<MSN産経ニュースより>

【断 潮匡人】再議決は帝国憲法違反
2008.1.23 04:03
新テロ法案衆院再議決を「憲法学者の小林節・慶大教授」が「週刊朝日」(1月25日号)で「前科一犯」などと「糾弾」した。表現同様「明らかに憲法に違反」と断じた論拠も妥当性を欠く。
「59条の2項で衆院の再議決を定めていますが、“原則”は1項のほうで、2項はあくまで“例外”に過ぎない」「原則と例外の関係をまったくわきまえていません」


第59条 法律案は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、両議院で可決したとき法律となる。
2 衆議院で可決し、参議院でこれと異なつた議決をした法律案は、衆議院で出席議員の3分の2以上の多数で再び可決したときは、法律となる。
3 前項の規定は、法律の定めるところにより、衆議院が、両議院の協議会を開くことを求めることを妨げない。
4 参議院が、衆議院の可決した法律案を受け取った後、国会休会中の期間を除いて60日以内に、議決しないときは、衆議院は、参議院がその法律案を否決したものとみなすことができる。


すごいですねえ。法学部出身ではありませんから、大学法学部での授業って知りませんが、こういう議論になっていくのでしょうか。原則と例外という日本語で論じるものなんでしょうか?それこそ、条文には順番はどうしてもついてしまう。どんなに対等であってもどちらかを先に書かなければならない。のにどうしてなんでしょう。原則と例外などという日本語で序列がつかないものもあるような気がするのです。仮に序列がついたとしても、それは微妙な序列であって、原則優位とはならないような気がします。ましてやこの話で、2項が例外で、1項の原則へと導くべきだというのであれば、2院制の制度趣旨も崩れていくのではないかと思います。それにしても難しいですね。


と書きながら、時間があったので図書館へ行ってこの記事を読んできました。結論から申し上げますと、潮先生の言うとおりだと思いますね。是非、図書館等でバックナンバーを探して読んでみていただきたいですね。バックナンバーを買う価値は絶対ありませんので、間違ってもお買い求めになりませんように。


本当にこの先生って憲法学者なんでしょうか?パフォーマー?でしょうね。特定メディアの御用学者?この先生に教わる学生がいることが残念です。

というのは、記事中に持論を展開しておりますが、憲法条文解釈の論議ではなく、もう既に政治なっちゃっていますね。だからあえてパフォーマーって書かせていただきましたが、学術的な見識で書かれていらっしゃるというより、テレビ出演や一般活字メディアなどに露出することを目的としているとしか思えません。残念ですね。


例外であれ憲法が明文で認めた手続なのに、なぜ「憲法違反」になるのか。憲法上、両院が対等なのは憲法改正発議と皇室財産授受決議に限られる。むしろこちらが例外であろう。


第8条 皇室に財産を譲り渡し、又は皇室が、財産を譲り受け、若しくは賜与することは、国会の議決に基かなければならない。
第96条 この憲法の改正は、各議院の総議員の3分の2以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。


現に衆院優位を(例外ではなく)原則と考える学説も有力である(伊藤正巳ほか)。
両院をほぼ対等にしたのは大日本帝国憲法(明治憲法)であり、今の憲法ではない。旧憲法の一事不再議規定(39条)を新憲法が排したのは再議決規定ゆえである。
欧米でも再議決の事例は少なくない。戦後日本でも過去、民法や刑法の改正案が再議決された。安保条約も国連憲章改正批准も(衆議院の優越で)自然承認された。
だが教授は「半世紀以上も前」「非常時の先例」と排斥し、再議決が「正当化されるのは、よほど例外的な特別の場合だけ」と言う。だとしても今回は特別であろう。
教授は郵政解散の「一時的な国民的興奮」による与党圧勝を「そもそも正統性を欠いている」とし「解散・総選挙を断行すべきでした」と訴える。だとしても違憲と断じる論拠にならない。あまりに牽強付会(けんきょうふかい)な論法と言えよう。
さらに百歩譲って、なお違憲と咎(とが)めるなら、再議決は大日本帝国憲法違反である。(評論家)