価や考えはどうなのでしょうか?私立学校といっても、たとえ大阪府でも、たぶんですが、圧倒的に多いのは幼稚園だと思います。子育てを始めてまもない保護者の方々は、まだ平均の保護者年齢から考えても若年齢層が多く、世帯収入だってたかが知れています。1円でも多く公的な助成が必要な世代であるのです。


助成が削減されれば、授業料値上げも予想される。財政当局の幹部は「すべてを削れるかどうかは分からないが、私学側の声を聞いたうえでどの程度が可能なのか考えたい」としている。

話を聞くのはあたりまえの話です。削減が可能なわけないじゃないですか。

これに対し、約160校が加入する大阪私立中学校高等学校連合会では「少子化が進み、毎年生徒数が減っている。もしかりに1割カットしても経営は立ちいかなくなるところも出てくる」と反発する。


幼稚園と中学高校とでは経営環境もぜんぜん違います。中高の反発以上の反発をすべきです。それよりなにより、公立学校の無駄を省くことを考えた方が良いのでは。


府幹部からも「痛みを府民も分かち合うということだろうが、経済的負担で高校に行けない生徒が出てくる」と懸念する声が出ている。


そんな単純な話ではない!!


私学助成 昭和50年に私立学校振興助成法が制定され、都道府県と国による私立学校に対する補助が本格的に始まった。全国で補助が続けられ、私学運営では不可欠の資金援助になっている。大阪府の場合は平成19年度には600億円近くを901校園に補助。生徒児童1人あたり約37万円の助成を受けている。うち運営費にあたる経常費助成が500億円、授業料軽減助成が76億円。


ここの記述の何百倍のストーリーがあるのです。私学助成には。